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【ベスト10】年間100本以上の作品を観た私が語る映画ランキング【2020年版】

火曜日に、今年読んで「印象に残った本」をランキング形式で発表させていただいたら意外と好評だったので、図に乗って映画編も綴ってみたいと思います。

今年もたくさんの作品に触れてきました。その数、なんと108本。もともと夜はほとんど外食をせず、自宅で映画を観ていることが多かったのですが、今年はコロナの影響でますますその傾向が強まり、ついに年間100本を超えてしまいました!

というわけで、今年観た108本の中から選りすぐりの10本をご紹介していきたいと思います。前回の記事でも書いたように、私の好みがみなさんと合うとは限らないので、あくまで「私の印象に残った」が基準となります。あと「今年観た映画」なので、古い作品も含まれています!

それでは、行ってみましょう。まずは【6位〜10位】。

【第10位】『パラサイト 半地下の家族』

まあ、ここは入れざるを得ないというかね。何と言ってもアカデミー賞最優秀作品賞ですから。他の作品は自宅で観たものがほとんどでしたが、これはめずらしく映画館にて観賞。『カメラを止めるな!』以来かな。

主人公たち一家は「半地下」だから上を見上げようとするけど、完全に地下へと潜ってしまうと、上を見ようという気持ちさえ失われていくのかなと。貧困は、尊厳を奪っていく。

【第9位】『タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜』

同じソン・ガンホ主演なら、こちらのほうが好きだったかも。ホームドラマのような軽やかな序盤、歴史の暗部を描く中盤、激しいカーチェイスが繰り広げられる終盤と、最後まで観客を飽きさせない。

前半の“ダメ親父ぶり”をしっかり見せておくことで、軍部の不正義に対して命を張って抵抗する人々の姿に触れて、次第に変容していくマンソプにより心動かされる。その変容を表情で伝えるソン・ガンホの演技力。

【第8位】『夏至』

映画『ノルウェイの森』が酷評されたベトナム出身のトラン・アン・ユン監督の3作目(ちなみに『ノルウェイの森』は5作品目)。ストーリーは平坦で、特に何かが起こるわけではない。けれども、鮮やかな色彩も、ねっとりとしたベトナムの空気も、ハロン湾の水上生活のシーンも、すべてが美しくてずっと見入ってしまう。

主演女優トラン・ヌー・イエン・ケーは、切れ長の目と憂いを帯びた表情が印象的。なんとトラン・アン・ユン監督の奥様で、監督の作品のほとんどに出演しているのだとか。『青いパパイヤの香り』も観てみたいな。

【第7位】『ガザの美容室』

ガザを訪れたことがなければ、観ようとも思わなかった映画かも。『12人の優しい日本人』のような美容室での密室劇で、強烈すぎるキャラがそれぞれに勝手な事情をまくし立てるまま終盤まで一気に畳み掛ける。呆気に取られつつも、不思議と退屈しなかった。

登場する女性たちはみんな“ウザい”のに、作品自体がウザくならないのは、監督が登場人物を絶妙な距離感で描いているせいなのかな。こんなにも生活を切り取ることに成功している映画は観たことがない。けど、きっと万人受けはしない映画だと思うので、オススメはしません笑。

【第6位】『君の名前で僕を呼んで』

思春期の青臭い性の爆発が余すところなく表現されていた。相手が男性であるというテーマ性が跳ね飛ばされるほど、ただひたすらに相手を想う狂おしい感情が暴れ回っていたことが主人公への感情移入につながった。桃を使った自慰シーンは、映画史上に残るのではないかと思うほどに官能的だった。

この作品でティモシー・シャラメという俳優に惹かれ、その後、『ビューティフル・ボーイ』も観賞。薬物に苦しむ青年役を見事に体現していた。

奇しくも7位〜10位までの4作品には、韓国・ベトナム・パレスチナと街並みなど含めて異国情緒が色濃く感じられる映画が並びました。こういう好みなのだとご理解いただければ幸いです。

では、続いて5位から!

【第5位】『人魚の眠る家』 

「生」と「死」の境目とは何かを考えさせられる。父に感情移入したり、母に感情移入したり、でもその二人はまるで違う価値観だったり。観終わって東野圭吾の小説が原作と知り、あらためて納得。考えさせられるテーマと、心揺り動かされるストーリーがここまで両立する作品もめずらしい。

時折、盛り込まれるホラーチックな演出が気になったけれど、篠原涼子さんによる母の慈愛と狂気をにじませた演技は圧巻。すっかり女優が板についてきた川栄李奈さんも名演技で脇を固めている。

【第4位】『あなたの名前を呼べたなら』

インド映画というと、登場人物がいきなり踊り出すというイメージがあると思うけど、これはストーリーでしっかり見せる本格派。カースト制度が色濃く残る地方とインドの中で最も国際都市といわれるムンバイの落差を描き、その狭間で苦悩する二人のラブストーリー。

原題は『Sir』。邦題になると、途端に原題の良さが台無しになってしまうケースはよくあるけれど、『あなたの名前を呼べたなら』は悪くない。ラストシーンを見た後でこのタイトルを噛み締めると、あらためてこみ上げてくるものがある。山場らしい山場はなく、静かに物語は進んでいくのだけれど、それがかえって作品への信頼感につながっているのかな。

さ、ここからが【1位〜3位】の発表。3位は、私が最も敬愛する女性監督の話題作。2位は、悲しい眼をした少年が主人公の切ない作品。そして1位は、パンサー・向井慧さんと語り合ったあの映画——。

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「乙武洋匡の七転び八起き」
https://note.com/h_ototake/m/m9d2115c70116

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