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どの職務にも優劣はなく、会社にとって無くてはならない存在

以前、前澤さんがあるメディアで

「僕は本当に競争が嫌いなんですよ。小学校の頃から徒競走の順番とかテストの点数とか、ああいうので順位をつけられるのが本当に嫌で。

『なんで競争しなきゃいけないんだろう』ってずーっと疑問に思ってたんです。かけっこが早いから偉い、とか、勉強が出来るから偉い、って変じゃないですか。みんなそれぞれ違って、それぞれにいい所があるのに、一定の基準で優劣をつけるのっておかしいと思うんです。

だから僕は『競争しない』ってずっとそれでやってきたんです。変に優劣をつけずに、みんな一緒でいいじゃん、って」
「友達とキャンプに行ったときには、みんなノルマを競うのではなく、自分の得意なことを率先して、みんなが楽しめるようにするでしょ。キャンプ場近くの川で魚が釣れれば、みんなで均等に分け合う。会社もそうあって欲しい」

と仰っていました。

前澤さんに限らず、変な優劣や競争を嫌い、会社経営をキャンプやバンドに例える起業家は多いです。

AppleやGoogle、FacebookやAmazonなど、シリコンバレーの数多くの経営者をコーチングした伝説のコーチ、ビル・キャンベル氏も

・会社は人がすべてで、一緒に働く人たちと信頼関係を築くことが大切
・お互いを1人の人間として尊重すること
・楽しい職場環境が高いパフォーマンスと相関関係にある
・競争ではなく愛情が大切
・愛情は優しさで成り立つ

と競争ではなく愛が組織を育むことを繰り返し経営者に伝えており、「人がすべて」という信念を大切にしていました。

ちなみに、ビル・キャンベル氏が信頼関係構築のために開発した社内コミュニケーション手法に、旅の報告というものがあります。

やり方はとてもシンプルで、毎週休み明けに、週末に何をしたかを尋ねます。その中で旅行に出かけた人がいたら、詳細を教えてもらうというものです。

それにより、家族のことや仕事以外の興味関心について知ることができるので、その人自身をより理解することができます。信頼し合うためには、人間性を知ることが大切ですが、実際に行うとチームの関係性が深まり、職場の雰囲気が良くなるそうです。

仕事仲間とキャンプに行ったような感覚で連携する

キャンプでは、薪を割る人、火起こしする人、野菜を切る人、魚釣りに行く人など、それぞれが自然と自分の役割を見つけて動いていきます。

一つの目的を達成するために、それぞれが役割を果たして、場が完成されていく。それに対して、どの役割が偉いとか偉くないとかは全くありません。やっていることは異なっても、すべてが同じくらい重要で、どれも欠けてはいけません。

これは会社も同じです。

中には目立つ職務もありますが、それは一つの特徴なだけで、裏方であってもその重要性は変わりません。会社に存在するすべての職務は、平等に必要だから存在しています。

勘違いしやすいところですが、職務による優劣は一切ありません。すべての人が自分の役割を全うすることで、連携し合うことで会社は成立しています。

その仕事が「好きでたまらない人」が必ずいる

会社が成長し、組織が大きくなればなるほど、色んな役割が出てきます。

例えば、工場でのパッキング作業や、情報をひたすら入力するような作業。いわゆるルーティンワークです。
 
これは、人によっては苦手で大変だと感じるかもしれません。その一方、このようなルーティンワークがとても好きな人もいます。同じ枠組みの中で繰り返しながら、その緻密な精度とスピードを上げていくのが好きな人。得意な人です。

逆にそのような人は、自由度の高い 0→1 創作が苦手だったりします。一方、このような創作が得意な人もいます。人と話すのが得意な人苦手な人。計算が得意な人苦手な人。人それぞれ特徴があり、誰一人として同じ人はいません。

以前、孫泰蔵さんの起業家スクールで、「その仕事が好きでたまらない、その分野のオタクを採用すると良い」と言われたことがありますが、まさにその通りだと感じます。

会社には色んな役割が存在しますが、すべてをできる人はいません。完璧な人間は存在しないので、必ず得手不得手があり、興味関心が分かれます。

同じ仕事でも、嫌いな人がやるのと好きな人がやるのとでは、質もスピードも全く異なります。あえて合わないものをするよりも、興味関心の高いものにエネルギーを注いでいただくほうが、経営リソースの配分としても正しいです。

それぞれが自分のフィットする持ち場で、最高のパフォーマンスを発揮すれば、会社の生産性はぐんと高くなります。一方これを見誤り、それぞれが関心の低い不得手のところに配属されてしまうと、生産性は半分以下に落ちます。

もし万が一あまり組織としてパフォーマンスを発揮できていないメンバーがいる場合は、経営者は第一にこの可能性を考える必要があります。周りの経営者からも、役割を変えた途端に光り輝くようになった事例を聞いたりします。

もしそれを見抜けない場合は、ビル・キャンベル氏が言うように、メンバーのことを深く理解できていなかったり、まだ信頼関係を築けていないのが原因かもしれません。

「人がすべて」

シリコンバレー中の経営者が慕い、実際に多くの企業を成長させてきた伝説の人物がたどり着いたのは、至ってシンプルな信念です。

おそらく多くの人は、人が大事だと言いつつも、その重要性をビル・キャンベル氏ほど理解できていない気がします。

もし「自分は理解できているし、人を大事にできている」と言う人がいたら、そのような人ほど危うさを感じます。今まで出会った中では、できている方ほど、「まだ全然できていない」と仰います。

それはきっと、やればやるほど、知れば知るほど、その奥深さに気づくからだと感じます。

争いをなくし、優劣をなくし、すべての職務が最大限パフォーマンスを発揮できる環境をつくる。言うのは簡単ですが、それを本当にやり切っている前澤さんなど先輩経営者の手腕は、計り知れないものです。

自分自身も、今持っている尺度だけで捉えず、「人」についてもっと理解を深めたいと思います。


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