礒部晴樹

横浜生まれの工業デザイナー。絵画、小説、詩画集、絵本、体験記、を投稿します。 夢幻の絵…

礒部晴樹

横浜生まれの工業デザイナー。絵画、小説、詩画集、絵本、体験記、を投稿します。 夢幻の絵画。魔法や闘いとは無縁の別世界ファンタジー小説。3度のガン手術から生還した80歳の私の世界観は詩画集に。老講師時代のチョイときめき体験談。ラジコンヨットと自転車、そしてコッソリ酒の日々。

記事一覧

[エッセイ] ラジコングライダー low,slow,touch !

  私はラジコン模型が好きで、作るのも見るのも楽しい。  子供のころから模型工作が好きで、これは老後の今になっても変わらない。  水陸空なんでも楽しいが、なかでも…

礒部晴樹
7日前
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この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第96回]

練習船 海の好きな少年たちは いつかは練習船に乗るであろう バナナの実る南の島へ 風に帆を張り とんでゆくであろう 恋することを忘れた一生を 波のまにまに送るであろ…

礒部晴樹
2週間前
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[エッセイ] 大河ドラマ「光る君へ」を楽しむ ──小さい発見・疑問と考察

 大河定番の戦国時代ではなく、あまり知られていない平安時代の話ということで、期待半分だったが、楽しく拝見させていただいている。  前回、ちょっとした発見があり…

礒部晴樹
3週間前
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この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第95回]

真白い帆をつけたヨットにのって 少年は出発しました 遠い遠い海のどこかに 宝島があると おじいさんにきいたことがあったから ひとりぽっちで 少年は旅をつづけて あんま…

礒部晴樹
4週間前
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この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第94回]

美しい港 世界でいちばん美しい港は どこにあるのでしょう ひとびとが あいさつのかわりにひとつの歌をうたって 花のかわりに星をうえた鉢が 家々の窓辺に並んで 夕焼けが…

礒部晴樹
1か月前
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この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第93回]

童謡 いつでも そこで日が暮れた 道しるべはからっぽで 海は迷い子になっていた 舟をつくろうと思いつくと 帆がなかった 天にのぼろうと思いつくと はしごがなかった …

礒部晴樹
1か月前
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年甲斐もなく狂い咲く ──女子学生、自転車、ラジコンにときめく老年

 この文章、年寄りの強がりと自慢話のようなものです。  私は老年期を教師として多くの若者たちと接することができ、大変幸運でした。  その学生たちとのズッコケ交流を…

礒部晴樹
1か月前
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この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第92回]

ふたたび病床にて わたしが病んで ねていると 木の葉がひらり 一まい舞ひこんできた しばらくみなかった 森の 椎の葉だった 山村暮鳥 同名の詩(第52回)の別案の絵です。…

礒部晴樹
2か月前
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この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第91回]

旅立ち きのうまでは思ってもみなかった 遠くの村へ 今日は旅に出ることをおもいます こんなにすきとおってあかるい 秋の日だから・・・ 道ばたには 青いリンゴがみのってい…

礒部晴樹
2か月前
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「Haruki Fantasy」 デジタル画集       ──見果てぬ夢幻60年 全26点

私の画風は学生時代に決まりました。 それ以前は写実的な風景画を描いていましたが、 学生時代、二つの出会いがあり、以降描き方ががらりと変わりました。 一つめはクレー…

礒部晴樹
2か月前
29

「休日の午后の漢詩」 デジタル詩画集  全40点 ──時を忘れる閑雅な世界

漢詩には、のどかで親しみやすい詩がたくさんあります。 今回、私の好きな詩から40点、絵にしてみました。 山水画や水墨画風ではなく、あえて現代風に、単純化した線と面で…

礒部晴樹
2か月前
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この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第90回]

霊巌寺        れいがん寺 館娃宮畔千年寺    かんあい宮畔 千年の寺 水闊雲多客到稀    水ひろく 雲多くして 客の到ること稀なり         聞…

礒部晴樹
2か月前
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絵本「うえはどっち」 うえってなんだろう?

礒部晴樹
2か月前
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絵本「かいぶつデゴン」 デゴンがまちにやってきた!

