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地上波放送の終了がモータースポーツに致命傷ではない理由

こんにちは、山下です。
F1 2022年シーズンの2戦が終わり、チームの勢力図が少しずつ見えて来ました。

開幕戦でF1の象徴であるフェラーリがワンツーという結果はファンを盛り上げました。新型車両はカッコ良いと思いますし、序盤2戦を通じてフェルスタッペンとルクレールのバトルは新時代の到来を感じます。ホンダもHRCとしてレッドブルを後方支援しているので国内ファンにも見所は多い気がします。

一方で、テレビ東京が放送する国内唯一のモータースポーツ専門番組 (地上波)の放送停止が発表され、Twitterで話題になりました。


この発表に対して全体的に放送終了を惜しむ声が多く、モータースポーツの未来を嘆く悲観的なコメントも散見しました。僕も国内レースを担当していた際にはよく見ていましたので残念です。

一方で本場欧州でもF1を始めとしたモータースポーツは、有料ストリーミング放送に切り替わりつつあります。その為、モータースポーツの魅力を改めて考えた上で、メディアの在り方に対して考えてみようと思いました。

(1) F1の魅力とは ?

F1開幕の直前、僕はF1の魅力を分解してみたくなりました。業界関係者の友達はそこそこいるのですが、モータースポーツのファン友達は少ないです・・泣
Twitterでのアンケート結果が下記です。

投票18票でした。ご回答頂いた皆様、ご協力ありがとうございました!

僕はF1の魅力を登場人物、技術開発と世界観の3つだと仮定して、アンケートの質問項目を作りました。

① 登場人物:好きなドライバー、チームを応援している 
(ex. GP2エンジンの株価上昇を取り逃がした某フェルナンド)
② 技術開発:世界最先端のレーシングカー開発が興味深い 
(ex. 素人には意味不明なエアロ形状と、得体の知れないPU開発)
③ 雰囲気:お祭り感、セレブな雰囲気に憧れる 
(ex. 富豪とマフィヤがいるパドック)

F1チームにはドライバー、エンジニア、メカニックに魅力的なキャラクターが揃っているので最有力は①番だと思っており予想は外れました。ちなみに僕はテクノロジーも好きですが、1番は③な気がしてます。

モータースポーツを他スポーツと比較すると、技術開発があること、またその開発した車両性能が結果に対して支配的な点はかなり特異なのだと思います。その意味では技術面に興味があるファンが多いのは自然な気もします。

(2) F1がパーソナルメディアと相性が良い理由

実は、ここ数年F1はデジタルメディア運用に熱心であり、SNS展開は非常にうまくいっています。Youtubeで予選、決勝、GP前後のパドック放送が無料で見れるのは多くのファンが知っている気がします。

Once again Formula 1 was the fastest-growing major sports league on the planet in terms of follower growth in 2021. F1 has 49.1m total followers and have seen the highest engagement rate with social posts compared to other major sports in 2021.
2021年のフォロワー増加率において、地球上のメジャースポーツリーグで最も成長したのは、またしてもF1でした。F1の総フォロワー数は4910万人で、2021年の他のメジャースポーツと比較して、ソーシャルポストとのエンゲージメント率が最も高いことが分かりました。
引用元: F1 TV [1]

モータースポーツはSNSと相性が非常に良いと思います。理由は大きく2つあります。

(2-1) 支配者とヒーローが異なるスポーツである


サッカーや野球、陸上のようなスポーツは競技者に焦点が当たることが殆どです。サッカーの場合はフォワードの決定力、裏に抜けるセンス、当たり負けしないボディバランスなど選手のパフォーマンスが結果に直結します。もちろん監督の采配や戦略も重要ですが、これらは選手の能力を活かす方法の1つでしかありません、重要なのはサッカー選手であり彼らのゴールで勝敗が決まります。サッカー界では、支配者とヒーローは選手であり、ファンはみんなサッカー選手に注目します。

