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タンゴショーの作り方:人生はショーのようなもの

タンゴを始める人々にとって、始まりのきっかけはさまざまです。多くを占めるのが、「タンゴのショーを見た」、「映画でタンゴを観た」、「ショーに憧れて」など、ショーに触れる経験から生まれるものです。実際に、これらの経験をきっかけにタンゴを始める人々は全体の80%以上を占めています。

タンゴショーの魅力は無尽蔵で、その表現は無限です。情熱的で官能的な演出、男性は黒スーツにハット、女性はピンヒールに赤いラメのドレスという象徴的なコスチューム、そして華麗で早い足捌き。これに加え、男性の嘆きを歌う音楽や魂を揺さぶるバンドネオンの響きがショーの雰囲気を一層高めます。では、このようなタンゴショーはどのように作られるのでしょうか?




1:なぜ作る?

まずは、ショーを作る「やる気」や「モチベーション」が大事です。ショーは観る人がいるからこそ成り立つものです。観る人がいなければ、それはショーとは言えません。近年では、「感動の方程式」という人の心理を利用したものを作り上げ、観客に満足してもらうという主催者の考え方もあります。しかし、人の思いはその人自身の体から生まれ、皮膚から空気を通じて伝わるものです。ショーイベントを開催し、皆が喜ぶ。それが原点であると私は考えます。




2:作る順番

その思いを持って、ショーの作り方に進みます。最初にやるべきことは、日時を決め、会場を選び、コンセプトを定めます。次に演者を選び、ストーリーを考え、観客の予測数と予算を設定します。その中でも特に重要なのが「コンセプト」です。それが最初に決まれば、後の工程がスムーズに進むでしょう。そして、次に日程と会場を決定します。日程が決まると、タイムスケジュールが見えてきます。そのスケジュールを基に、会場が自然と決まるでしょう。*演者ありきの時もあります。

コンセプトを作る時、自身が主催者であると、自分が作りたいものが前に出がちです。しかし、それでは窮屈さが生じ、発想の広がりが制限されます。だからこそ、その時の時代や空気感を感じ、ちょっとした出来事からひらめきを得ることが大切です。



3:生と死の世界はどう作ったか?

例えば、私が作った"生と死"のショーは、最初は特定のコンセプトやピアソラの曲を使うといったアイデアはありませんでした。渡辺えりさんの歌をタンゴ界のイベントやパーティーのようなイメージで考えていました。しかし、パーツとして集めた曲や、出演者の渡辺えりさんの歌、生演奏の楽団を見て、ショーができるのではないかとひらめいたのです。




4:脚本

次に、ショー全体の脚本を書き、演出的な要素も一緒に考えていきます。ショーの脚本は多様で、起承転結、序破急、秘すれば花、前半後半、風が吹けば桶屋が儲かる的な流れ、つかみ・つっこみ・おち、クライマックスから考えるなど、様々な展開を考えられます。

その中でも、特に最初と最後は重要です。最初に観客を引きつけることができなければ、ショーの時間中に観客の注意を保ち続けるのは難しいでしょう。また、同じことが続くと人は変化がなく、飽きてしまいます。そのため、静と動、明と暗、早いと遅い、新しいと古いなど、変化や対比、前後の違いを作り、大きな括りを最初に作ります。次に細かな前後などを考えていきます。

タンゴショーでは、ただ作品を並べただけにならないように注意することが大切です。前後のつながりをつけることで緊張感をもたせるようにしましょう。



5:リハーサル そして 修正


一旦全体の流れができたら、通して音楽を聞いて確認します。お客さんの感情がどう動くのか、そして最後はどうなるのかを考えてみましょう。その後、効果音、ライティング、セリフ、出入りなどの演出を見直していきます。そして何度か見直し修正をし、ショーの流れがある程度できたら、実際に演者たちによるリハーサルに移ります。

現場で最終確認をします。現場で見えてくることは机上では見えないことが多々あります。それにより、より具体的な最終形が見えてきます。


以上が、タンゴショーの作り方についての基本的な考え方と流れです。このプロセスを経て作られたショーは、観客にとっても魅力的で感動的な体験を提供することができます。



6:ビジネスでのプレゼンテーション

これらの手法はショー制作だけでなく、ビジネスのプレゼンテーション作成にも応用することができます。ビジネスプレゼンもお客さまや商談相手を動かすことがとても大事です。このショーの作り方をビジネスプレゼンに適用すると以下のようになります。

  1. 目標設定: 何を達成したいのか明確する。

  2. 聴衆の理解: 誰に向けてプレゼンテーションをするのかを理解する。

  3. メッセージの明確化: プレゼンテーションの主要なメッセージを決定し、相手がプレゼンテーションの終わりにどうしたらいいのか示す。

  4. ストーリーテリング: ストーリーテリングは、情報を覚えやすくし、聴衆の関心を惹きつける

  5. データと証拠の収集と利用 、客観性と信憑性を提供し、主張を裏付ける

  6. ビジュアルの作成: 視覚的な要素は、聴衆が情報を理解し、覚えるのを助ける。

  7. リハーサル: リハーサルを通じて、時間管理を改善し、不明確な点や言葉遣いを改善する。

  8. フィードバックの収集と改善: フィードバックを元にプレゼンテーションを改善し、さらに洗練されたプレゼンテーションを作成する。

この流れを守ることで、プレゼンは視聴者にとって引きつけるものになるでしょう。ビジネスでも、観る人々に魅力を伝えるためのエッセンスが詰まっています。




人生はショーのようなものです。あなたの人生も、目的を持ち、自分でストーリーテーリングをし、エンディングを決めることができます。各自が主役の人生、それが最高のショーです。

GYU

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