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メイド喫茶のお客さんと付き合うことになった話

メイド喫茶をやめるときに連絡を交換した常連客のBMWさんからは、メイド喫茶をやめてから頻繁に電話が来るようになった。
彼はとてもおしゃべり好きな人で、電話で30分や一時間とかよく喋っていた。
そのうち、あっちこっち食べに連れて行ってくれるようになった。
彼はラーメン屋をやっており、ラーメン屋というのは儲かるそうで、かなりお金を持っていた。高級ホテルのフレンチやアフタヌーンティー、目の前で揚げてくれるタイプの天ぷら屋さん、フェラガモのコレクション等々、行ったこともないような場所へ沢山連れて行ってくれた。

そして、そのうち私は彼のことが好きになり始める。
彼は、メイド喫茶に来てはいたが、秋葉原のオタクっぽくはなく(オタクでなかったわけではないが)ブランドものが好きで、車が好きで(BMWだった)男性だったけれど、ファッションやコスメが好きで、メイド喫茶もキャバクラ行く感じできていたらしい。ぱっと見はちょっとそっち系な雰囲気の人です。私の周りにいる人とは180度違う自分とも全く違うタイプの人だった。
周りの人間は口を揃えて彼はやめたほうがいいと言って止めましたが、
私は好きになってしまったのだ。

私は彼に告白したが、最初は全く相手にされてなっかった。
それでも、相変わらず彼は私を連れ回した。
ただ、私だけを連れ回していたのではなく、他のメイドカフェの子にちょっかいを出したり、どこかに連れて行ったりもしていた。(そしてその話を私が聞く感じだった)

ところがある日、何か嫌なことがあった日だった気がする。
彼は焼きが回ったらしく私をホテルに連れて行くと私のことを抱いた。
別に、好きだよとか付き合おうとかそういう話があったわけではないが、そのあとは普通にホテルに連れて行かれるようになった。
BMWさんともかなりセックスをした。彼はお金があったし、結構時間もあった。1週間に一回くらいはホテルに連れて行かれていた気がする。

私は、とりあえず彼が私を性的な対象として見ていてくれれば、彼のそばに入れるという気持ちもあったし、セックス自体は気持ちが良かったので、彼の求めには応じていた。彼との性行為は若干アブノーマルなものもあったけれど(SMとかではないが)それも別に平気だった。
私は本当に彼のことが好きだった。
付き合った男性の中で私の方から好きになったのは彼だけである。

BMWさんの人生

BMWさんは私が出会って時点ではラーメン屋として成功しているが、彼の人生はなかなかシビアなものだった。ラーメン屋は元々彼の父親が始め成功しそれなりの有名店になったものだった。
けれど、彼が子供の頃、両親はたまに彼を家に置いて二人で旅行などに行ってしまっていたらしい。しかも食費もおかず、公共料金の支払いもせず行ってしまうため、彼は小学生の時など、家に一人で電気もつかない状態で生活していることが多々あったそうだ。
あまりにお腹が空いて、近所の喫茶店でご飯をもらって食べていたらしい。
蝋燭で生活をしていたので、アロマキャンドルなどをみると切ない気持ちになると話していた。

あと、家庭内暴力があり、たまにガラス製の吸い殻入れが自分や母親に向けて飛んできたなどの話もしていた。
また、彼は中学卒業とともに、父親により強制的に料理の専門学校に入れさせられてしまう。
彼は話している感じ結構頭は良い方だと思う。あと男性だがコスメなどに興味があり、そっちの方に行きたかったというような話はしていたが、彼に自分の人生を選択する権利はなかった。
彼が料理の専門学校を卒業してすぐに彼の父親は死んでしまうのだ。
そのままラーメン屋をついで、私と会った時彼は26歳だったが、ずっと働いてきたということになる。

