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“オレ史上1位”の大河ドラマ『いだてん』に、ただひとつ物申したいこと。

もう、いまから「ロス」に陥ることが心配だ。そう、『いだてん』ロス。明日15日(日)の放送で、最終回を迎えると言う。放送当初から「低視聴率だ」などと酷評されてきたけれど、個人的には一年間、本当に楽しませてもらうことができた。

熊本から出てきた純朴な青年・金栗四三が国民的ランナーとなり、日本人初のオリンピック選手となるまでを描いた前半も、強烈な個性とリーダーシップを誇る田畑政治が、国際情勢や政争に巻き込まれながらも事務総長として東京オリンピック実現を目指して奮闘する後半も、どちらも抜群に見応えがあった。

これまで大河ドラマを観て、泣いたことなんてなかった。なのに、『いだてん』には何度となく泣かされた。金栗さんが戦争によってオリンピックでの雪辱を果たす機会を奪われてしまうシーンや、田畑さんが政争に敗れて事務総長の座を下されるシーンなどは、もう号泣と言っていいほどだった。

なぜ、こんなに泣かされるのだろう。自分なりに考えてみたけれど、理由のひとつとして考えられたのは「近現代だから」というものだった。それは、低視聴率の理由としても挙げられているワードだったけれど、私がここまで登場人物に感情移入できたのは、やっぱり物語の舞台が近現代だったから、という理由は外せないと思うのだ。

これまでの大河ドラマは、その多くが戦国時代や幕末が舞台だったから、どんなに人物像が丁寧に描かれていても、なかなか感情移入することができなかった。あまりに時代背景が違いすぎて、想像することが難しかったのだ。ところが、『いだてん』は現代とも多くの価値観を共有する時代背景だったために、登場人物に想いを馳せやすかったのかもしれない。

中村勘九郎さんや阿部サダヲさんの演技に胸をわしづかみにされたり、悔し涙を流したり、自分はこれだけ何かに情熱を燃やして生きているだろうかと自問自答させられたり——そんな『いだてん』が明日で幕を閉じてしまうなんて、本当に悲しい。あらためて、キャストやスタッフのみなさまに「お疲れさま」と「ありがとう」の言葉を贈りたい。

さて、間違いなく“オレ史上1位”に輝く『いだてん』なのだけれど、最後にどうしても言わせていただきたいことが。個人的には画竜点睛を欠くと言うか、物足りなさを感じることがあったのだ。

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