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「値引きの落とし穴」・・・あってないようなもの、それは価格。


『値引きの落とし穴』

海外での買い物は、充分気を付けなければならない。
旅行の開放感で気持ちが大きくなり、
財布の紐も緩みがちになっているからだ。

「そんなの心配することは無いよ」

普段から旅慣れていることを自慢している友人は
事も無げに言ってのけた。

「吹っ掛けてきたら、四割引きとか五割引きとか、
とにかく常識外れの値段にまでまけろと言えば
大概の店は売るのを諦めるさ」

この方法で友人は
高級な宝飾品からお土産のTシャツまで
売り子のハードセルをかいくぐって来たと言う。

そんな友人が、バブルの絶頂期に
南アジアのある国で、
高級品で知られる手織りの絨毯の店に入った時の事である。

入るとすぐに、店主が近寄ってきて
色とりどりの絨毯の説明を始めた。

客の反応を見ながら、300万円を超える高級品から
次々と勧める品を変えていく。

徐々に進める絨毯の大きさが小さくなっていき、
最後は玄関マットくらいのサイズのものを出してきた。

「5000ドルでどうだい?」

もうこれで決めろ!と言わんばかりの勢いで
店主は薦めてきた。
当時の日本人は、品質が良いと聞くと、金に糸目はつけない
と思われていたのだろう。

あまりの迫力に気持ちが揺らぎそうになったが、
友人は件の手を使って断ろうと考えた。大幅値引き要求作戦である。

『この店主の勢いだと、3割や4割では危ないな・・・」

と感じた友人は6割引き。

「2000なら買う」と言った。

すると店主はすかさず「オーケー」と絨毯を包み始めた。

周りにいた買い物客が、気前の良い日本人を称賛し、拍手を贈ってくる。
もはや断ることもできず、結局友人は片手で持てる小さな絨毯を
2000ドル、20万円ほどで買うことになった。

帰国後、友人は会社の同僚に
「賃貸アパートなのに、玄関だけセレブ並みなったな」とからかわれていた。


                    おわり

一つ一つ手作りの絨毯は昔から高級品として知られています。
中には値段の付けられないものもあると言います。
現存する最古の手織り絨毯は、約2500年前に織られたものだと言われています。


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