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「長期的に重要なこと」はなぜ後回しになってしまうのか?とその解決法

仕事でもプライベートでも、長期的に重要なことは後回しになりがちです。

スティーブン・R・コヴィー博士が、成功者に関する200年分の文献を緻密に調査・分析してまとめた名著「7つの習慣」でも、人生の最優先事項は「緊急ではない重要なこと」であり、それにより人生の幸福度合いが決まると説いています。

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しかし多くの人は、本質的なことが後回しになっています。それをしないからといって、今すぐ命を落とすわけでも、明日会社が潰れるわけでもないので蔑ろになっています。

これは多くの経営者も久しく同じで、日々の仕事に追われます。

会社にとってもっとも重要であり考えなければいけないことがあっても、緊急性の高いことに時間が奪われていきます。それも蔑ろにできないことではありますが、全体時間の割合がそちらに奪われ過ぎています。

これを意識だけで変えるのは至難の業です。

「長期的に重要なことに使う時間を増やす!」と意気込んだとしても、変わらず緊急性の高い細々としたものが舞い込んできて、いつもと同じ時間の使い方をしてしまいます。

「7つの習慣」は全世界で4,000万部以上売り上げましたが、果たして読んだ人たちは、緊急ではない重要なことに時間を使えているのでしょうか。きっと本書を賞賛した多くの社会人は、頭では理解しつつも、結局前と変わらず緊急性の高いものに追われていると思います。

なぜなら周りの経営者と話していても、「この辺りできていない人が多い」と度々話題に上がるからです。

なぜ、頭で理解していても取り組めないのか?

多くの人が、分かっていても長期的に重要なことを考えたり行動する時間が作れない理由は、そのための仕組みになっていないからです。

長期的に重要なことができていない状態というのは、それが行う必要がない状態だと言えます。やらなくても困らない状態です。

例えば、先輩から

5年後にこの企画のプレゼンがあるから、今日からプレゼンの練習をしておいて。

と言われても、今日からプレゼンの練習をしませんよね。

なぜなら、5年後だからです。かなり先の話ですし、今から練習しなくても良いと考えます。しかしこれが明日だったらどうでしょう。残りの時間、プレゼンのための準備をすると思います。

健康についても同じです。人は人生の後半になればなるほど、健康に気を使います。60代以上の人が、10代の人に

もっと健康に気をつけた食生活をしたほうが良いよ

とアドバイスしたとしても、10代の人は夜更かしや不眠をやめず、生活が乱れていても気にしません。毎日脂っこいジャンクフードでもへっちゃらです(私も好きですが笑)。

なぜなら、今健康だからです。今困っていないので、どうにかする必要性を感じません。そのような状況では、いくら諭されても行動が生まれ難いです。

10代でも、アスリートなどの最上位パフォーマンスを目指している人は、食生活を制限していますが、これは必要性があるからです。もちろん必要性に迫られていない人でも、注意されて食生活を整えることがあるかもしれませんが、それはごく一部です。

60代以上の人は、体調を悪くした経験があったり、自分が健康でも周りで不摂生により入退院したり亡くなる人が出てくるので、危機感を感じます。気をつけないと、自分も今のように生活できなくなるかもしれないと注意するようになります。

これは死期が近づいている実感でもあります。老化現象や不健康が続くと、命のことを考える機会が増えます。それにより健康でいることの大切さや必要性を強く感じます。

旅行に行ったり、美味しいものを食べたり、家族や友人とお出かけしたり。そのような日常があと何年できるのだろうか。老後に寝たきりになりたくない。そのような不安や考えから、身体を今まで以上に大切にします。

会社の場合、長期的に最重要なことをやらなかったとしても、明日会社が潰れるわけではありません。差し迫った緊急要件ではないので、「今」行う必要性を感じないのはそのためです。直近は何も変わらない日常が続きます。

しかし緊急ではない重要なことは、長期的にみると最重要なことなので、行わなければ会社は徐々に衰退していきます。そしてその衰退に気づいて、緊急性が生まれた時にはかなり手遅れになっているときが多いです。

緊急ではない重要なことは、すぐにどうすることもできません。例えば、組織文化もその一つです。ローマは一日にして成らずで、営みに時間のかかるものばかりです。だからこそ長期的に育み、実行し続けなければなりません。

緊急ではない重要なことは、行い続けても、すぐに変化が現れるものではありません。しかし長期的に行うことにより、複利が働きます。それが会社の大きな力となります。

スタートアップの成長は星の輝きとよく言われますが、これはまさに重要なことを行い続けた、複利の結果として起こり得ることです。

必要性をどのように作るのか?

緊急ではない長期的に重要なことを日々行うためには、必要性を作るしかありません。意識を変えるだけでは弱いので、環境要因を変える必要があります。

仕事でもっとも効果のある必要性は、アウトプットの機会を作ることです。

人はアウトプットがあると、エンジンがかかります。しかもそれが間近にあるほど行動を起こします。基本どんなアウトプットでも良いのですが、一番効果のある方法は、他者にプレゼンしなければいけない状況を作ることです。

社員の方なら上司に、役員の方なら社長に、社長なら社外の人に。横着無人に接することができない人に対して、報告する機会を意図的に設けると効果的です。

例えば私の場合、一定の方々に対して、本質的なことを話す機会を定期的に設けています。それにより、その日までに考えたり行う必要性が生まれますし、その結果を報告しなければなりません。

そうすることにより、緊急ではない長期的に重要なことでも、「今」やらなければいけなくなります。アウトプットを設けることにより、擬似的に緊急の枠組みに入れてしまうのです。

すると一気に優先順位が上がります。

逆にそうでもしなければ、日々降ってくる色んな緊急要件で予定が埋まってしまいます。とくに忙しい人がそうです。

さらに付け加えるなら、先日の「不要なバイアスは、どうすれば剥がれるのか」にも書いたように「大きな目標」を掲げると良いです。そこから逆算してマイルストーンを設計しなければいけなくなるので、ついでに何が本質的に重要なことなのか?を整理することができます。

大きな目標を達成するためには、今と同じことをやっていてはダメなので、色んな思考を棚卸ししたり、何が必要なのかを洗い出します。根本を見つめ直さなければいけない機会は、長期的に重要なことを考えるには打って付けです。

長期的に重要なことを可視化し、それを後回しにしないために、アウトプットの機会を設ける。さらには、アウトプットに振り返りの時間もセットで設けるとより効果的です。

このスキームが出来上がれば、長期的に重要なことは蔑ろにならずに実行できます。もしなかなか取り組めない方がいましたら、ご参考までに。


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