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きまぐれ日記(10月)

日記、続かないことは百も承知なので「きまぐれ」と題しました。書きたい気分の日だけ書いて、月ごとに更新します。どうぞよしなに。


10月1日
元職場の先輩方と定例会。転勤後も月に一度は顔を合わせている。仲良くさせてもらって嬉しい限り……。
先輩の1人は社内公募に挑戦するそう。私のいる部署と同じ分野なので、こういうところが良いよね、将来的にはこんなことがしたいね、と盛り上がる。もっと経験を積みたい、がんばろう……!という気持ちがむくむく湧いてくる。仕事についてこんなふうに思えることが嬉しい。転勤前のモチベは休日と有給だけだったのでね。向き不向きってやっぱりあるのだなあと、(今の部署が特段向いているとは思わないけれど)転勤を経験して実感する。


10月7日
実家・義実家関係でひと騒動あり、わんわん泣いて夫を困らせてしまった。誰も悪くない、ほんの些細な行き違いだって冷静になればわかるのに、あのときの私はそうじゃなかった。言い訳はたくさんあるにしても(仕事でトラブった、飲み会で疲れた、生理前だった)、あれは理不尽な当たり散らしだったな……と反省。私たち夫婦は喧嘩したことがないのだけれど、それは夫の人柄によるものだと改めて気付く。温厚に生きたい。ごめんね。


10月14日
夫・両親と、ウェディングフォトの衣装選びへ。式を挙げないので洋装も和装も撮りたいねと話して、紅葉シーズンを狙ったのでした。
普段フェミニンな服を着ないので、ドレスはどうしたものかなあと一瞬迷った、けれど、プリンセスラインのオフショルダーに決めた。小さい頃お絵描きしたような、真っ白なドレス。お姫様みたいに長い裾や、胸元のレースや、散りばめられたスパンコールのきらめきにきゅんとする。

和装は白無垢。刺繍や色味の違いはあれど、ドレスほどに目立たないので決定打がわからず、直感で決めてしまった。もっと悩んでいいんだよと言われ、そうだよねえ……と答えつつも、やっぱりおんなじに見える。とりあえず、真っ白な布地に生成色の刺繍を施したデザインに決めた。オプションで綿帽子を勧められ、母の熱意に押されて被ることにする。試着中、母は「可愛い」を連呼し、写真を撮りまくり、夫や私以上に楽しそうだった(父は「ええやん」ばかりで口を挟まなかった)。

それ以上に嬉しかったのは、夫のタキシード選びにふたりともテンションを上げたこと。父は「いいねえ、決まってるねえ!」と手を叩き、母も「こっちの色、優しい雰囲気で(夫)さんに似合う!」と真剣だった。彼が疎外感を覚えないか不安だったけれど、無用の心配だった。

夜は中華街へ。大通りをぶらついていたら「手相占い500円セール!」の看板を母が見つけ、一緒に占ってもらう。父は「けったいな商売やなあ」と苦笑し、夫は非科学的なものを信じないので、2人してベンチで待機。

占いは初めてだった。話半分のつもりで手を出したのに、「膀胱炎が癖になってる」と指摘されて仰天した。肝臓が悪いと黄疸が出るように、膀胱がよくないと掌に現れるのかしら。それとも20代女性の罹患率が高いから当てずっぽうに言っただけ?
自分の意思で道を切り拓いて来たでしょう、上司や同僚に好かれる人気者、人柄が良い、とお褒めの言葉をいただく。そうなれたらどんなにいいか。どれも願望である。最後に、お金を遣っちゃうでしょうと言われ、うっと言葉に詰まった。そうです。その通りです。最近ラテマネーが膨らんで、散財しまくりです。コンビニでじゃがりこを買って帰ろうと目論んでいたけれど、我慢した。


10月15日
月1の通院で心療内科へ。落ち込みを和らげる薬を止めることになった。これからは苦しい時だけ頓服に頼りましょうと言われ、ひと月分処方してもらう。先月から最小量を2日空けて飲んでいたので、まるっきり止めてもあまり変わらない、と思っていたら、ふとした瞬間にああ違うなと自覚する羽目になった。泣きすぎてしゃくり上げたときのあの感じが、頭なのか喉元なのか具体的な箇所は判別できないのだけれど、歩いているときや深呼吸したとき、しゃがんだときに現れるのだ。いわゆる離脱症状。ちょっと不快。


10月後半
あんなに調子の良かった前半から、後半にかけてだんだんと、坂道を転がり落ちるように、精神状態が悪化している。仕事でトラブルが立て込んで残業時間が伸びたのと、断薬のタイミングが重なったのが、おそらくの原因。しんどい。つらい。頭にもやがかかったみたい。お薬、もういっぺん再開しようかなあ。早く元気になりたいなあ。


10月29日
大学の同窓会へ。午前中はぐずぐず泣いたりしていたけれど、行ってよかった、楽しかった。みんなそれぞれ人生を進めていて、大人になったねえと言い合った。あの小さな、狭いゼミ室でお菓子を持ち寄って、終電まで卒論と闘ったのが懐かしいね。あの頃の私たちは同志だったね。講堂前の並木の匂いや、論文を刷ったばかりの藁半紙の温もりや、肌寒い食堂で啜った生協のカップスープが蘇って、鼻の奥がつんとした。こうして各々の道を歩んでいるのが少し寂しく、でもそれでいいんだ、と凪いだ心で思った。これから先、私たちの人生があの密度で交わることは、きっとないでしょう。それでもまた、たまにこうして会えたらいいな。

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