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『1万人の才能を引き出してきた脳科学者が教える 「やりたいこと」の見つけ方』西 剛志(著)を読んで、ライフワークの本質を知った話

こんにちは。Guroppaです。

今回は西 剛志さんの書かれた『1万人の才能を引き出してきた脳科学者が教える 「やりたいこと」の見つけ方』を読んで得た気づきをまとめてみます。

本書はご自身も脳科学者である西剛志さんが、さまざまな研究結果などをもとに、読者にとっての最適なライフワークの見つけ方を解説した本です。

本書においてライフワークとは、仕事、もしくは仕事や生活や趣味などを含めたライフスタイルのことをライフワークとしています。

一番ハッとしたのは、自分が仕事を通じて、どんな感情を得たいのかということ。

仕事とは本来、人が幸福になるための手段であるはず”と書かれていて、自分が幸福になるためには”どんな感情を得ればいいのか”に気づき、その上でどんなことをライフワークにすると幸せになれるのかが書かれています。

本書の前半はなぜやりたいことがみつからないのか?やライフワークとは?について解説されており、後半は実際に手を動かす7つのワークをすることで、自分のライフワークを見つけられるようになっています。

このあとにも書きますが、人間は自分に対して無意識の思い込みがあるので、あまり的確な自己分析はできません。それをこの7つのワークを通じて客観的に自分の本質を知ることができたのは、楽しさと驚きで面白かったです。

この記事では、自分が面白いと感じたトピックをいくつか紹介します。数が多いので手短に。


アンコンシャス・バイアスと内観幻想

やりたいことを見つけるうえで障害となるのが、自分に対しての偏見。

アンコンシャス・バイアスとは一般的に「無意識の思い込みや偏見」と言われますが、これは自分に対しても当てはまり、「自分はこれが苦手。得意じゃない」と決めつけている場合があるそう。

1度チャレンジして失敗して苦手意識を持ったとしても、逆に言えば「たった1回しかチャレンジしてないのになぜ得意じゃないとわかる?」みたいなこと。回数はともかく、自分の思い込みが自分の可能性を制限していることに気づくのは大事ですよね。

そして内観幻想。内観幻想は「自分の言っていることは正しい。自分は正しく理解している」と思い込んでしまうこと。

この2つの共通点はどちらも無意識であること。なので著者は「本当にそうか?」と自問自答するクセをつけて、思い込みにとらわれていないかを確認する習慣をつけると良いとしています。

たぶんですが、これを読んだ人はどちらも「たしかにー」と思い当たる節はあるのではないでしょうか。自分もめちゃくちゃあります。

だからできるだけ自分を客観視したり、時間的余裕があるなら重要な決断はひと晩寝かせて、翌日に「本当にそうか?」と確認したいなと思いました。仲の良い友人にアドバイスをもらうもの良いそうです。

日本人の半分以上が「ライスワーク」

本書で紹介されていた「日本人に聞いた”働く目的はなにか?”」の調査結果がとても衝撃的でした。全体では「お金を得るために働く」人が51%を占めていて、社会貢献や自己実現、生きがいなどの割合はとても少ないのが現状のようです。

さらに驚くのは、20代、30代、40代は先程の「お金を得るために働く」人の割合が63%〜68%とより高い割合を占めていること。働き盛りの世代の6割強が単純に「お金」のために働いているそうです。これは世界と比べてもかなり低い数値だそうでで、ちょっと日本に対して危機感を覚えました。

人生の大半を費やす仕事の時間が、やりたいことでもなく、その仕事を通じて喜びも感じられず、ただ生活のために働くっていう状況は、近年の精神疾患患者の増加の原因にもなってるのかなと感じました。

江戸時代とか戦後とかは職業選択の自由なんてなく、親の跡を継ぐとか身分によって仕事が決められているなど、やらざるを得ない状況だったでしょうけど、近代はなまじ職業選択の自由があり、その選択肢が多すぎるからこそ、理想と現実のギャップがストレスになるのでは?と思います。

(※ライスワークは、つまりご飯を食べるためだけの仕事という意味。)

ミラーニューロン効果で他人の思考に影響される

本書ではミラーニューロンに関しての記述がいくつか出てきます。
ミラーニューロンとは、相手の動作を見ると無意識のうちに相手の動作を真似ること。

仲の良い周囲の5人の平均年収が自分の年収になる」と以前から聞いたことがありましたが、これはこのミラーニューロンも関係していそうです。

本書では以下の3つの観点でミラーニューロンの活用を解説しています

  • やりたいことを実践している人と交流し、その人の思考や行動の影響を受ける

  • 他人を幸せにすることで、ミラーニューロン効果で自分も幸せを感じることができる

  • ミラーニューロン効果は動画でもOK。自分のロールモデルとなる人の動画サイトをみたり、ドキュメンタリー番組などを見るのも良い。

ちなみにプライミング効果についても解説されてます。プライミング効果とは、どんな言葉を聞くかで、自分の行動も変わることを指します。

ChatGPTで調べたところ、「言語、視覚、感情」のプライミング効果があり、ネガティブなことを見たり聞いたりするとネガティブな思考になったり、花の写真を見せた後は、関連する言葉の認識が早くなったりするそうです。