礒部晴樹
2か月前
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[絵本] ひみつのちかみち

礒部晴樹
2か月前
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[詩画集] ぼくは星の子・宇宙の子 ──ぼくって何? どこからきてどこへいくの?

1 ぼくはいま、たまたま人間やっています たまたまほかの動物や 花や木だったかもしれません もとをただせばみんな この地球から生まれた兄弟なのです この地球が母なので…

礒部晴樹
3か月前
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[エッセイ] ラジコングライダー low,slow,touch !

  私はラジコン模型が好きで、作るのも見るのも楽しい。  子供のころから模型工作が好きで、これは老後の今になっても変わらない。  水陸空なんでも楽しいが、なかでもグライダーは昔、作り飛ばしていたことがあるので、動画を見るだけでも飽きない。  動画はその気になって探せば、いくらでも見つかるが、たいていは上空高く上げてトンビが飛ぶようにポツンと小さく舞っている。  しかし画面の中で、遠く小さすぎておもしろくない。  右へ行ったり左へ行ったり、ときどきクルリと宙返りしたりしているの

この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第96回]

練習船 海の好きな少年たちは いつかは練習船に乗るであろう バナナの実る南の島へ 風に帆を張り とんでゆくであろう 恋することを忘れた一生を 波のまにまに送るであろう 軈てロビンソンのように年老いてから 人形のような乙女を娶るであろう 丸山 薫 ※軈て=やがて 娶る=めとる この詩、二回目の登場です。前回は [ 第19回 ] 8か月前でした。 大好きな丸山薫の詩、今回は南国的に、カラフルに描いてみました。 丸山薫の海洋物の詩、どれも絵心を刺激されます。 7月は創作大賞

[エッセイ] 大河ドラマ「光る君へ」を楽しむ ──小さい発見・疑問と考察

 大河定番の戦国時代ではなく、あまり知られていない平安時代の話ということで、期待半分だったが、楽しく拝見させていただいている。  前回、ちょっとした発見がありおもしろかった。  まひろが幼い娘に本を読み聞かせている場面だったが、そのお話は「竹取物語」だった。  まだまひろは「源氏物語」を執筆していないから、「竹取…」は「源氏…」ょり古いことになる。  なんだ日本最古の文学といわれる「源氏物語」より古い物語があったんだ、と思った。  もっとも著作のボリュームは比較にならない

この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第95回]

真白い帆をつけたヨットにのって 少年は出発しました 遠い遠い海のどこかに 宝島があると おじいさんにきいたことがあったから ひとりぽっちで 少年は旅をつづけて あんまりながく走ったので いつか 宝島のことをわすれました 少年はもう 何をさがしているのかわからない どこへ行くのかもわかりません それでも走って行くのです 遠い海のむこうへ いまごろ あの少年は魚に なっているかもしれません 立原えりか *この詩も再登場です。 前回は [ 第9回 ] 8か月ほど前でした。

この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第94回]

美しい港 世界でいちばん美しい港は どこにあるのでしょう ひとびとが あいさつのかわりにひとつの歌をうたって 花のかわりに星をうえた鉢が 家々の窓辺に並んで 夕焼けがいつまでも消えない港 誰もが 出発することばかりゆめみている おだやかなあかるい港は どこにあるのでしょう 立原えりか この詩、前回 [ 第2回 ] につづき、 再登場です。 今回は詩のイメージから少し離れ、 「出航」「旅立ち」というテーマで、 作画してみました。 この詩も好きな詩なので、 まだまだ別の絵が

この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第93回]

童謡 いつでも そこで日が暮れた 道しるべはからっぽで 海は迷い子になっていた 舟をつくろうと思いつくと 帆がなかった 天にのぼろうと思いつくと はしごがなかった 少年は さかなになりたいと云い 少女は かもめになりたいと云い ふたりとも大人にしかなれなかった いまも そこで日が暮れる 道しるべは街角をさして 夏はもう 知りつくしたにおいがした 立原えりか 同名の詩 ( 第4回 ) の別案の絵です。 青春の夢と挫折をうたっていますが、 生々しい切実感よりは、おっと

