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[詩画集] ぼくは星の子・宇宙の子
![](https://assets.st-note.com/img/1716314989585-h01oT3c5Hr.jpg)
1
ぼくはいま、たまたま人間やっています
たまたまほかの動物や
花や木だったかもしれません
もとをただせばみんな
この地球から生まれた兄弟なのです
この地球が母なのです
時の風にふかれて みんな
もとの土のかたまりに戻され
こねこね混ぜ合わせられて
ふたたび新しく登場します
そのときなんになるかは
造形家の気分しだいです
せっかく人間やっているので
うまいビールでも飲んで
今回の人間時代を愉しみます
![](https://assets.st-note.com/img/1716315559329-hZDSp1d0l0.jpg)
2
ボクやキミや動物や植物
そして海、河、山や、月、太陽
満天の星々と無数の銀河・・・
それら全部集まったものが宇宙なら
ボクもキミも宇宙の一部、宇宙のパーツ
宇宙という巨大な立体ジグソーパズルの
ひとつのピース
砂粒よりもちっぽけなかけらだけど
ボクもキミも宇宙なんだよ
![](https://assets.st-note.com/img/1716315980072-UuvNBYed59.jpg)
3
これはただの小さな小石です
でも地球46億年の歴史を体験しているのです
この宇宙のはじめのころ
無数の星屑が集まって地球になりました
そのころのさまざまな記憶が
この小石に刻まれています
考えてみればこの花もボクも
星屑からできたのです
だから地球46億年の歴史が
この花やボクのからだにも詰まっているのです
今、目にしているこの地球上のもの全部
大地や雲や山や海、家や車や最新のパソコンも
すべてみな星屑の子孫たちです
![](https://assets.st-note.com/img/1716316825504-v5BVdNVAMq.jpg)
4
あるとき気がついたら
ぼくはぼくという人間でした
でもぼくのからだは
ぼくが作ったわけじゃありません
こんな複雑で不思議なものを作れる人などいません
ぼくには名前がつけられていました
この名前、この顔、このからだがぼくなのです
ぼくは
気づいたら乗っていた知らない飛行機の
パイロットのようなものです
飛んでいる飛行機を、とりあえず落ちないように
安定飛行させなければなりません
最新高性能の機体ですが、行先がわかりません
そもそも飛行の目的は・・・
残りの燃料はあとどのくらい・・・
すべて不明ですが、おなかがすいてきました
とりあえずお昼を食べながら考えようと思います
うまいコーヒーも楽しみです
![](https://assets.st-note.com/img/1716317173333-38XcKFtChn.jpg)
5
あるときぼくは花だった
あるときぼくは虫だった
そしてあるときぼくは人間だった
この地球ドラマの作者はだれ?
ぼくはいま花になって咲いています
ぼくはいま虫になって飛んでいます
ぼくはいまちょっと人間やっています
ビールがうまいので
もうしばらく人間つづけます
![](https://assets.st-note.com/img/1716317520850-G6N5oDuRTJ.jpg)
6
この卵はボク10分前
10分後、ボクのからだになっている
この空気もボク10分前
10分後、ボクのからだになっている
10分前にはボクだった空気を
あの植物が吸っている
地球がボクになり、ボクが地球になる
ボクと地球はわけられない
だからボクと宇宙もわけられない
ボクは宇宙とつながっている
![](https://assets.st-note.com/img/1716317819119-VcUEyUGOqR.jpg)
7
うごくものは すべてエネルギーでうごく
車も動物も もちろん人も
車は空気とガソリンがエネルギー
動物や人は空気と食物がエネルギー
人はからだだけでは生きられない
だからボクは からだ+空気+食物 で生きている
だからボクは からだ+空気+地球 で生きている
だからボクは からだ+空気+宇宙 で生きている
ボクは宇宙だ !
![](https://assets.st-note.com/img/1716318169147-iBDjGof1LR.jpg)
8
ボクやキミは地球から生まれた土人形
草も木も地球から生まれた土兄弟
コップや車やパソコンも
地球から生まれた土製品
すべてのものは時の風に吹かれて風化し
経年劣化し 土に還り 分解し
混じりあい 入れかわり
再び新しく生まれてくる
太古から続く果てしないくり返し
地球は増えもしないし、減りもしない
地球はめぐりめぐってエンドレス
![](https://assets.st-note.com/img/1716318352290-UaFRtIAhMg.jpg)
9
目をつぶり、耳を澄ませば
聞こえる、聞こえる
この大地、地球の回る音
壮大で神秘的なスピン回転
この巨大ゴマを回したのはだれだろう?