彼のいとこが自殺する

付き合っている期間にあった出来事として、彼のいとこが自殺をした。
私の少し上くらいの歳の女性で、職場でいじめを受けて退職し、家で静養をしていたらしい。彼ともそこそこ交友があった。
母親と二人暮らしで、母親が仕事を終えて家に帰ってきたら首を吊っていたそうだ。
彼は親族思いなところがあったので、当時かなりメンタル的にやられており、私はずっと話を聞いていた。
この女性が亡くなった時刻が、ちょうど毎日母親が帰ってくる時間の2分前くらいだったそうで、それを聞いて、「あぁ、彼女は本当は、お母さんに見つけてもらって、助けてもらいたかったのではないかな」と思ったのをよく覚えている。
あと、この母親が娘が亡くなったあと、お香典に言った際、花も備えていなかったというようなことを彼がぼやいていた。
彼女は母親に自分の存在を認知してほしかったのでは?とその話を聞いた時も思ったのも覚えている。

元恋人からストーカーで訴えられる

実は彼は私の働いていたメイド喫茶にくる前、別の老舗メイド喫茶のスタッフに手を出していた。彼女とわかれて私の働いていたメイド喫茶にくるようになったのだ。ところが、彼と別れて以降、この元カノは彼のことをストーカー容疑で警察に訴え続けていた。
彼が実際何かしていたかどうかは定かではないが、彼自身が言うには何もしていないと言っていた。
彼は付き合っていた頃、彼女にブランド物の鞄やら何やら色々買っていたらしいので、そう言った待遇が欲しくてよりを戻したいのではと彼自身は話していた。(ちなみに私は全く興味がなかったので彼は私にはそういったものは買ってもらっていない)
ただ、彼が言っていた話なので真実かどうかはよくわからない。
警察も当初取り合っていなかったのだが、あまりにも毎日来てしつこいので、ある日警察は彼を書類送検する。(この流れも彼が話していたことなので事実かどうかよくわからない)
書類送検されたのは、付き合い始めて半年くらいたった、4月ごろだった。
私が服飾の専門学校に行き始めくらいの頃である。
そのころ、彼は本当にメンタルが荒れていた。
私も、専門学校があり大変なところをよく呼び出されていた。
書類送検されたものが起訴され有罪になれば前科がつく。それが怖かったらしい。
結果をいってしまうと、その後、検察側から連絡が来て不起訴処分となった。

性病になり喧嘩をし別れることとなる

不起訴処分になって1ヶ月ほどたったころ、BMWさんと私はクラジミアという性病を発症することとなる。以前書いたカンジダとは別の正真正銘の他者からしか感染しない性病である。

どちらが先に気がついたのかは忘れたが、(BMWさんだった気がする)私も婦人科に行って診断を受けた。けれど婦人科の待合室にいるときもずっとメールと電話で喧嘩状態だった。
というのも、ネットでの情報だと潜伏期間は1週間から3週間とされており、どちらかが浮気をしていない限り感染るするはずがないからだ。
けれど、これに関しては、私の行った婦人科の先生曰く、「数ヶ月でも潜伏することがあるので、前の彼女の可能性もある」と言う話だった。私はそれを信じてそう思ってたし、その話をBMWさんにしたけれど、彼は怒り狂っていたのでまったく聞く耳を持ってくれなかった。
結局、私が浮気をしたという誤解をとくことができず、彼とは別れることとなった。

その精神的なダメージの影響もあり、その後通っていた服飾の専門学校にも通えなくなってしまいました。ただ、専門学校に行けなくなったが100%彼のせいかというと、要因の一つではあるものの、彼のせいというわけではなく、鬱だったり、そもそも他の生徒さんとの熱量の違いなどもあったので、そこを責めたりする気は微塵もない。

一年後、謝罪の電話がかかってくる

彼と別れてちょうど一年ほどたったころ、彼から電話がかかってきました。
梅雨の時期特有のシトシトと降り続く長雨の日でした。

別れた当時に比べ彼は落ち着いていました。
そして「あの時は悪かった」と私に謝罪をしました。
結局、彼が浮気をしたのか、どうなのかはわかりません。
ちなみに私は全く疑っていませんでした。
「疑って悪かった」だったのかもしれません。

あと、付き合っていた当時、彼はかなり痩せていましたが、少し太って健康的になったよと笑って言っていました。

それだけです。
それでも私は救われた気分でした。
彼と付き合って良かったなと思っています。

それ以降は全く連絡も取っていないのでどうなっているかは知りません。
彼のお店に行けば会えるのかもしれませんが、今更会いに行く気もありません。
ただ、幸せに暮らしていればいいなと思います。



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