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普段と一味違うロールキャベツ。スウェーデンの"Kåldolmar"。【スウェーデン伝統料理】

スウェーデン北部の寒い冬を乗り切るには、身体の温まる料理はどれだけ知っていても多すぎるということはない。

身体が温まる料理といえば、鍋料理やスープなど色々とあるが、個人的に印象深いものはロールキャベツである。ロールキャベツは幼い頃から母がよく作ってくれた料理の一つで、僕も姉も父も、我が家の皆が愛する一品である。

スウェーデンのロールキャベツ"Kåldolmar"。

さて、スウェーデンでは いくつかの種類のキャベツ(kål)が手に入る。日本でも見慣れた球状のものに、先端の尖った三角錐状のもの、そして紫キャベツなどなど…。これだけ、キャベツの種類が豊富なら使い方もまた豊富なはず。

と言うことで、実はスウェーデンにも伝統的な"ロールキャベツ"が存在するのである。このスウェーデンのロールキャベツはKåldolmar(コールドルマ)と呼ばれるのだが、これは日本で一般的な煮込み料理のロールキャベツではない。

こちら、なんとオーブン料理なのである。

"Kåldolmar"を作ってみよう。

とりあえず、せっせとキャベツを剥くのは普通のロールキャベツと一緒。先に茹でるなりしておけば剥くのも楽なのだろうが、我が家では昔からキャベツは生のまま剥く。特別理由があるわけではないのだが、母の影響である。不思議なことに母は頑なに生のまま剥くことにこだわっていた。なぜだったろうか、昔聞いた気もするが、あまりはっきりと覚えていない…。今度帰国した際に尋ねてみることにしよう。

次にひき肉や玉ねぎなどを使って、キャベツの中に包むフィリングを作る。

ここでこの料理の一つ目の特徴。なんとフィリングにお米が加わるのである。卵を入れるのもオーブン料理特有のものかな?

実はお米も単にそのまま加えるわけではないのだが、詳しくはレシピブログ(記事下リンク)を参照いただければと思う。

フィリングの材料をしっかりと混ぜ合わせたのち、キャベツに包み、耐熱容器に詰めていく。こういう時、容器にぴったりと収まり、材料もぴったりと消費できると気持ちが良いことこの上ないのはなぜだろうか…。

さて、十分に予熱したオーブンにロールキャベツを入れる。この時にもう一つ、日本人としては驚く工程が入る。

焼き上げる際に表面にシロップをかけるのである。つまり、このスウェーデンロールキャベツは全体的に甘めの味付けの料理なのである。お米を入れるのもその兼ね合いかとお思う。なにせ、お米の甘味が引き立つのである。

ちなみにこのシロップというのはスウェーデンでは一般的な調味料で、白砂糖をうくる過程で生成される副産物を原料として作られるもの。スウェーデン名物のジンジャークッキー(Pepparkaka)を作る際などにも用いられる。

このシロップを料理にかけてオーブンで焼き上げると、香ばしい焼き色もついてなかなかに食欲をそそる。

さて、あとはじっくりと焼き上げるだけ…なのだが、それでは味が薄いのではないか…と訝しむ人も多いだろう。実は"Kåldolmar"はソースで食べるのである。

"Kåldolmar"に使うソースは基本的には北欧らしいクリームベースのソース。ロールキャベツの肉汁に 野菜などを使ってとった出汁を加えた上で、生クリームをたっぷりと使ってソースを作る。

焼き上がったロールキャベツを器に盛り付け、このソースとリンゴンベリーのジャムをたっぷりとかけていただくのである。

というわけで、スウェーデン風ロールキャベツ"Kåldolmar"を紹介したのだが、日本で一般的な煮込みロールキャベツとはだいぶ異なる料理だということがお分かりいただけただろうか。

日本人の舌には馴染みない味付けではあるが、優しい甘さの温まる一品である。茹でたじゃがいもやきゅうりのマリネと合わせて食べるとさらに良い。

普段とは一味違うロールキャベツを食べたくなった際、是非、一度試してみてはいかがだろうか。

詳しい作り方はこちらから>>



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