![](https://assets.st-note.com/img/1716333139298-HqfpvW0S5p.jpg)
10
天空に浮かんでいる月
巨大な物体が空に浮かんでいる不思議
どうして月は静止しているのだろう
まわりに支柱や固定機材もないのに
じつは月は支えられている
見えない無数のロープで
地球や太陽や宇宙すべての星々と・・・
それは引力というロープ
ボクやキミも結ばれている
この見えないロープで
地球や太陽やすべての遠くの天体と・・・
宇宙のすべてのものは
お互いに結びあっている
どんなに小さなものでも・・・
だからボクたちは宇宙と兄弟
![](https://assets.st-note.com/img/1716333682927-8vhbv42q5M.jpg)
11
星をながめるとき
星もまた
ぼくをながめている
なにか
話しかけているようだ
あの星にも
相談したい悩みがあるのかな
だれが自分を作ったのかとか
なぜ自分は存在しているのかとか
なんのために自分がいるのだろうかとか
このぼくも
おんなじ悩みをもっているなんて
どうしてわかったのだろう
あの星は
この大宇宙が
もともとは
砂つぶよりも小さな
点だったなんて
想像したことあるのかな
![](https://assets.st-note.com/img/1716333974329-xNk1s3HOxR.jpg)
12
新車を購入しました 休日のドライブが楽しみです
パソコンも最新型です 快適な反応です
新居の二階のリビングからは 満開の桜がみえます
しかし
車もパソコンも 新居も桜も さようなら・・・
現代の 最新の機器に囲まれて
明日も明後日も
ずっと変わらぬ快適な毎日と思っていた日々・・・
世界はおもしろくて おいしくて 楽しくて
そんな生活があたりまえで
いつまでもずっと続くと思っていた日々・・・
![](https://assets.st-note.com/img/1716334243412-bBvWAae1Ky.jpg)
13
「ある日」車がこわれた
・・・もう走らない
「ある日」パソコンがこわれた
・・・もう映らない
そして「ある日」ボクがこわれた
・・・もう明日はこない
ある日とつぜん その日はやってくる
明日かもしれない「その日」
![](https://assets.st-note.com/img/1716334550333-3WIX1HCRgH.jpg)
14
人生という旅は途中下車で終わる
思いもかけない見知らぬ途中駅
キップはまだ残っているけど・・・
カメラはまだ撮影できるけど・・・
ある日とつぜんゲームオーバー
まだ見てない所があるのに・・・
まだ予定は残っているし
おみやげも買ってないのに・・・
人生は有限
人生は未完成という完成の旅
![](https://assets.st-note.com/img/1716445394044-rV9WgJkqrc.jpg)
15
キャンプとは不便を楽しむもの
人生とは有限を楽しむもの
人生は期間限定・賞味期限付の
地球体験旅行
行先は自由です
目的なんかありません
なにをしてもかまいません
あとでレポート提出なんてありません
さあ、もう
退屈しているひまはない
人目なんか気にしてられない
どうでもいいことなんかしないで
一番好きなこと
一番やりたいことをして
今回の、しばしの滞在時間を楽しむ
![](https://assets.st-note.com/img/1716335147267-2fCAE4tX43.jpg)
16
絵や写真で見るオランダの風車は
障子の桟のようなすかすかの羽根
あれじゃ風が筒抜けじゃないかと
ながねん不思議におもっていたが
最近その疑問が氷解した
あの上に布を被せるのだそうだ
模型飛行機の翼に紙を貼るように
現代の風車は白くてシンプル
しかし世界中みな同じような形
3枚羽根を6枚羽根にして、
棒のように細い羽根をもっと巾広くしたら
パワーが増えるんじゃないのか
どうもそう簡単な話でもないらしい
もしこの地球上に風というものがなかったら
帆船の歴史もヨットも生まれなかっただろう
カティサークの紅茶運び競争もなかったし
南北戦争では風と共に去れなかった
風雲児信長や風林火山がなかったら
歴史ドラマはちょっとつまらない
![](https://assets.st-note.com/img/1716335383947-g9SejTp9zH.jpg)
17
この小さな植物は太陽を意識し
宇宙を感じて生きている
二枚の葉は極小の受信アンテナ
緑のまなざしで光の方向を向き
命のめぐみを受けとる
8分前、太陽を出発し
広大な宇宙空間を横断してとどく
毎日の定期便
