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本日も銭湯。片脇にはレコード。


今日1日なんだか節々にちょっと嫌な事があったが、その度にああなんだ今夜の私はオムライスを食べてやるんだと強気に持ち堪えながら1日を終えた。

夜に楽しみがあると意外と一日調子良くやり切れる。単純さを胸にウキウキと駆け足で退勤し、行く予定であった洋食屋に営業時間の確認のために電話をかけたところ、なんとまあラストオーダー終了まであと5分。到底間に合わない場所にいる。

それはそれは気持ちも崩れおり、情けない声を上げながら電話を切り新宿の改札前にどうする訳もなく呆然と立ち尽くした。
やむなしオムライスはまた後日にするとして、このお預けをくらいぽっかりと空き疲弊した心を埋めるには大きなお風呂に浸かるしかないと、結局いつもの銭湯に向かう。

最寄駅から歩き一度家にお風呂セットをとりに行って、そこから再度銭湯に向かうその道のりは時間にすれば30分ほどあるが、銭湯に向かうその道はいつも頭がすっきりと冴え渡り意外と苦ではない。おそらく銭湯に行く、という意識で仕事のスイッチがオフになっている。

いつも通り湯に浸かり、今夜はオムライスを逃したのだから風呂上がりに牛乳を飲んでやろうと思ったところ、牛乳も売り切れていた。最早そんなことでは動じない。別にコーラでも良い、なんてたって瓶コーラだ。渋い。美味い。

コーラを飲みながら考え事をしていたら閉店時間になっていたので、いそいそと出口に向かう。
番台のおじさんに『忘れ物ないようにね、おやすみ〜』と言われ、瞬時に1日の擦れた心が潤い温まった。ああ今ので救われたなあと思いながらも、ちょっとした照れを拭えずに、人見知りする子どものように小さな声で『おやすみなさい』と返し、聞こえてたら良いなとなんだか他力本願な挨拶。

道中、近所に住む友達から誕生日プレゼントにと、サニーデイサービスのレコードを貰い、小脇に抱えて帰路に着く。これもまた嬉しいサプライズだ。レコード、そして憧れのサニーデイサービスだ。

一人暮らしには縁のない、人からのおやすみという言葉に今日一日で心に溜まっていた埃が一気に吹き飛んだように気持ちが澄み渡り、抱えたレコードのおかげもあってか帰り道は湯冷め知らず。

終わりよければ全てよしというが、起きた嫌なことを良しとは言い切れないひねくれ者ながら、こういう夜は、今日の自分が救われたなあとありがたみを感じる。

次はもう少し大きな声でおやすみと言いたい。

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