スマホを無くしただけなのに(前編)【インド1人旅】
これはインドで1人旅をする大学生の僕がブッダガヤでスマホを無くした際の話である。
地元の人、トゥクトゥクドライバー、警察官、僧侶、宿の人···
数多くの人がこの話には登場する。
すべて実話であり、ノンフィクションだ。
それはほんの数分の間の出来事だった。
僕はブッダガヤの中心部から少し離れた郊外を1人歩いていた。
周囲には荒れ地が広がり、建物が点在する地域。
中心部に比べて人の数は少ない。
僕はラオスのお寺を見つけ、お寺の外からスマホで写真を撮った。
そしてスマホをポケットにしまい、再び歩き始めた。
100mほど進んだところでおもむろにポケットに手を入れた。
そして気づいた。
入れていたはずのスマホがなくなっている、と。
歩いている時に落としたのだろうか、すられたのだろうか。
わからない。
しかし、そんなこと今はどうだっていい。
とにかく探さないと。
僕は焦った。
あらゆるポケットを確認し、リュックの中も探した。
見つからない。
自分の足元を探すがない。
すぐに今来た道を戻って落としていないか探し始めた。
大丈夫、大丈夫。
さっきスマホを使った場所からほんの数分歩いただけだ。
きっとその間で落としていて、すぐに見つかる。
自分にそう言い聞かせて落ち着こうとするが、僕は明らかに動揺していた。
必死になって、血眼でスマホを探した。
見つからない、見つからない、見つからない。。。
近くの商店を見つけ、店主にスマホが落ちていなかったかを聞く。
見ていないと言われる。
店主にどうしたのか聞かれ、状況を説明する。
スマホの電話番号は覚えているか?
電話をかけてあげるよ。
そう言われ、電話番号を店主に教える。
僕はこちらに来てからインドで買ったsimカードを使っていた。
電話は通じるはずだ。
すぐに僕のスマホに電話をかけてもらう。
これですぐに見つかる。
ほっと息をつく。
が、流れてきた音声は···
"お掛けになった携帯電話は電源が切られています…"
店主に何度もその番号に電話をかけてもらう。
繋がらない。
すられたのか、それとも落とした物を誰かが拾ったのかはわからないが、僕のスマホを持っている人が電源を切ったか、simカード抜き取ったと思われる。
店主にもう見つからないだろうから、諦めたほうがいいと言われた。
インドで物を無くしたらまず戻ってこない。
インドはそんな国なんだ、と。
店主にこの近くに警察署があるかを聞いた。
街の中心部にあるという。
行くならトゥクトゥクをつかまえてやると言われたが、もしかしたら落としただけかもしれないから、もう少し探したいと言った。
自分の置かれている状況は頭では理解していた。
しかし、信じられなかった、信じたくなかった。
再び来た道を引き返し、探し始めた。
探していると通りかかったインドの子どもたちが声をかけてきた。
何か困ってるの? 助けになれる?
スマホをこの辺りで無くしたことを伝えると一緒になって探してくれた。
が、見つからない。
さっき話した店主のもとに行き、警察署に行きたい、最寄りの警察署はどこかと尋ねる。
行く前にメモにスマホを無くした場所の住所を書いてもらった。
店主は通りかかったトゥクトゥクをつかまえ、ヒンディー語でドライバーに状況を説明してくれた。
10分ほどで警察署に着いた。
ドライバーに乗車料金を払おうとすると、いらないという。
困ってるんだろう、僕は人助けがしたいだけだ。
そう言われた。
何ていい人なんだろう。
嬉しかった。
お礼を伝え、僕は警察署の中に入っていった。
警察署に着いたものの、そこからが長かった。
次回
スマホをなくしただけなのに(後編)
(最後まで読んでくださり、ありがとうございました!インドでの旅で気づいたこと・思ったことを日記感覚で自由に書いていきたいと思います!!)
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