飯島真理 4thアルバム「KIMONO STEREO」(1985)レビュー
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●印象薄めの4thアルバム
今作は前三作とは異なり全曲外人がプロデュースとアレンジを担当しているせいか、妙にアメリカンというかロックっぽい雰囲気の曲が収録されており、違和感を感じたな。頭の2曲が特にアメリカンか?歪みの効いたロックなギターが何とも安っぽく微妙だが(笑)新鮮ではある。残りの曲はいつも通りソウルフルでファンキーな曲と可愛らしい曲とバラードだが、やはり大傑作だった前作「midori」には及ばんかな?というのが個人的な印象だ。一曲単位で聴くと良いんだが、どこかアルバムとしてはまとまりに欠ける気がする。やはり頭の2曲とシングル曲、セシールの雨傘が浮いてる印象で、何というかテーマがよく分からん。キモノステレオというタイトルだが特に和風という訳でも無いし。ネットのレビューを探しても前三作ほどは見つからんしで印象は薄いな。飯島真里作品の中でもあんま語られる事の無いアルバムかもしれん。
●気になった曲、布教したい曲の感想
01 嘆きのスーパースター
妙にアメリカンでロックなギターバッキングが新鮮なナンバー。過去に無かったアレンジだぞ。曲自体はやたら穏やかに始まり、サビは得意の超展開でぶっ飛んでるな。開幕感が凄いという点では前作の一曲目、僕の魔法と共通しているがあっちのような切なさは皆無だな。
02 3つのルール
1曲目に続いてポップロック色の強い軽快なナンバー。得意のファンキーさは皆無だな。ベタ~っとしたリズムだ。シンセブラスはこの時代にしても安っぽく、金かかってないアニメのキャラソンみたいだ。歌詞は真面目で硬派な男をディスる内容で当時のピュアなオタクはイラッとしたろうな(笑)。
03 ピンクのルージュ
得意のメルヘンなテクノ寄りポップナンバー。可愛らしい曲調に反してベースが結構暴力的だな。ビートが強調されたカッチョイイアレンジだぞ。電子音も多いが全体的に音数少なめの洗練された渋いアレンジでまとめられており、実に俺好みだぜ(笑)。全曲この路線で聴きたかったな。
04 憧れ
切ない系のミディアムバラード。ストリングスがメインのイントロが高級感あるな。全体的に地味でサビもあんま盛り上がらんが上手く緩急がつけられており、手抜き感は無い。特に2番サビからホーンソロの間奏、Cメロへの流れはお見事!サビの後半の転調っぽいコード進行がフックがあって素晴らしい。並みのシンガーソングライターには出来ん芸当だ。
05 瞳はエンジェル
珍しくレゲエ的アプローチが施されたミディアムバラード。後半は更にレゲエ色が強くなる。切ない曲調にあんま合ってない気がするな。普通にピアノのポロロンで聴きたかったわい。
06 I LOVE YOUは言えない
ガーリーで切ないポップナンバー。やはりファンキーさは無いな。鋭いエレピ音と軽快でフュージョンっぽいホーンソロが良いな。Bメロで突然高速16ビートになるのも面白い構成だ。
07 ダイアリー
早めの三連符のイントロとAメロが印象的なミディアムバラード。3分に満たないコンパクトなナンバー。テンポは遅めだがメロディにスピード感があるので眠くならずに聴けるな。サビらしいサビの無い曲でアルバム曲~って感じだ。途中の穏やか系ギターソロは結構長めで聞き応えあるな。
10 セシールの雨傘
これは大名曲!飯島真里にしては歌謡曲要素と哀愁強めの曲調でちょいダサめだが、良いものは良い!全体的にドラマチックな展開とコード進行でヒット曲オーラが半端無い!サビは所謂王道進行だが、強力なメロディと盛り上げすぎない渋いアレンジのバランスがマジで見事だ!普通ならもう少しくどくなりそうだが、音数少なめの隙間を生かしたアレンジでコーラスワークもメロディを邪魔する事無く、適度な主張で素晴らしい!また死ぬほど女々しい歌詞にも注目だ!あまりの情けなさに勇気を貰えるだろう(笑)。人間こうなったらダメだね。
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