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大学に入った時のこと

このnoteの中を彷徨っていて、ふと「東京藝術大学ものがたり」という漫画エッセイに出会い、一気に読んでしまいました。

語り口がとても素敵で、胸に来ました。漫画って、独特の間が取れるので、文章よりも直接感性に訴えかけることがありますよね。

これを読んでると、やっぱり自分が大学に入った時のことが、肌感覚として蘇ってきます。

僕は、浪人を経験していません。当時は1980年代、予備校文化真っ盛りの頃で、「一浪」と書いて「人並み」と読ませるくらいの時代。実際、多くの同級生が第一志望を目指して浪人生活を選ぶ中、僕は共通一次試験の結果が思い通りにいかず、志望校を変更して現役で進学する道を選んだのでした。

今から思えば、それでも落ちる可能性があったのに、よくまあ併願することもせず一校だけを受験したもんだ、すごいな、と思ってしまいます。なんで絶対受かると思ったんでしょうね。我ながら、訳わかんないです(笑)。

その頃は入試の成績開示は個人にはされておらず、高校にだけ知らされていたのですが、後になって人づてに聞いたところでは、合格最低点の1点か2点上だったとの由。運が良かった、としか言いようがありませんな。

その時落ちていたらどうだったろう、そもそも志望校を変えなかったらどうだったろう、と思うことは、これまで何度もありました。でも、還暦になって、やはりこれは運命だったんだ、と思えるようになりました。

入学式に向かうスーツ姿の自分を思い出し、その時の自分の肌を撫でていた空気の感触をこの漫画に重ねる時、なんとも切ない気持ちになります。この漫画の主人公ほど、僕は立派でもなんでもなく、ただただ不安の中に漂っていたのでした。そして、入学してすぐに鬱になったのです。

そこから這い出して行く過程が僕にとっては一つの大きな物語になるのですが、それをうまくまとめることができたら、それはそれで興味深い読み物にできるかも、と思ったりします。






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