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【読書感想他】発達障害OL、しごとを考える

ADHD,LD,算数障害――発達障害だってわかって3年。上手に働けなくって、いろいろな対策本を読んできて、やっと出会いました「発達障害の自分の育て方」。納得いくやつがやっと見つかったっぽいのでシェアします。

発達障害の自分の育て方 – 2015/12/2
岩本 友規 (著)

リンクは切れがちなのでAmazonから概要を引用↓
転職4回、30歳を過ぎて発達障害(ADHD、アスペルガー)と診断。電話番ができなかった会社員が、グローバル企業で優秀賞を取った!発達障害から自立し天職に就くための「大人の生き方3.0」
岩本 友規(いわもとゆうき):発達障害の「生き方」研究所 Hライフラボ』主宰。レノボ・ジャパン株式会社データアナリスト。

★かるーい内容まとめ

・発達障害を持ちながら会社員として働く著者の経験に基づいて発達障害の症状の克服・改善方法を述べている。
・発達障害者も働ける。でもそれは「発達障害に向いてる仕事」の中ではない。そもそも学者とか芸術家とか募集してない。
・自他境界の認識が大事
・体を動かせ、腸内環境に気を配れ、そして読書会などでインプットとアウトプットを行って自らを育てろ
・それができたら天職につけ。天職とは「フロー」に入れる、つまり時間を忘れて熱中して行える作業を伴うもの。そして与えられた仕事が終わっても努力し続けられるものだ。そのような仕事に就くと発達障害の症状の改善が望める。

★わたしの発達障害のこと


発達障害者の生き方の本であるので、感想を書くためにはまず、私がどんな発達障害者であるか書いておきたいところ。
20代後半、まもなく三十路に足が引っ掛かるところ。女性。趣味はドール(買ったり作ったり写真撮ったり見に行ったり)。

算数障害(数の概念が弱く計算ができなかったり日付がわからなかったりする)、ADHD、ASD。確かに算数も座ってるのも苦手だったけど、文系科目のテストはバリバリ出来た大卒。
新卒で入った会社で正社員やってる。営業(まじつらかった)を一年やった後、事務(営業ほどではないけどつらい、だってぜんぜんできないんだもん)をしている。
「若手が活躍」って聞いて入社した。何年か営業をやった後部署移動して、どんどん企画を作る自分を夢想してた。希望はキャリアウーマンだったのだけど…
既婚子供なし。子供を望んでいるので(発達障害者が子供を持つかどうかについては議論があると思うけれども、ここではそれはひとまず置いておく。夫婦で障害のことも含めて話し合って、ほしいと思っている)ストラテラ減薬中。あの青いお薬は胎児への影響が懸念されるのだ。めっちゃSFっぽいね。
耳が悪い、というか聴覚過敏のため、電話がたくさんかかってきたりすると死ぬ。さらには営業さんが帰ってきたりなんかしても死ぬ。大勢の話声、環境音がほんとうにだめで、ほとんど何もできなくなる。そんな状況では指示も受け取れない。
商談の準備をすれば、忘れ物を多発させ会場まで往復したこと数知れず。
なんと配属3年以上たってこの間(まじで先週くらいの話)、部署の他の人は持ち帰り仕事をしていることに気がついた。おうちでサビ残する暗黙の了解に気づかないで、残業しなくていいのはありがたいなぁーなんて呑気に考えていたよ!クソだね!!あっでもどうせ帰っても寝込みがちだから、持ち帰りやってたとしても無能は変わらないかもしれないけどね、悲しいね。
とにかくわたしのお仕事については会社からの評価のレベルが最低なので、もうちょっと出来るようにならないと希望の編集職には行けないって言われてる。そのもうちょっとはいつになることやら…

とはいえ、発達障害者向けのアドバイスや対策本のほとんどは、「働けないくらいしんどい人」向けに作られてる。休職、退職からの復帰の仕方。作業所のこと。障害者雇用のこと。違うんだ、そうじゃなくて、一般企業で現在働けてはいるけれど、もっとまともに仕事したいし希望はバリバリ働いてバリバリ稼ぐことなんだ…小さい一つ一つのハックはいっぱい学ばせてもらったけど、考え方というか生き方の方針については、今までわからないままだった。

