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自立とは、依存先を増やすこと
とある研修にて
ある小児科医の先生が、「自立とは、依存先を増やすこと」という言葉をぽろりと仰っていました。
いやはや、納得。
当たり前のことなんですけど。
言葉が妙に腑に落ちました。
支援者やある特定の空間でできたことが、人や場所が変わってもできるようにという言葉の根っこは、間違いなくここです。
自立と依存は対義語の関係ではなく、依存が自立を助けている。
支援者という存在は、この視点を忘れてはいけないと思うのです。
「単なる支援者依存や場所依存という話ではなく、ひとつ得た力をあらゆる人、道具、環境で使えるのか?」
「何なら外で得た力を療育の場で活用しているか?」
という視点。
はたまた
「その世界の広がりは、依存先を広げることにつながるかな?」
という視点。
私なりに、この3つは外せないというものをまとめてみました。
1. 人
「この人じゃなきゃ!」
ってたった一人に依存してしまうと、その人が自分の意図しない行動、予期せぬ行動をとってしまうとパニックになってしまいます。
同時に、その人でないとできない…って、たったひとつの条件でしか発揮できない力は果たして本当の力なのか?と考えてほしいです。
ヘルプを求める先があること、ヘルプを求める方法を知ってることや、どんな人にヘルプを求めるのか、も何となく知っておいた方がいい。
家族以外に頼れる人がいること、特に思春期以降はとっても大切。
2. 物
道具に頼らず生きるなんて無理な話。
カレーはお箸じゃなくてスプーンで食べるし、パスタはフォークで食べる。
カレーをお箸で食べたり、パスタをスプーンで食べないです。
五体満足だってエレベーターやエスカレーターを使わずに、わざわざ階段を選ぶ人ってそんな多くありません。
階段を使う身体の機能を備えることも大事だけど、他の道具を使う方法を知っておくこと。
依存先を増やすということは、手段を増やすこと、選択肢を増やすことにも繋がりますね。
人間は、より便利に生きるために、様々な道具を生み出してきました。
道具を道具で作ってきた生き物です。
頼らない手はない。
3. 環境
これは以前話した、「進学・進級おめでとう!子どもたちにサードプレイスを」という話にも通ずるところがあります。
依存先が少ない人って、ひとつのところに熱心に依存すると倒れちゃいます。
大人も会社と家の往復だけ、では参っちゃいますよね。
趣味があったり、話ができる友達がいたり、何かコミュニティがひとつ増えるだけで違います。
居場所があるって大事。
あらゆる依存先(選択肢)があること、その中から選び取る自由があり、選び取る力を持っているということが自立です。
さいごに
そして、忘れてはいけないこと。
この世界は、基本的に健常者も言われる人たちにとって、多数派の人間にとって、そこそこ過ごしやすい構造にデザインされていると思うのです。
これは、社会として考えていくべき課題かと思うのですが…この依存先の弱さやって、災害時のような予期せぬ事態が発生したときが強く現れます。
生き延びる力と直結することもある。
これは、日本に住んでいるが、日本語話者ではない海外の方にも重なるかと思います。
その子の依存先を増やすこともですが普段からの周囲の理解や、構造自体を変えることも必要。
たまたま今の世の中やその環境ではマジョリティとされている人たちが、マイノリティの人たちと協力して双方が過ごしやすい環境を作ることが大切です。
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