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自立できない息子と自立させない母親


人生のvicious cycle


vicious cycleとは、悪循環のことである。

ひとつ、悪いことが起きる。
すると、この発生した悪いことが原因となって、次の悪いことが発生する。
悪いことが悪いことを呼ぶ、負の連鎖が発生するというものだ。

Vicious Cycleとは、フィードバック ループを通じて自らを強化し、有害な結果をもたらす複雑な出来事の連鎖です。
正のフィードバックの例では、サイクルの各反復が前のサイクルを強化します。
Vicious Cycleは、外部要因が介入してサイクルを断ち切るまで、その勢いの方向に継続します。

Wikipedia


息子が小学6年のとき、母親が”がん”になった。

とはいっても、早期発見、早期治療ができたため、無事退院できて、めでたしめでたしだった。

本来なら、それで終わる話だった・・・・

中学の部活動

中学の部活動について、母親から某文化系の部活に入るよう指示があった。その某部活は、スクールカーストの底辺であり、先生方からも軽蔑の目を向けられるような、やや問題のある部活動であった。

息子は、正直気が進まなかったが、母親に説得されて、その部活動に入った。

結果、息子は中学時代をスクールカースト低位で過ごすことになり、若干病んだ。

なぜ、彼女は、息子の部活動の選択に口を出したのだろうか?
そして、その選択先が、なぜスクールカースト低位になるような部活だったのだろうか?
(彼女が知らなかったということはない。顧問の先生が、その部活動が軽んじられている状況を嘆いた言葉を、彼女はちゃんと把握していた。)

高校選択

息子の高校受験のとき、母親から受験すべき高校の指示があった。
息子としては、その高校は友だちがほとんど行かない高校であり、勉強もかなり頑張らなければならず、正直、気が進まなかった。

でも、彼女は、友だちなんてすぐにできる!
と強気で、偏差値の高いその高校への受験を指示した。
(息子は頑張って勉強して、合格した)

これは、おかしな話であった。
「あなたはコミュニケーション能力がないから、理系に進みなさい!」
という指示を、息子は中学時代から受けていた。
数学や理科を重点的に勉強するような誘導をしていたのは当の彼女である。
コミュニケーション能力がないことは、すでに折り込み済みだったはずだ。
なのになぜ、友だちなんてすぐにできる!と強気だったのだろうか?

また、息子の高校での部活に対しても指示を出した。
高校での部活選択は、勉強に集中すべき点と、その高校には適当な部活がないから、ということで帰宅部になってしまった。

息子の高校生活は、もともと友だちがおらず、帰宅部なので友だちもできず、暗い高校生活になった。


なぜ、彼女はこんなに介入したんだろうか?

彼女は、一体全体、何を考えていたのだろうか?


あえて、息子を弱体化する作戦

この母親は、息子を溺愛するタイプである。
めちゃくちゃ甘やかす。

ずっと手元においておきたい、という気持ちを強く持っていた。

特に、息子が小学生のときに”がん”になってからは。

当時、”がん”には死のイメージがあった。
死の恐怖は、母親の息子への執着を強める効果があった。

実際に、母親はその後もずっと専業主婦で、甲斐甲斐しく息子の世話をし続けた。

息子を甘やかし続けた。

もし、息子の友だち関係が充実して、夜に帰ってこなくなったり、不良になって悪いことをするようになったら、どうしよう。

悪友とのつながりは、ない方が良い。
毒になりそうな、凶暴な友人はないほうがよい。
そう、おとなしいだけが取り柄の奴らと、つるむようにしたほうが都合がよい。

そのために、中学・高校の部活動選択には積極的に介入した。
あえて、家の外での人間関係を希薄にして、息子が家にずっといるような環境を構築するのだ。

もちろん、引きこもりになっては困るから、学校には行ってもらう必要がある。
偏差値の高い大学に行って、しっかり稼いでもらう必要がある。
勉強には力を入れてもらう必要があるが、その他の余計なことはしなくていい。

アメとムチで、息子の行動を誘導する。

「平日、疲れているだろうから、土日はしっかりと休みなさいね」
休日も余計なことをしないように、釘をさしておく。

息子は、高校3年生になるころには、半分引きこもりになっていた。
そのうえ、快適な実家を出る気力を、すっかりなくしてしまっていた。

その結果、大学も実家から通えるところを自主的に選択したのであった。


計算外? のうつ病


大学生のとき、息子が病んだ。
うつ病と診断された。

息子はもう、自力で生きることが難しくなっていた。

人生の先行きが見通せなくなってしまった。

大学生なっても、人間関係をちゃんと構築できずに、人とのコミュニケーションがとれず、まったくもって生きていても楽しくない。

母親から、いい大学に行けば人生報われる、と聞かされて、それを信じて勉強してきたのに、何も報われそうにないという、残酷な真実に気がつきはじめていた。

息子は、ここできちんと反抗期をむかえて、母親と関係を再構築できるのか?

結果として、関係の再構築は、できなかった。

抗うつ薬を飲んで、なんとか大学生活をやり過ごした。
たまたま、就職活動のときに、うつ病の調子が良かったこともあり、なんとなく就職はできてしまった。

その就職先も、堅い仕事であり、母親が喜びそうな就職先であった。
もちろん、実家から通えるところだ。

息子は、就職先は自分自身で選択したものの、長年にわたる母親の影響を大きく受けていた。

当然ながら、このようなあり様では、就職してもすぐに、病むことになる。

そして、精神を病みがちな息子は、母親から離れて生きるることはできなくなった。

まとめ


母親が”ガン”になる。

息子と離れたくない!と、息子に対する執着が増加

息子を弱くする介入

息子が病む

一生、母親から離れることができなくなる。

これが、人生のvicious cycle


だれひとり、幸せになっていない。



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