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契約書の大切さ

昨日の記事では、贈与や相続の話題を取り上げました。

「贈与を行った証明はどうするのか」
という質問をいただきました。

贈与自体は諾成契約で、お互いの口約束だけでも成立します。
しかし、口約束だけで、なにも証拠がなければ実際に贈与が行われたか証明できません。

そこで「贈与契約書を作成すること」が挙げられます。

贈与契約書

「贈与契約書」を書くことで以下のことを明確にできます。
・だれから(贈る人)
・だれへ(貰う人)
・いつ(時期)
・なにを(財産の種類)
・どのくらい(量)
・お互いの同意(署名)

契約書によって明文化することで、贈与の事実を客観的に証明することができます。

贈与契約書の書式は特に決まってはいません。
どのような書式でも構いません。
こちらが実際に僕が使っていたものです。

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これをお互いに保持しておきます。

スーパーへ買い物をした時も似たようなものをもらいますね。
レシートや領収書です。

契約行為(贈与や売買)を証明できるもの(契約書や領収書)をお互いに持つことによって、取引が行われたことを客観的に証明できます。

出張の旅費を会社に請求するときに、口頭で金額を伝えるところなんてありませんね。
必ず領収書の提出を求められるはずです。

贈与でもこれと同じような感覚です。

これでも不安な方はもう一つ追加で行えることがあります。

公証役場

記入した贈与契約書を公証役場で認証してもらうことです。

認証についてはこちらを参考ください。

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(https://www.koshonin.gr.jp/business/b07_1より)

署名された書類が真正に成立し、かつ作成者の意思に基づいた者と推定されます。

利害関係のない第三者機関に書類の真正性を認めてもらう感じです。

贈与契約書を後から作成したと誤認されない対策となります。

公証役場で認証を受ける際は、手数料等が必要ですのでご注意ください。

贈与するときの実務

・実際に贈与をするとき
①贈与契約書を書く
②現金なら振込をして、通帳に履歴を残す+振込明細書を貰う
 →土地なら登記をする(その他のものでも名義は変えておく)
受け取った人が管理する

③も大切です。
①、②は行ったが、③を行っておらず、実質的な管理者が送った人では意味がありません。

祖父「孫にお金を贈与したが、使ってしまってはいけないので私名義にしている」
これでは贈与ではないですね。

「100万円あげるけど、あなたが自由に使えるのは10年後ね」
と言われたとすれば、贈与が発生するのは10年後になってしまいます。

贈与については…
贈る人「渡しました」
貰う人「貰いました。使いましたor使えます

この使いましたor使えますの状態にしておくことも大切です。

あとがき

贈与相続シリーズ第2回目でした。

「意思表示」は法律上重要です。
これを客観的に証明するためには文章化するしかないと思います。
(今では音声や映像といった手段もありますがw)

レシートや領収書を渡さないお店や会社は信用できないですね。
このように考えると、贈与も書面で確認できる状態にしておくことが望ましいです。


前職場(士業の事務所)では、雇用契約のサインなし+労働条件の詳細明示なしで入社しました。
働く際も、口約束のみで契約は成立しますが、通常の会社であれば雇用契約書にサインはしますね。
法令違反しそうな職場だったので、早々に退職しました。

ちなみに、雇用契約は口約束のみで成立しますが、労働条件は書面で明示しなければいけません。(雇用保険法15条1項)


話がそれました(笑
贈与や相続について記事を書くのは楽しかったので、また話題に取り上げたいと思います。

金融機関は相続税対策や贈与税対策と言い、様々な提案をしてきます。
実際に相続贈与(民法)相続税贈与税の知識を持ち合わせた行員は稀です。

「相続贈与(民法)」と「相続税贈与税」は別物です。

税金を払うのが嫌だから「相続税贈与税」対策を金融機関に言われるまま行うことだけは避けてください。

「相続贈与」を第一に考えたうえで「相続税贈与税」を考えるようにしましょう。
相続税は払わなくても「争続」で財産継承を行うことになるはめになるかもしれません。

Gyopi

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