天空はるかで燃える巨大な火球と
この地上の目も耳もない小植物との
超遠距離コミュニケーション
・・・神秘のつながり
![](https://assets.st-note.com/img/1716397773292-xqSULP2iQb.jpg)
18
一枚の葉っぱはひとつの宇宙
無数の細胞でできた小さな宇宙
細胞は無数の分子、原子のあつまり
その原子はさらに小さな素粒子のあつまり
宇宙のなかの無数の星々
その無数の星々のひとつひとつに
また無数の宇宙
その無数の宇宙のひとつひとつに
さらにまた無数の宇宙・・・
![](https://assets.st-note.com/img/1716398173658-GSXSGxo562.jpg)
19
人は見えるものに名前をつけた
でも山、河、海たちは、
自分が山、河、海だなんて知らない
人は自分が考えたものにも名前をつけた
地獄、極楽、天国などを創作し
恐れ、喜び、待望した
しかし
秋、紅葉して落ちる木の葉たちは
地獄、極楽、天国など知らない
ただ静かに大地に還り
母なる地球の胎内で
再び木となって生まれてくる日を
夢想しているだけ
![](https://assets.st-note.com/img/1716398621697-4da8HLEkTq.jpg)
20
花はまぼろし
すべての生命もまぼろし
生命は虹のようなもの
生命は
ひとときの甘い香り
この世ならぬ
宝石のような美しい輝きを
いっしゅんだけみせて
夕日のように消えてしまう
写真や映像に残しても
もう
さわれないし香りもない
デジタルメモリーという
無味無臭の情報という存在
重さもかたちもない
数字の羅列
![](https://assets.st-note.com/img/1716399081839-Vqqu241ehl.jpg)
21
植物は目がないから
昆虫を見れないし
もちろん人も見れない
山も空も雲も見れないし
自分自身も見れない
太陽や月や地球が丸いことや
風が見えないことも知らない
歩くこと、動くことが理解できないし
夜空の星々や宇宙なんて想像したこともない
しかし
この地球の上に生きていることは知っているし
花を咲かせる喜びも知っている
太陽の暖かさに幸せを感じ
朝露の心地よさも知っている
生物学なんて知らないが
地球の大地と気候を楽しんでいる
![](https://assets.st-note.com/img/1716399375243-DbmYtoHQyM.jpg)
22
もし地球に人間がいなかったら
山はない
山と名づける人間がいないのだから
ただ 地球の一部が高く盛りあがった部分
川もない
川と名づける人間がいないのだから
ただ 地球の長い溝に水がながれているだけ
山も川もそれを決めて名づけなければ
ないのとおなじ 地球と分けられない
地球上のあらゆるものは
名前をつけなければ 分けられない
すべてはそのまま まるごと地球
地球そのまま ただひとつ
![](https://assets.st-note.com/img/1716399657285-j7A2HSLB6Q.jpg)
23
ぼくがひとつの星をみつめたときは
その星の光が、ぼくのこの目に
たった今とどいた瞬間
はるか昔、星を出発した光
ぼくと星の間にはさまれた
はてしない宇宙空間を横断し
はてしない時の流れを越え
ただひたすら走りぬけて
今到着した星からの光
ぼくの網膜、視神経を通過し
脳細胞で静かに停止した
星からのメール
「ぼくたちは 兄弟」
![](https://assets.st-note.com/img/1716400010931-adFJVZIHHo.jpg)
24
月をみるとき
ぼくと月のあいだに
さえぎるものはなにもない
ぼくと月がはさんだ透明な宇宙空間
星のうしろの深い空をみるとき
ぼくと深い空のあいだに
さえぎるものはなにもない
ぼくと深い空がはさんだ透明な宇宙空間
星のうしろの深い空
深い空は宇宙の果ての永遠
この地球という小さい星から
透明な宇宙空間をはさんで
ぼくは永遠をみている
ぼくたちは
夜空いちめんの永遠のなかにいる
![](https://assets.st-note.com/img/1716400285669-zupPQ1Nexl.jpg)
25
銀河をこえ
星雲をこえ
また銀河をこえ
はてしなく宇宙をつきすすんで
ボクのスペースシップは航行した
ワープとトンネル効果をくりかえし
時間と空間の法則も飛びこえて
とうとう宇宙の外に出た
やれやれ一生かかったぞ
さてこれからどうするか
そのときボクは気がついた
あと一本ビールが残っている
![](https://assets.st-note.com/img/1716400640972-hvhfwLYG2w.jpg)
