「鉄の少年」・・・祈りをささげる小さな伝説。
『鉄の少年』
ストックホルムの港に降り立った時、
ぐずつきかけた空が、まるで冷えた鉄のように思えたのは、
この街が、かつて海外に鉄を積みだすための港であったと
船の上で聞いたからであろう。
波止場を離れ、ガムラスタンと呼ばれる旧市街を歩けば、
中世の名残を見つけることはたやすい。
すれ違うことさえ難しい狭い路地を通り抜けると、
輸出する鉄を集積していた広場にでる。
17世紀から18世紀にかけて、
ストックホルムは鉄の港として知られていた。
250年以上に渡って時を刻み続