★「これは私の話かもしれない」


まず、字がずらずら書いてあって安心感がわく。発達障害の改善方法の本、えてして図解に頼りすぎて内容が単純化され、「どうしてそうなるの?」と機序が気になる性分の私には満足感が少ない。
著者は「むしろ人より勉強はできた」らしい。そうなんだよね、子どもの頃、出来ることが多少あったから、自分への期待も人並みにあるんだよね…そこからの落差で立ち直れなくなるの、身に覚えがありすぎる。そして発達障害の診断を受けた後。障害による脳の特徴はわかった、でもこんな特徴の人間を採用するところなんてどこにもない、という絶望たるや!(これも著者も書いてたこと。)休職に至るまでの道はとにかく共感の嵐です。
また、耐えられなくなって転職を意識しても「障害者雇用」の給料じゃ厳しいと妻に言われるという…一児の父ですからね…ゼロ児のわたしでも夫に言われたよ…
だって、めちゃめちゃ頑張れば普通に働けるし。
定型さんでも休職するし。
でも、めっちゃがんばったらめちゃめちゃ体調悪くなって消えたくなる(よね!!わかる!!)
そんな著者が契約にせよ会社員をマジで楽しくやれている、表彰されるくらいに、っていうのはめちゃ心強い。改善策に期待が募る。

★ストラテラの服用はし続けている

ストラテラを飲み始めて、だいぶ変わった。頭がはっきりするし、過食も減ったし、落ち着くし。世界がキラキラして見えることはずいぶん減ったけど、会社にいること自体は全然不可能ではない状態。授業からも抜け出していたわたしがこんな感じでやれるのは今のところ、まず間違いなく薬のおかげ。飲み忘れたりもっていき忘れることがたまにあるけど、あからさまに行動がとっ散らかる。
著者の経験はすごく輝かしい成功だと思うし私もそうなりたいけれど、薬物療法有りきでの成功だということも頭に入れる必要がある。ストラテラの減薬を行なっている最中の人間にはここまでの効果が素早くでないかもしれないなとは感じた。気をつけて慎重に主治医とも相談していこうと思う。

まあ、かなり嫉妬も入っているのだけど…だって、すでに子供がいて奥さんがいるの、もう勝ったも同然じゃん(言い過ぎ)
しかも子育てしつつ読書会イベント行きまくったんでしょ?その間子どもは奥さんが見てたんでしょ?なんやねんそれは。羨ましいな。加えて見た目いかつめのいい歳の男性ということもあり、あまりイベント参加に危険が伴わなかったのかなという感じもする。わたしがドールや造形のイベントに行ってすら絡まれたりするのは女だから……だと信じたいよ!舐められない系メイクを定期的にYouTubeで調べてる。見た目いかつめになりたい。

あ、また話が飛んでる!本の話に戻ろう。

★発達障害を克服するために運動せよ


体感的にはわかる。
しかしわたし、ハイパーインドア。スクワットすると膝に来る。虚弱。
「巧みな動き」系ができない、好きでも(子どもの頃絶対美しいものになりたくてバレエ習ってたけど、おそろしく上達が遅くて、全然振付も覚えられなかった。頭ひとつちっちゃい子達の中でレッスン受ける羽目になった。叱られっぱなしでもレッスンはまだ楽しかったけど、発表会の時とかかなり情けなくなったのをいまだに覚えてる。お姉さん連中でわたしだけ衣装がチュチュじゃなくて下のクラス用のレオタードだった)

本文中に書いてあるおすすめとしてのランニング+ダンスなんてやったらちぎれて死ぬかもしれない。
会社まで歩いているのは続けるべきだなー。とりあえずきつめのヨガとか、ピラティスとかやってみてる。いずれそれくらいの強度まで上げていけるといいけど、それはそれで別の本を参考にする必要がありそう。虚弱用の体調上げるための筋トレ本とかあったら誰か教えてください。筋肉体操はマッチョが好きだけど全然ついていけないタイプです。

★発達障害を克服するために糖質制限せよ


腸内環境をよくすると集中力が向上されるという文脈で糖質制限がでてきたが、あれは真面目にやるとすさまじい頭痛を引き起こすことがあるよね…夫がダイエットのためにやってものすごく体調悪く、不機嫌になってたことがある。合う合わないはありそう。
著者は読書をすすめてるのだからある意味当たり前だけど、かなり情報は切り貼りの印象がある。原典もかなり示してくれているので、読み進められるといいな。

★著者にとっての読書会=私にとってのドールイベント参加 になりうるか?