26
夜空の無数の星々
太古から続く悠久の宇宙
ときおり流星が天空をよこぎる
宇宙は巨大なプラネタリウム
だれかがどこかで
3Dプロジェクターを操作している
「今回の宇宙は終了します
またの機会をお楽しみに」
宇宙のはてから
とつぜん事務的なアナウンスが聞こえ
天から大きな幕が下りてきた
ボクは残りのビールを飲みほし
ゆっくり立ちあがった
![](https://assets.st-note.com/img/1716401061224-wB4qPNUqAI.jpg)
27
パソコンは外も内も多くのパーツが
プラスチックでできています
つまり元は石油で
そのもっと前は化石だったのです
人が寝静まった深夜
時間がとまったようなだれもいない室内で
パソコンがそっと点いていることがあります
画面からとび出した太古のシダの森
森のかげからのぞく巨大な恐竜
遠くひびきあう不気味な咆哮
プラスチックたちの古代の記憶が
いま よみがえって
深夜の同窓会をやっているのです
翌朝 パソコンを開いた時
いっしゅん 大きなかげが映ったら
それは恐竜の足跡です
![](https://assets.st-note.com/img/1716401489542-ffa9ctghfs.jpg)
28
月は地球の衛星だけど
緑の植物は1本もなさそうだ
火星の衛星フォボスやダイモスも
緑には縁がなさそう
私は地球の衛星を3個もっている
どれも緑の太陽パネルが美しい
高度0m
地球の自転と同一速度で回転
大地に乗った超小型の衛星
それは私の庭の3個の盆栽
丸い鉢底にはゴロゴロ岩
その上に良質の土
H2Oが毎日宇宙からそそがれる
モミジの林
ドングリの森
ハゼの小山
どれも手の平にのる豆盆栽
![](https://assets.st-note.com/img/1716413641868-nJ4Gv0hc7l.jpg)
29
遠くの星から地球をみれば
そこは宇宙のまんなか
無限の星々の中のひとつ
宇宙空間に浮かぶ小さな青い星
その宇宙空間に包まれて、きょう、今、
キミもボクも草や虫も生きている
家の内も外も宇宙空間
わざわざロケットにのって
宇宙に飛びださなくても
公園の森や池もりっぱな宇宙
ここは宇宙県地球市北東区南西町1-5
![](https://assets.st-note.com/img/1716413996431-yzLCmIG7UD.jpg)
30
地球はひとつの生命体
動物、植物、人間は地球の細胞
地球は生きている
地球は見ている
地球は考えている
この自分って何だろう
この宇宙って何だろう
なんのためにこの宇宙はあるの
なんのために自分はいるの
地球もたまにはビールをのんで
このくるくる回りを休んでみたい
![](https://assets.st-note.com/img/1716444139369-dFG071ILWF.jpg)
31
全宇宙には1000億個以上の銀河
天の川銀河はその中のひとつ
天の川銀河には2000億個の恒星
太陽はその中のひとつの恒星
太陽系は天の川銀河のはずれ
太陽系の8つの惑星のひとつが地球
地球は星屑が集まって誕生した
ぼくはこの地球から生まれた
だからぼくのからだは星屑からできている
きみや花やチョコレートも、
山や川や雲も、
パソコンや車やマグカップも、
みんな元々の材料は星屑
![](https://assets.st-note.com/img/1716443679016-DFlb6w2ih4.jpg)
32
分子や原子は老いない
化学の教科書は古びても
分子や原子は歳をとらない
しかし分子原子の集合体は老いる
経年変化し、経年劣化し
分解して
もとの分子、原子に戻り
別の集合体に生まれ変わる
集合体はたえず変化し
たがいに入れ替わり
あるときは雲や山になり
またあるときは花や猫になる
ぼくも集合体
星のかけらと
花びら一枚と
恐竜のしっぽの先が
たまたま組み合わさって
いまのぼくができあがっている
あしたは何になっているかな
![](https://assets.st-note.com/img/1716414244415-kPWVznWDcp.jpg)
33
ボクは
星から生まれた星人間
青い星の上を ボクは歩く
散歩に疲れたら
宇宙空間にひたって昼寝
目覚めたら
しばらく人間お休みして
青い山になって 雲をながめたり
緑の湖になって 魚とあそぶ
それもあきたら
赤い花になって 蝶を誘う
そろそろ日も沈んできたので
また星人間に戻り
家に帰ってビールの時間
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