軽やかで粋なお蕎麦屋さん
高校先輩の行きつけのお蕎麦やさんに連れて行っていただいた。
世田谷の住宅街にお店を構える「蕎麦前 ながえ、」(「、」までが店名)
お酒にもお料理にも強くこだわりながら、押し付けがましさの無い粋なお店だった。
1品目:蕎麦がゆ
まずは温かい蕎麦がゆが登場。
和食・洋食にかかわらず、ひと品目に温かいお料理が出てくると、なんかそれだけでほっこりしてしまう。
キムチ味の蕎麦がゆという軽い変化球が楽しい。
2品目:蕎麦前セット
乾杯こそビールだったけれど、ここから日本酒をちびちびやりながらお料理を楽しむ。
続いて登場したのは、ぬか漬け、松前漬け、板わさ、鴨味噌、大葉の漬物、鯖の燻製、自家製ハム、焼き味噌の驚き8品盛り!
まずはぬか漬けでちびり。
幸せ。
続いて松前漬け、板わさでちびりちびり。
鴨味噌。味噌と鴨肉の香り、そしてうま味。後味に感じる上品なコク。
これは美味しい。
自家製で鴨味噌を作っているとうことは、こちらのお店では鴨をマル(もしくはそれに近い状態で仕入れているのかもしれない)
鯖も自家製ハムもレベルが高い。
そして信州のお蕎麦屋さんでも最近は珍しいおつまみになりつつある焼き味噌。
焼いた味噌の香ばしい香り。味噌の甘味と塩味の後からネギの香り、蕎麦の実のつぶつぶ感。後から鰹節の香りとうま味。
ますますお酒が進む。
3品目:一年牡蠣
でかい。
通常の2、3年ものと遜色のない大きさ。
若手の牡蠣養殖家のみなさんが試行錯誤して開発した、ドラム缶をぐるぐる回しながら育てるという特殊な方式の賜物らしい。
口に入れた瞬間に感じる磯の香りも皮の触感もあくまでも柔らかだけど、いただいた際の濃厚さは大粒の牡蠣にも負けない。
これもまた日本酒が進む。
4品目:百合根の天ぷら
関東ではあまり見かけない百合根の天ぷら。
さっくりホクホク。
軽い衣の歯ざわりと塩味、熱が入った百合根の自然な甘味のバランスで、これまた日本酒が進む。
百合根好きとしては非常に嬉しい一品。
5品目:白えびの天ぷら
立派な白えび。
素揚げではなくあえての天ぷらで。
お料理に合わせて女将さんに選んでいただいた日本酒はすでに3合目。
蔵元さんから直接仕入れている日本酒が多いとのことで、中には非常に珍しいものもあった。
6品目:蕎麦
期待のお蕎麦。
程よい白さ、透きとおり具合。まずはそのままひと口。
ぼくが思う二八の肝は、もっちり感とぷっちり感のバランス。
少しだけもっちりが勝ち気味のバランスがぼくの好み。
そのバランスこそが喉越しの良さを決める。
こちらのお蕎麦はそのバランスが心地良い。
江戸前らしい喉越しと優しい香りで箸が止まらない。
2枚いただいたのだけれど、1枚目と2枚目でお蕎麦の産地を変えてくるという心憎さ。
信州では十割、挽きぐるみの田舎蕎麦しかいただけないけれど、蕎麦前を楽しんだ後はやっぱりこういうお蕎麦が良い。
食べ終わって思った
お料理もサービスも付かず離れずの距離感が心地よく、常連さんも、一見さんらしきお一人さまも、みんな思いおもいにお料理とお酒を楽しんでいたのが印象的だった。
……次は気になっていた鴨肉を使ったお蕎麦を食べたい。
中溝さん、ごちそうさまでした!
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