仕事の後にでもやりたい、やれることとして、つらい職場に行くための活力になるのは確か。でも、発達障害の症状の改善という面では、アウトプットとコミュニケーションがないといけないみたい。
コロナウイルスの影響下にある現在、時間的にも衛生的にも難しいわけで(めちゃくちゃ合間を縫ってギャラリーにはいってるけど、会話がほとんどないから特にアウトプットが少ないよね)完全に代替することは難しいかな。
居場所づくりというか、自分の価値づくりはドールを通して進めていきたいとは思ってる。あと、コロナが落ち着いたら読書会にも一度手を出してみよう。


★世界は二つある、という話


自分の感覚、内面の世界と、他人を含めた外部の世界は別、だということを認識するのが発達障害の特徴を克服していくうえで一番大切だというお話。いやー、これがよくわからないからダメなんだろうな。自他境界線が引けてない人が発達障害者にはおおい。けど引くことができれば、不必要に辛くなるのを避けられる、という話だったけど…

何度も読んで何とか理解できたことのひとつは、「周りに求められていることを自分の希望だと思い込んでしまう」という警鐘。これは自覚ある。シューカツの時、なんでわたし、

「体育会系文化部だったんで営業いけると思います!」

なんて言ったのだろうか…体育会系文化部って何だ。冷静に考えるとぜんぜん行ける気しない。でも営業に力を入れてる会社だってことは読み取れたから、喜ばれるだろうなと思ってそう言った。相手の希望だと思ったことによせに行ってしまうんだよね…。世界が一つになってしまう。その渾然一体となった感覚も気持ち良い(ほんとあれはよくないくらい気持ち良い)のだけれど、面接の一瞬の気持ち良さの代償があの辛すぎて店に入れすらしない一年間になったことを思うと反省の必要がある。二度とあれは無理。気を引き締めなくては。

★先延ばしを防ぐ=ひとつひとつの作業を報酬にしてしまうこと


夢中になって時間を忘れてやれる作業がメインの業務としてあれば、仕事中の先延ばしの問題を克服できる、という話だった。全く共感。だってそういう仕事した後は、あからさまに体調がよい。

私がやってることでいうと、
・小売店用のPOPの作成
・売り場の飾りつけ
・販売企画のための調べもの(全然それ自体には興味がなくても韓国ドラマにちょっと詳しくなった)ネットのみならず図書館で該当書籍・雑誌を見つけて引用するなどまでスムーズにできる。
・売り場設営

学生時代だと、演劇部だったので

・脚本の執筆、テキレジ
・稽古の文字起こし、街中の会話の文字起こし
・小道具づくり
・観劇、美術展などの感想ブログの執筆
・美術展や作家についての調べもの

このあたりがやっていて苦にならない作業だった。

そしてそれ以上に、プライベートで、疲れて帰ってきてもやれること、始めればむしろパワーがわく作業こそが天職であり、飽きずに長く続けることができるものだと著者はいう。

私でいうと、帰宅即寝込まない日にやれていることといったら、
・人形作り、粘土造形、またその作り方を調べること(調べて満足することあり)
・美術展や作家についての調べもの

おい、めちゃくちゃ調べてばっかりいるな、わたし!主治医からの評価としてよく「合理的に考え、自分で調べ、記録して改善することができる」と言われている(だからそんなに不安にならないで大丈夫という文脈で)けど、……実はこれって定型さんはみんなできるんじゃないのか?得意なことと言い切っていいのかな。
美しいものが好き、というか美しさ面白さにしか価値を感じていない気がする。ノルマ?なにそれ…数の概念がわからないこともあってかノルマとボーナスのやる気へのつながらなさがえげつない、だからあんまりもらえないんだろうな、いざもらえたら嬉しいんだけどね。遅延する報酬の最たるものだと思う。
辺縁であっても惹かれるのは「実作業」「ものづくり」であり「サポート」ではない。そりゃ企画担当への異動は無理だわ!(スケジュール管理調整がメインの仕事だったりするよね、そういうの)

★これからやってみること

とにかく働いていく中で「苦にならない作業を見つけて確定させていく」そして「情熱を持てる天職を見つける」をこの本の考え方に沿ってやってみようと思う。今の会社で企画職につくのは特に向いてるわけでもなさそうだし制度的にも厳しそうだから、いろいろ別の道も探ってみようかなと思っています。

著者さんのTwitterやブログもちまちまチェックしていこう。コロナの感染状況が収まったらイベントも参加できるといいな…

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