しかしモータースポーツはレーシングカーが結果に支配的な影響を持つという特異なスポーツです。その為、上述のアンケートのように多くのファンがF1の技術的な側面に注目します。つまりテクノロジーが支配者です。
一方で、イベント中はF1を操縦するドライバーがヒーローです。

(2-2) テクノロジーに対する理解度にバラつきがある

上述のようにF1においてテクノロジーは結果に支配的な影響を及ぼしますが、理解が出来なくともF1は楽しいです。僕の友達は完全文系の秘書でしたが、ドライバーを応援している内に熱狂的ファンになりました。F1のレースゲームから、リアルなF1に興味を持った友達もいます。

一方で、自動車が好きな古参ファンの一部の方は、テクノロジー面も含めて恐ろしいほどの知識量だったりします。

つまりF1ファンは 人によって注目点がテクノロジー vs ドライバーで分岐され、さらに各自のテクノロジーの理解度で楽しみ方が変わってきます。このようなファン層には共通のエンタメを届けるテレビのようなマスメディアでは効率が悪く、個人に最適化できるパーソナルメディアの方が圧倒的に相性が良いです。

(3) 関係者と観戦するファンの情報格差

パーソナルメディアとの相性が良いことは多くの方が当然と思うかもしれません。一方で僕は業界に飛び込んでから感じることが1つありました。それは関係者とスタンド観戦するファン間の情報格差です。

例えば国内レースでは、ピットなどで全車のラップタイム、場内テレビ放送が至る所で見ることができます。これらの情報のお陰でチームは戦況を把握することが可能となり、戦略を決めています。このようなパドック側にいるのはチームメンバーに加え、スポンサー、サプライヤーなど関係者が殆どです。そこにいるファンは高額なパドックパスを購入したごく一部に限られます。

一方でファンの多くは場内放送、SNS、アプリでラップタイムなど情報収集はできますが、レース展開の全体像を理解するのは結構苦労します。高価なメインスタンド席を購入しても、レーシングカーが目の前を通過する瞬間以外は、バトルを見る機会は少ないです。チケット代も安くなく、田舎にあるサーキットに行くには費用もかかります。これではサーキットを訪れるファンが増えないのは仕方がないかもしれません。

もちろん現地ではテレビやストリーミング放送にはない楽しみ方は沢山あります。但し、自宅観戦の方がイベントの全体像を理解しやすい構造になっていることは改善すべきかと思います。

(4) まとめ

但しこれらの情報格差の大部分は解消に向かいつつあります。
スーパーフォーミュラはデジタルコンテンツの活用に熱心です。Youtubeライブを通して予選、決勝を視聴できるプランSF Live を用意するようで価格はなんと月額90円 !! また2022シーズンは300人だけの限定ユーザが試験運用中ですが、2023年は全車オンボード映像、テレメトリデータ、チーム無線が見れるアプリを正式ローンチとのことです[2]。

チーム関係者からもこのアプリの試験運用に応募があったようで、それ程の情報をファンも簡単に手に入れることが出来ることは、エンタメとして一歩前進している気がします。

地上波放送が終わったSuperGTでも、SuperGT Video Onlineというサービスを開始、またSuperGTはサーキット来場者向けのライブ中継アプリを開発中のようです[3]。

テレビの地上波放送がなくなる影響はあるかもしれません。それでも致命傷ではないはずです。新しいメディアをうまく活用して国内外でモータースポーツのファンが増えれば良いなと思います。

読んで頂いてありがとうございました。
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参考URL
[1]https://www.formula1.com/en/latest/article.formula-1-announces-tv-race-attendance-and-digital-audience-figures-for-2021.1YDpVJIOHGNuok907sWcKW.html

[2] https://superformula.net/sf2/headline/33987

[3]https://news.yahoo.co.jp/articles/4ad21f37e503681efaed5bf2cd75f230c67ed17d

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