見出し画像

想像上のノンフィクションに憧れる


ここ3週間ぐらいで撮り溜めた写真の現像待ちをしてる。
箸休めの自分ポエム。




*  *  *




「物語の世界はこの世界のどこかにある」と思っていた。


例えばゲームに出てくるような剣と魔法の世界もこの世のどこかにあって、それを誰も知らないだけで、物語を書いた人がその存在をなにか運命的な力で受信しているのではないか、と思っていた。

小学校の頃、とかじゃなくて、もっと、高校生ぐらいの頃もずっと思っていた。
なぜなら「その世界が存在しないこと」を証せる人はいないから。


カードファイト!!ヴァンガードというカードゲームアニメでは「カードのキャラクターたちが住む世界」が「地球によく似た惑星クレイ」という設定で描写されていたのだけど、きっとそれがわたしのこの考え方の出処だと思う。

ヴァンガードのカードのキャラクターたちが「地球によく似た惑星クレイ」に住んでるなら大好きなオンラインゲーム・FF14の世界である「エオルゼア」だって存在するし、アイドルマスターのアイドルたちも実際にどこかに住んでいて、あんなふうに山あり谷ありのアイドル人生を歩んでいると思っていた。




*  *  *




そんな言ってしまえば中二病を拗らせ続けたような学生時代を送ってきたわたしは今社会人を生きている。

アニメや漫画に興味はない。それらが好きな人の気持ちはわかる。ゲームもやらない。FF14だけはまだ続けてるけど。

好きなバンドの音楽と、サッカー観戦と、旅行と、コーヒーと、美容やファッション、それと写真。


学生の頃の「典型的なオタク」みたいな趣味をしていたわたしと比べれば随分と一般的なというか、万人受けする趣味になった、とは自分でも思う。



もしかするとわたしはずっと前から「アニメや漫画が好きなオタク」ではなかったんじゃないかと、根本的にわたしが好きなものは「アニメや漫画」ではなかったんじゃないか、とよく考えるようになった。


元々好きな漫画は好きだったけど、流行っているからと言って何でも読むようなことはしなかった。

ソシャゲもたくさんやっていた時期はあったけど、「ガチャで推しキャラ以外が出るのはハズレだ」と思ってしまうのが悲しくて早い段階で足を洗った。


考えれば考えるほど、元からわたしは「アニメや漫画が好きなオタク」の枠には入れていなかったような気がしてきた。




*  *  *




想像上のノンフィクションに憧れていた。

フィクションだったとしても、それを描いた作者の中にはその世界がそのまま存在していると思っていた。そういう作品と世界が好きだった。


多分それが答えなのだと思う。

学生の頃のわたしは狭い世界しか知らなくて、自分のいる世界が物語のようにドキドキして、目まぐるしくストーリーが展開して、美しかったり汚かったりする、そういうものだと思ってなかった。



でも実際はそんなことなくて、実際わたしだって学生の頃生き様を「ラノベの主人公みたい」だって言われたことが何度もあるし(これが褒め言葉なのかはわからない)、この世界にはアニメや漫画のようによくできたストーリーがたくさん転がってることを知った。


子供の頃サッカー選手と出会ったことがきっかけで劣等生と呼ばれながらも努力を辞めず今ではJ1で活躍してるプロサッカー選手とか、

サッカースクールでバイトをしながらサッカーを続けた結果クラブをJ2の舞台まで連れ上げて同じくJ1で活躍してるプロサッカー選手とか(こいつサッカーの話ばっかだな)、

小学生の頃から漠然と「自分は歌を歌う人になるんだろうな」と予感し続け今も音楽に囚われ二人三脚でいるミュージシャンとか。


「存在するけど自分には知覚できようもない世界」よりもっと近いところに「よくできた物語の主人公」はたくさんいることを知った。


その結果、わたしの「想像上のノンフィクション」への憧れは「ノンフィクション」への憧れとして置き換わった。

面白い物語やキラキラした世界は想像の中にしかないわけではなくて、だからアニメや漫画にこだわる必要もない。



本当を言うと、アニメや漫画が好きだった頃の自分はそれを好きだと思い込んでいただけで、ずっと人に合わせて時間を無駄に使って生きてきてしまったんじゃないかと少し不安だったのだけど、そういうことじゃなくて、見えてる景色がひとつ大きくなったんだと気付いて安心した。



この話にオチはなくて、「あ、そういうことだったんだ」っていうのに気付いたので書き留めておく、というだけのnoteです。

次はまた写真記でも。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?