起業時にありがちな失敗は
大学院に通って、中小企業論を中心に勉強しています。
私の研究テーマは「事業承継」に関することですが、同期には「ベンチャー企業・スタートアップ」について研究している人もいます。
そんな周囲に触発されて、起業に関して考えることも増えたのですが、その中で、成功するパターンよりも失敗するパターンを研究する方が大事なんじゃないかと思うようになりました。
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
と言うくらいです。負けパターンを研究して、予防策を提示できる方がこれから起業する人の役に立ちそうな気がしています。
ただし、これは難しいのです。失敗事例はなかなか世の中に出てこないものですから、事例の研究がなかなかできないのです。
ということで、以下は私の経験や周囲の人から聞いた体験談が基になった仮説ではあります。しかし、それほど大きく外れているとは思いません。とりあえず3つの例を提示してみます。少しでも参考になればと考えています。
■初期投資にお金をかけ過ぎてしまう
起業してすぐに立派な事務所を借りたり、人を雇ったりする人がいます。「安物買いの銭失い」はダメだと言って、最新鋭の機材に投資する人もいます。
本人なりに必要だと考える理由はあるのでしょうし、話を聞くと必要と考えるのもわからなくはないことが多いものです。しかし、それは本当に「今」必要かどうかは、よくよく考えた方が良いでしょう。
賃料や人件費などの固定費が膨らんで、開業資金があっという間に尽きてしまった、なんてことになれば意味がありません。開業当初は、必要最小限の設備以外の固定的にかかる費用はできる限り小さくするに限ります。
必要最小限の設備とは何かと言えば、自分の事業の「コア(ドメイン)」に関わる部分です。これがないとマーケットに価値が提供できない、と思われるものです。
開業資金を使いすぎないようにするために。やはり事業計画書をしっかり作り、自分の事業のコアにいつも立ち返ること、そして資金繰り計画表を作り込んでおくのが大切です。使える経費はいくらまでなのか、しっかり見える化しておきましょう。
■ 準備不足のままスタートする
起業するには「覚悟」が必要だと言います。私もそう思います。そして、思い切りも必要です。最後は「えい、やあ」と飛び込む勇気が必要になります。しかしそれは、「無謀」とは違います。
“ cool head but warm heart ”という言葉があるように熱い志や理想を持つ一方で、冷静に戦略を練る頭脳が必要です。
もちろん、どんなに計画を練り込んでも、やってみなくては分からない部分はあります。ですから、プランBの用意も周到に準備しておく必要があります。
サラリーパーソンであれば一定の収入を確保した上で、週末起業から始めるのも良いでしょう。起業当初から、週7日間、フルに忙しく働かなくてはいけないほど仕事があるケースは稀でしょう。小説家の方でも、会社員を続けながら小説を書き続け、目途がついてから作家専業になる方も多くいらっしゃいます。
リスクを小さく起業するには、「小さく始めて大きく育てる」気持ちで始めるのが良いと思います。
■安易に値下げをしてしまう
起業当初は知名度もなく信用もまだありませんから、商品はなかなか売れないものです。なんとかして売り上げを確保しようと値下げ販売する人がいますが、これは失敗につながる典型的なパターンです。
値下げをすれば利益は減ります。減った分を確保するにはより数を売る必要が出てきます。そして、多く売るために更に値下げをするといった、マイナスのスパイラルに陥ってしまいます。
また、一度下げた値段は上げるのが難しいものです。特に昨今のような経済状況ではなおさらです。
起業当初に売り上げがあがらない原因は、サービスや商品の金額ではない場合がほとんどです。多くは、認知されていないことが原因です。まずは認知度を上げられるプロモーションの工夫を優先してみましょう。
■終わりに
起業はゴールではありません。起業してからが本当の意味でのスタートです。また、最初から順調に行く人は稀で、「思った通りに行かないなあ」と感じる人がほとんどです。不安や焦りから失敗してしまう場合が多いですが、失敗するパターンにはまらないように、ちゃんと計画を立て、冷静な判断ができるようにしておきましょう。
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