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働き方の見直しは大局観が大切

日々、働き方に関するさまざまな情報や商材を見聞しますが、個人的にビビッとくる情報があまりないように感じています。ビジネスの面からすればふんわりした総論よりも、個別具体的な課題のソリューションを提供するのは当然のことだと理解しますし、企業側の導入判断も個々の課題を解決する有用なものとして受け止められると思います。ただ、企業やそこで働く人にとってはまさしく部分最適なのではないのかと思えて仕方がないです。

ツールの導入が目的になっていませんか?

生産性向上や労務管理のためにはITツールの導入が効果的な面もあるでしょう。テレワークを実施した結果、メンタルヘルスや評価、コミュニケーションの問題などが発生してもそれを防ぐことも大事なことでしょう。

個々の課題を解決するツールは大量にあり、そのいずれも優れた機能を持ち合わせており、非常に魅力的に映ります。

ただ、働く環境の見直しをハード面からアプローチし、より良い環境を目指したとしても、肝心な目的である経営理念の体現や社風の醸造がすっぽり抜け落ちているような気がしてならないのです。

自社はどう在りたいのか、社員にどうなって欲しいのか、会社をどう良くしたいのか、そういう大事な部分が疎かになっていて、「〇〇の導入により当社は生産性を高め、コロナ渦においてもより一層の市場競争力を獲得することができました!」的な導入事例などは正直心に響かないのです。

なんのために働き方を見直すのか。

他社がやってるから、株主の目があるから、良い企業イメージをPRしたいから、一見すると誰もが納得しそうなもっともらしい理由を並べてみても、そこで働く人たちはそれは対外的なポーズであったり、売上のためであったりと敏感に感じ取ると思います。経営者に大局的な視座がなく、自己満足でツールありきの小手先の環境整備による「働かせ方」の見直しは本末転倒で失敗に終わるでしょう。

試されているのは、頭の良さではなく、納得や共感を得られるかどうか

働き方を見直すための解決手段はなんだろうかと私も日々考えますし、情報収集も大量に行いますが、その際にはこれを導入した場合、働く人はどう感じるだろうかをじっくり考えます。理路整然とメリットばかりを伝えられても、そのツールや環境を利用する側が納得、共感しない限りきっとうまくいかない、そういう危惧を念頭に置きながら複雑なパズルの組み立てを検討します。結局、人は感情の生き物といういつもの話に落ち着いてしまうのですが、 誰のためか、何のためかという大局観なしに働き方の見直しはうまくいかないと思います。