見出し画像

辞書の旅と書道特集 【い】 命について



命について




明鏡国語辞典の命

【 Guwashi / 2023 】


いのち
意味
①生物が生きている限りもち続け、死とともに消滅するもの。すべての活動の源泉となる。生命。
③唯一のよりどころとなる、最も大切なもの。
「営業は信用が命だ」

〔明鏡国語辞典第三版〕

【 独り言 】明鏡の命は①すべての活動の源泉となる。と表現しています。③の語釈も確かに命だね、と納得しました。そして下が明鏡の語釈で作ったAIの命です。面白い。

【 明鏡国語辞典の命 / 2004】

広辞苑の命

【 Guwashi / 2023 】


いのち
意味
①生物の生きてゆく原動力。生命力。
②寿命。
古今和歌集
「春ごとに花の盛りはありなめど あひ見む事は命なりけり」

〔広辞苑第七版〕

【 独り言 】広辞苑の命は①原動力。生命力。と表現。②の例に取り上げた古今和歌集の一首は命の尊さを。そして下が広辞苑の命のAIイラストです。何パターンかから選ぶので、続けていくと私のカラーが出てくるでしょう。


【 広辞苑の命 / 2024 】

新明解国語辞典の命

【 Guwashi / 2023 】


いのち
意味
①生物が生きている限り持続している肉体や精神の活動を支える根源の包括的な呼称。
補説
一瞬一瞬生きることの繰返しとして とらえられる緊張の持続であり、客観的には有限であるものが、主体的には無限の連続として受け取られるところに、その特徴が有る

〔新明解国語辞典第八版〕

【 独り言 】新明解の命は①肉体や精神の活動を支える根源、と表現。難解な補説は数年かけて暗記し、なんとか理解できた気がします。はい、そしてこちらが新明解の命さんです。女性っぽいイメージになったので、少し脚色してみるとオリジナリティも出ますね!


【 新明解国語辞典の命 / 2024 】

命の書き比べ


激論 命とは 武田邦彦 × 佐藤嘉洋


命のまとめ

命とは、生の根源であり、源泉であり、生きてゆく原動力です。肉体や精神のすべての活動を支え、肉体や精神の死とともに消滅します。

さて、辞書には命の洗濯という表現があります。日ごろの苦労やうっぷんを一時忘れるための気晴らしや保養と聞くと、旅行を思い浮かべませんか?

辞書の旅とは精神の旅行でもあります。私は毎日、命の洗濯をしていることになります(笑)

命毛(いのちげ)という言葉もあります。辞書の旅と書道をしていなかったら、知らないまま人生を過ごしていたことでしょう。もったいない。

明鏡は命毛に、書く上で最も大切な部分である、と明記しています。

ところで、国民的家族アニメの父親の頭頂部の最後の一本は命毛になるのかと思いきや、辞書の語釈によると筆にのみ使われるそうなので、あれは命毛とはならないでしょう。

広辞苑の命取りには、相手を悩殺するような美女、という意味もあります。一顧傾城(いっこけいせい・ちらりと流し目で見るだけで街が滅びるような絶世の美女)の四字熟語と繋がりますね。

新明解は哲学的な語釈も多く、命の語釈も難解でした。何年もかけて思索を重ね、自分にも置き換えて、ある程度理解できました。

他人の命の灯火(ともしび)は生者必滅(しょうじゃひつめつ)、いつか必ず消えるのに、自分の命だけはひょっとしたら永遠に続くのではないかという傲慢(ごうまん)な錯覚をしています。しかしそれは、辞書の旅的には命の証であり、生きている証拠でもあります。強欲の灯(あかり)で結構なのです。

ということで三冊の辞書それぞれの「命」を書き、真の意味について考察してみました。最後までご覧いただきありがとうございました。

来月は「宇宙」ですね!