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「企業内診断士」 だからできたこと

企業に勤めているからこそできる経験とはどんなことなのか。次回はそのあたりから書いていきます。

前回記事で、こう締めさせてもらった中郡です。早くも2度目の担当になりました。

「企業に勤めているからこそできる経験」について、自分を振り返りながら書いていきます。

■中小企業診断士になって会社から言われたこと

2012年12月に中小企業診断士試験に合格し、実務補習を経て、2013年10月に診断士登録をしました。
「年が明けたら動き出さなきゃ。どんなことをやっていこうかな」
と考えていた年の瀬のこと。本社の常務に呼ばれてこう言われました。

「診断士を取ったんだから、経理はできるよね」

営業畑で育ち、経理の経験などまったくない僕にとっては青天の霹靂で、
「僕が取った資格は、会計士でも税理士でも簿記でもないですよ」
と抵抗を試みるものの、返ってきた答えは、
「診断士の試験科目に会計ってあるよね」

それは確かにありますが(苦笑)、僕は合格した年の一次試験で60点取れなかったは財務・会計だけでした。二次試験も、事例Ⅳ(財務・会計)のあまりのできなさに「絶対落ちた」と思っていました。それほど財務・会計は苦手で、診断士なってその分野に関わることなど、小指の先ほども考えてはいなかったのです。

しかしこの話は社長にも伝わり、「それがいい」となって、決定事項になりました。唯一の救いは、異動まで半年近い猶予があったことでした。

当時、ある事情から、経理の責任者が退職し、代わりに銀行OBの方に期間限定で働いてもらっていました。その期限が近づいてきていたことも気づきました。誰かがやらないといけない。僕が適任だとは思えなかったですが、社内を見渡し、消去法で選んでいけば、
診断士として自分がやるしかないと思わざるを得ませんでした。

とはいえ、着任して1年は嫌で嫌で仕方がなかった(笑)。部下となる人たちは全員、経理キャリア10年以上です。彼女たちだけで日常業務は回っていきます。その中で、僕が何をすればいいのか、暗中模索の日々だったように思います。

■望まなかった経験が強みになる(かもしれない)

それでも3年目あたりから、なんとか(いえ、突き上げられるようなミーティングを重ね)日常業務の役割分担は決まってきました。やっと落ち着いて会社全体が見えるようになりました。

僕が勤めている会社(中小企業です)には、経営企画や経営管理を担当する部署はありません。法務は顧問弁護士や顧問税理士に任せきり、補助金申請も外部コンサルタントに丸投げでした。

そうか、このへんのことに取り組めばいいのか、と思いました。「それは経理の仕事なんですか」と質問を受けたこともありますが、会社に必要な業務にもかかわらず担当者がいないなら誰かがやったほうがいい。最終的に外部に任せるにしても、内部にきちんと対応できる人間がいたほうがいいに決まっています。また、経営企画・経営管理は、数字を押さえている部署が担当するのが一番だと考えました(「経理とは経営管理の略語だ」と言い出したのはこのころです)

さらに、社長の年齢などを考えれば、事業承継も避けて通れない問題になっていました。

こうしたことを踏まえ、財務診断系の研究会、事業承継の研究会に参加し始めます。そこで学んだことを会社に持ち帰り、実践しつつ新たな課題を研究会に持ち込む。支援実務に取り組むときも、こうして学んだことを活かしながら、その経験を会社へ、研究会に持ち帰る。そんなサイクルが、少しずつ形にできそうになってきています。このまま続けていけば、自分の強みにできるかもしれません。

診断士になったころ、財務をしている自分を一ミリも想像していませんでした。最近知り合った診断士の友人の中には、僕のことを財務・会計畑の人だと思っている人がいますが、断じて違います(笑) すべて、会社に命じられた仕事がきっかけです。

確実に言えるのは、診断士資格取得後すぐに独立して、自分でやることを決めていたら、いまとはまったく違っていたということです。自分の意志で、財務・会計をやっていこうなんて、絶対考えなかったですから。企業内診断士として、会社から与えられた業務を診断士の活動と結びつけてきたこそ、今がある。結果として、自分の幅を広げられたと思っています。

企業に勤めているからこそ自分が希望しない仕事をする羽目になり、でもそのことが自分を成長させてくれる契機になる、ことも多いと思うようになりました。

いつまで企業内にとどまるかわかりませんが、会社員である限り、命じられた業務は受ける(法律違反でない限り)との姿勢でいたいと考えています。


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