横浜中華街に届いた「不幸の手紙」があまりにアレで言葉を失った。

横浜中華街に「海員閣」という広東料理の店がある。創業は1928年とも、1936年とも言われており、中華街でも最も古い部類に入る老舗中の老舗だ。私も代替わりする以前からこの店のファンで、足がないのに足繁く通っている(お約束なのでお許しを)。

名物は、豚バラと牛バラ。とにかくウマい。どれくらいウマいかと言うと、これくらいウマい。

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しまった。写真をアップしたら、また行きたくなってしまった……。

数日前、この海員閣がニュースになっていた。コロナウィルス感染拡大の影響か、この店にヘイトの手紙が届いたのだという。

どの程度のものだろうと記事を読んでみたが、予想以上に酷いものだった。頭がクラクラするほどだった。 

「私が以前から通っている大好きなお店」という事実を差し引いても、どうにもやるせない。

「海員閣」店主自身が、「気持ちは分からんでもない…」と書いているように、この手紙の差出人はおそらく今回のコロナ騒動に心を痛め、義憤に駆られているのだろう。もしかしたらご自身も何らかの被害に遭い、しんどい思いをされているのかもしれない。しかし、どうにも怒りの矛先を間違えているとしか言いようがない。

そういえば、関東大震災が起こった際にも、「この混乱に乗じて、朝鮮人が暴動を画策している」といったデマが広まり、官憲や自警団によって多くの朝鮮人や朝鮮人に間違われた人々(日本人を含む)が殺されるといった事件があった。

世界最大の悲劇と言われるホロコースト(ナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺)についても学んでいるはずの私たちは、なぜ危機的状況に陥るたびに、同じ過ちを繰り返してしまいそうになるのだろうか。

やはり、最後は先月29日に書いたこの話に行き着くと思う。

今回の手紙の内容はあまりに稚拙で取り上げる価値もないのだが、こうしたものを放置しておくのもよくないので、今回はこの「不幸の手紙」とあえて向き合ってみたい。

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