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中之条町で想ったこと~起業あるいは移住の支援の視点で

先日、群馬県の中之条町に行きました。
目的は、妻のお気に入りのお店「SABA-BA]さんを訪ねること。
妻がInstagramで見つけて以来、すっかりファンになったお店です。
昨年末に長年勤めた仕事を退職した「卒業旅行」のメインイベント。

そういうことなので、SABA-BAさんに二人で入店後に、私は妻をお店に残して近隣を散策することにしました。おそらく、長い時間になるだろうと思ったのでね。

SABA-BAの近隣は、正直に言えば、ちょっと見た感じは田舎の街です。
だから「10分で飽きる」と予想しました。
もちろん、こんな記事を書くくらいですから、その予想は気持ちよく裏切られたのですけど。

気持ちの良い裏切り

裏切りのスタートはタイトルの写真です。
中之条町の「歴史と民俗の博物館『ミュゼ』」を訪ねたこと。

歴史とか民俗に興味のない人にとっては退屈かもしれません。
私の場合はなんだかんだ言って20分~30分位は見学したでしょうか。
「そろそろ出よう」と玄関ホールに戻った時に目に入った小冊子。
この小冊子が「気持ちの良い裏切り」のスタートです。

小冊子のタイトルは「Nakabito (ナカビト)」。
NakabitoにはWebサイトもあります。

よく見かけるフリーペーパ-かた思ったのですが、なんとなく手にとって読み始めてみたら、止まらなくなりました。

中之条町に住む人、職人さん、生活、仕事・・・。
そういうことが優しく、読みやすい文と写真で語られているからです。

ミュゼの職員の方に勧められて、そこにあった第1号から第8号までのうち7冊を手にとって妻と待合せている「つむじ」に向かったのでした。

起業あるいは移住の支援

「つむじ」というのは「中之条町ふるさと交流センターつむじ」のこと。
妻がいるSABA-BAさんとミュゼの中間地点に位置する(両方から徒歩2~3分くらい?)、いくつかのショップとイベントスペース、足湯が設けられている小さな商業施設。

ここに休憩できる椅子と机があるので、足湯に浸かったりしながら先ほどのNakabitoを読みながら妻を待つことにしました。

そして読んで思ったこと。

多くの市町村は人口減少への対策として、若い人の移住を支援しています。
支援策としては空家を安く提供することだったり、子供の医療費補助等で子育て支援だったり。
あるいは地域おこし協力隊員として期間を限定して雇用したり。

中之条町には「移住・定住コーディネーター」という方が、移住・定住希望者の支援を行っています。
といっても「移住しましょうよ!」と熱く誘うことはしていないようです。
ですが、定住の意思のある人には、「生活の場・仕事・地域とのつながり」について、篤く支援する。そうしたことがNakabitoから伝わってきます。

つむじ

そして、はじめて中之条町で起業する人にとって「つむじ」の存在は大きいかもしれません。
「つむじ」には、小さなスペースかもしれませんが、いくつかのテナントが入居しています。
またイベントスペースもあり、アイディア次第で他の地域から客を呼び込める可能性があります。

SABA-BAさんも、はじめは「つむじ」に店を出し、その後、現在の店舗に移っています。
同じような「つむじ」の卒業生は他にもいらっしゃるようで、初めて店を開く人にとってはチャレンジしやすい環境なのかもしれません。

つむじの周辺は、古い街並みです。
写真のような風情の建物がいくつもあります。
もっと古く味わい深い建物に「賃貸物件」の貼り紙がありました。

SABA-BAさんのようにセンスのある方なら、カッコよくリフォームして活用できそうな感じです。

日常的に来店数が確保できるかどうかはわかりません。
でも現在はインターネットがあります。

オンラインショップと実店舗の組合せは現在の商売のトレンドかもしれません。

実際、SABA-BAさんには妻のようにInstagramでファンになったお客様が、お店の方にも足を運びます。

ただ地方の店の場合、「その店だけ」になってしまう恐れもあります。
その点、中之条町の場合には小さいとはいえ「つむじ」があり、もう少し足を延ばせば四万温泉や中之条ガーデンもある。
「その店だけ」に終わらない可能性が中之条町にはあると私は思いました。

Nakabito

まだ妻はSABA-BAさんにいるようなので、もう少し「つむじ」でNakabitoを読むことにします。

Nakabitoには中之条町にある企業や個人事業主の仕事が丁寧に描かれています。

なぜ、起業したのか?それまでの人生は?どういう理念?・・・
現在の商品・料理に至るまでのストーリー。
その集まりが私が読み取ったNakabitoです。

それらを読んでいるうちに、応援したい気持ち、その方がつくった食品を食べてみたい、商品を直に見てみたいという気持ちがわいてきます。

そしてそのいくつかの店は「つむじ」にある。あるいは、そこから歩いてすぐの所にある・・・。

Nakabitoの発行部数や実際の読者がどのくらいいるのか、私にはわかりません。
でも、「Nakabitoというメディアが冊子やWebで自分や商品・店を取り上げてくれている」というのは、起業する方にとっては心強い存在なのではないでしょうか?

中之条ビエンナーレ

「つむじ」には中之条町観光協会も入っています。
私がNakabitoを読んでいるのは、観光協会の脇にあるフリースペース。
中之条ビエンナーレのポスターが貼られています。

中之条ビエンナーレは2年に1度開かれる国際芸術祭。
2年に1回開かれていて、今年2023年は9月9日から10月9日までの1か月間に渡って開催されるようです。

Nakabitoを読んでいると、中之条ビエンナーレをきっかけに中之条町に移住した方が何人かいらっしゃるようです。

それもそのはずです。
開催期間は1か月間ですが、それ以上の日数を出展者は中之条町に滞在し作品を作ったりしているようですから。
当然のことながら町の住民とも交流が生まれます。
この、人との交流こそが移住者にとっては重要なポイントになります。

ただ、短期滞在と移住では受入側の町民の気持ちも、おそらくは違ってくるはずです。
そこで重要な存在になるのが先に取り上げたコーディネーター。

Nakabitoを「つむじ」で読んでいて強く感じたこと。

それは、中之条ビエンナーレのような定期的に行われる大きなイベントと、コーディネータのような地元の住民や企業と移住者をつなぎ支援する存在と、「つむじ」のような施設、Nakabitoのような地元メディアが上手くかみ合っていること。

その結果、移住者や起業する人が生まれ、育ち、またその人たちがつながっている。

いい循環ができている。観光客の私にはそう見えましたし、これからの可能性も感じました。


SABA-BAさんに妻が入ってから、もうすぐ2時間です。
私のお腹はペコペコです...。


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