つまり、自分のロールモデルとなるような人と交流し、普段からどんな言葉を自分にインプットするかが大事ということですね。

(余談ですが、関西に移住した人が関西弁になるのもミラーニューロンのせいかな?と思いました。)

ライフワークを見つけるための7つのワーク

本書ではライフワークを見つけるために、7つのワークが用意されています。

  1. 77の動詞から自分のライフワークを見つける

  2. 現在の仕事が、どれぐらい自分のライフワークとして適しているか採点する

  3. 自分の個性を可視化する7つの質問

  4. 自分の才能がわかる診断シート

  5. 自分に「向いている仕事」を探す

  6. 「お金、時間、人間関係」のバランスを考える

  7. 人生の優先順位を考える

このワークをやると、自分で考えるだけではたどり着けなかった、自分が仕事を通じて得たい感情が見つかり、それを得るために適した仕事が見つかります。もちろんすぐにその職業につけるかと言われれれば、特殊な職業だったり資格が必要だったり無理なものも出てきますが、それでも「ライフワークを選ぶ軸」は見つかります。

ちなみに自分のライフワークを選ぶ軸は「学び、鍛え、アウトプットすることで、人を応援したり癒やしたりする仕事」でした。

本当はここに音楽という要素も含んでいるのですが、職業にするにはハードルが高いので、ライフスタイルの中の趣味の一貫として、近々音楽を再開したいなと思いました。

「ジョブ・クラフティング」で今の仕事がライフワークになるか考える。

ジョブ・クラフティングとは、「今の仕事を主体的に捉え直す」ことを指します。作業、人間関係、認知のそれぞれにおいて、向き合い方を変えることでライフワークになるかどうかを検討するといえばいいでしょうか。

営業職であれば、「商品を売ってノルマを達成する」を「必要な顧客に商品を届けて、顧客の課題を解決する」というように、考え方一つで変わるということです。

この話で思い出したのが、別の作家さんで「最高の幸せは、不幸の顔をしてやってくる!」のしんちゃんさんは保険のセールスをやっている方で、ある時「保険を売る」という考えから「今日会う人を笑顔にする」と考え方を変えたことで、今では日本一の保険セールスマンだそうです。

保険のセールスというとなかなか厳しいイメージがありましたが、目の前の人を笑顔にする仕事と考えると、ライフワークとしてもとてもやりがいのある仕事に思えてきます。

お金のために働いてはいけない

パズルが好きな子どもたちに、パズルを解いたら1ドルあげるよと報酬を出す実験をしたところ、前は休憩時間にも夢中で楽しんでやっていた子たちが、休憩時間にパズルに見向きもしなくなったという話がとてもおもしろかったです。

これは報酬がやる気(内発的動機)を低下させるアンダーマイニング効果というらしいです。だから好きな事を「お金のための仕事」にした場合、お金のせいで好きだったことも嫌いになってしまうとのこと。なんという不幸。

だから著者は「好きな事を、好きであり続けるためには、好きな事で、人に貢献できる喜びを感じること」が大事と綴っています。人に貢献し喜ばれると、前述のミラーニューロン効果で自分も喜びを感じます。ライフワークにするならこれがとても大事だなと思いました。

場所細胞と前頭前野の関係とオーバービューエフェクト

人間の脳の海馬という場所には「場所細胞」というものがあるそうです。これは場所や空間を把握する役割を持った細胞で、特定の場所にいると活性化するそう。

同じ場所に居続けると一時的に活動が低くなるけど、場所を移動すると再び活性化し、それにつられて脳の前頭前野の一部も活性化するそうです。

脳の前頭前野は主に意思決定、想像力、注意力、などを司りますが、そこに感情調節や社会的認知、行動の抑制なども関係するそうです。

なので前頭前野が活性化すると、不安な気持ちを客観視することができ、感情的な行動も抑えられ、自分を冷静に見ることでマイナスの感情が消えるそうです。その上で社会的認知、つまり他人の感情や意図を理解したり、視野が広がってアイディアが生まれたりするそうです。

この視野が広がり、日常のトラブルや悩みが小さなものに感じられ、価値観が大きく変わることを「オーバービューエフェクト」と呼ぶそうです。これは宇宙飛行士が宇宙から地球を見た時、人間なんてちっぽけなもので、国や人種に囚われず地球全体のことに対して視野が広がるようなイメージです。

なので著者は定期的な旅行をおすすめしていて、旅行とまでいかなくても、近くの公園やカフェ、コワーキングスペースなどでもいいので、前頭前野を活性化させるために場所を変えることは重要とされています。

世の中にある924種の職業

本書の特典として、著者のnoteにて、著者が洗い出した世の中に存在する924種の職業のリストがあります。これを眺めるだけでも結構楽しいです。今後更新される予定とも書かれているので、追加されるのが楽しみです。

おわりに

今回は自分が読んでみて、特に面白かったなというトピックを取り上げて見ましたが、本書の本質はワークを通じて自分のライフワークに出会うきっかけにするところにあります。

自分がトキメクもの、自分が死ぬまでにはやっておきたいこと、自分の才能の発見、自分の「好き」を見つけるための習慣などなど、定期的に読み返して、その時点での自分をアップデートするのが本書の正しい使い方だなと思いました。

気になった方はぜひ読んでみてください。


ここまで読んでくださってありがとうございます。
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