『タンゴに学ぶ身体コミュニケーション ~明日の研究発表に向けて~』
明日、私は20年間の研究成果を発表します。
タンゴレッスンの中で感じていた「揺れ」という現象から始まったこの研究は、331名の方々のご協力により、思いがけない発見へと導かれました。
この研究の独自性は、
タンゴから見出した「揺れ」を身体コミュニケーションの新しいパラダイムとして提示し、人間の相互作用理解に新たな視座を開くことにあります。約20年におよぶレッスンでの観察と実践、そして今回のアンケート調査が、その基盤となっています。
アンケートでは、
実に多くの方が非言語的コミュニケーションを感じ、ほぼ全ての人が相手との一体感を実感していると回答されました。さらに、自由記述には192名もの方々から、貴重な体験が寄せられました。
特に印象的だったのは、
「タンゴにより人生が変わった」という声の多さです。その変化は、大きく3つの領域で現れていました。身体的変化・健康への影響(25%)、人間関係・コミュニケーションの変化(22%)、そして精神的・心理的変化(20%)です。
この研究で私が注目したのは、
人体の不安定な構造です。肩幅が広く、足が元が狭い「逆三角形」の体型。この一見すると弱点とも思える特徴が、実は豊かなコミュニケーションを可能にする鍵となっていたのです。
二人で向かい合い、互いの「揺れ」を感じ合う。
その瞬間、私たちの体は言葉以上の対話を始めます。ある回答者は「リーダーは胸リードとよく言われるが、背中を意識するようになった。つま先から頭のてっぺんまで背骨を通して自身を操作し、胸を通して相手に伝わるものだと理解するようになった」と記しています。
明日の発表では、
このような身体の知恵が、ビジネスや教育、医療の現場でも活かせる可能性を提示したいと思います。先日タンゴセラピーのボランティアをし、「改めて他人と繋がる、共感する、自分を表現する、相手の気持ちを感じる」を体感しました。
人体の約60%は水分です。
その流動的な身体が「揺れ」を通じて他者と共鳴し、深い満足感と一体感を生み出していく。この研究は、そんな神秘的な身体の可能性に光を当てる試みとなりました。
明日の発表が皆様の「揺れ」との新しい出会いのきっかけとなれば幸いです。
最後に、
たくさん時間をタンゴレッスンに費やしてくれた生徒の民さん、論文を提供してくれた皆さん、そしてアンケートにご協力いただいた全ての方々に、心より感謝申し上げます。
Abrazo
GYU