君たちはどう生きるか

※映画『君たちはどう生きるか』について。ストーリーについて直接的には書いていませんが、ネタバレを一切踏みたくない方は閲覧をお控えください。毒親育ちが見たらしんどかったよというお話。






〇ストーリーと全く関係ないところでぶっ刺されてしまい叫び出しそうになった。

〇私の親は登場人物と全く似てない。娘を平気でゴミ扱いしボコボコに殴る人だった。しかしあの(家族以外への)物腰のやわらかさ、視野の広さ、行動力、暴力、権力が見事に重なってしまった。

〇何よりあの建物。あの屋根、土間、縁側、庭木、大きな鳥、閉めにくい窓、撓んだ梁、箱膳、背もたれが丸くなった木の椅子、緑のスタンドライト、横に長い作業机、広すぎる和室、変な柄のカーペット、ボトルシップ、無駄にでかい調理器具、井戸、竹箒、児童書の表紙、親切な部下、ボケてきたと言われる老人、小柄で記号的なお手伝いさん、絶妙な距離感の敬語

〇構造は全く似てない(というかあんな建物は現実にはないだろう)のに実家にあったものがほぼそのままでてきて気が狂いそうだった。何なんだ。私専用のトラウマ増幅装置なのか。これまでの人生で感じた「嫌」と共にあった風景をいっぺんに見せられてしまった。
私があと一歩病んでいる人間だったら、「宮崎駿に頭の中を監視されてる」とTwitterで騒ぎ受診を勧められていたと思う。

〇「古めの家でアッパーミドルクラスの毒親に育てられた人は見ない方がいい」と書こうとして、そんな人間がこの世に何人いるのかと考え直した。もし万が一私と似たような育ち方をした人は気をつけてください。

〇あの映像は多少の気味悪さを含んではいるが、ノスタルジーやアンティークの上品さやあの時代の「いい家」を現していることは間違いない。私だってレトロな物が嫌いな訳では無い。むしろ素敵だなと思う。(例えば文豪とアルケミストの内装機能は大好きだ)
レトロな世界観の作品に触れて苦しくなったことは今までない。どうしてこの作品だけ、こんなにしんどいのだろう。

〇登場人物から溢れている愛や欲や不安等のどろどろした感情と、懐かしさを感じる風景の相乗効果で悪酔いしたのだろうか。

〇映画で描いている「生きる」は、私が避けている行動・思想そのものだった。多くの人がこれを尊び背中を押されるのだろうか。道理で生きにくいわけだ。
自分が陰気で偏屈な人間だとこんなに突きつけられるとは思わなかった。宮崎駿監督も、この映画でこんな感想を抱く奴がいるのは想定外かもしれない。


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