年甲斐もなく狂い咲く ──女子学生、自転車、ラジコンにときめく老年

 この文章、年寄りの強がりと自慢話のようなものです。  私は老年期を教師として多くの若者たちと接することができ、大変幸運でした。  その学生たちとのズッコケ交流をおもにえがいています。  またその間、自転車、ラジコン、パソコン、そしてiPodと読書など、たっぷり楽しみました。  その後大病を患い、残余の人生、人目気にせず、好きに生きています。  ご笑覧いただけましたら幸いです。 1 ときめき大作戦  私は2000年から2013年までの13年間、東京都下にある某デザイン専

この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第92回]

ふたたび病床にて わたしが病んで ねていると 木の葉がひらり 一まい舞ひこんできた しばらくみなかった 森の 椎の葉だった 山村暮鳥 同名の詩(第52回)の別案の絵です。 森の木の葉のお見舞いでしょうか。 ささやかなメルヘン、ファンタジーを感じます。 おなじ一枚の木の葉でも、 O.ヘンリーの最後の一葉とは、だいぶ趣が異なります。

この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第91回]

旅立ち きのうまでは思ってもみなかった 遠くの村へ 今日は旅に出ることをおもいます こんなにすきとおってあかるい 秋の日だから・・・ 道ばたには 青いリンゴがみのっていて 森には ムラサキの花が咲きあふれていて 夕方になると 人々の歌う声が ゆたかにひろがるような おちついた小さな村へ 行ってみたいとおもいます 立原えりか *立原えりかさんの詩、二回目の登場です。 前回はこのシリーズ第一回目(8か月前)でした。 今回の絵は、多少詩の内容に沿ったものにしました。 素敵な詩

「Haruki Fantasy」 デジタル画集       ──見果てぬ夢幻60年 全26点

私の画風は学生時代に決まりました。 それ以前は写実的な風景画を描いていましたが、 学生時代、二つの出会いがあり、以降描き方ががらりと変わりました。 一つめはクレーです。 升目に区切った画面のファンタジックな美しさに魅了されました。 そして二つめは、W.H.ハドソンの小説「緑の館」です。 この小説のヒロインの、神秘の森の娘が私の絵のモチーフとなり、現在まで続いています。 今ではすっかり舞台を変えていますが、今回ご覧いただく絵のモチーフは、その神秘な森の娘の末裔たちです。 幻の娘

「休日の午后の漢詩」 デジタル詩画集  全40点 ──時を忘れる閑雅な世界

漢詩には、のどかで親しみやすい詩がたくさんあります。 今回、私の好きな詩から40点、絵にしてみました。 山水画や水墨画風ではなく、あえて現代風に、単純化した線と面で構成した、モダンアートのデジタル画として描きました。 詩のさし絵ではなく印象で描いていますので、内容が多少異なる絵もあります。 私にとって、未知の表現を試みる、新鮮な体験でした。 ご興味をもってご覧いただけたら幸いです。 1 春日憶江上       しゅんじつ こうのほとりをおもう 一川流水半村花     いっ

この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第90回]

霊巌寺        れいがん寺 館娃宮畔千年寺    かんあい宮畔 千年の寺 水闊雲多客到稀    水ひろく 雲多くして 客の到ること稀なり         聞道春来更惆悵    聞くならく 春来更にちゅうちょう             百花深處一僧帰    百花深きところ 一僧の帰る              白居易 いにしえの宮殿 館娃宮のほとりにある 千年もの古い寺 水郷が広々とひらけ 雲が多く 訪れる人は少ない 聞けば 春になったら 更にものわびしく 見渡す限

絵本「うえはどっち」 うえってなんだろう?

絵本「かいぶつデゴン」 デゴンがまちにやってきた!

[絵本] ひみつのちかみち

[詩画集] ぼくは星の子・宇宙の子 ──ぼくって何? どこからきてどこへいくの?

1 ぼくはいま、たまたま人間やっています たまたまほかの動物や 花や木だったかもしれません もとをただせばみんな この地球から生まれた兄弟なのです この地球が母なのです 時の風にふかれて みんな もとの土のかたまりに戻され こねこね混ぜ合わせられて ふたたび新しく登場します そのときなんになるかは 造形家の気分しだいです せっかく人間やっているので うまいビールでも飲んで 今回の人間時代を愉しみます 2 ボクやキミや動物や植物 そして海、河、山や、月、太陽 満天の星々と