飯島真理 5thアルバム「Coquettish Blue」(1987)レビュー

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●レーベルを移籍しての第一段

ヤマタツの誘いを受け「MOON RECORDS」に移籍してからの第一段で、通算5作目にあたる今作。その出来は大傑作たる3rdアルバム、midoriに勝るとも劣らない大傑作だと個人的には思うぞ!全体的にかなり統一感があり、アルバムとしてのまとまりが素晴らしいのだ!勿論一曲単位で聴いても最高だが、曲順曲間も含めて聴くことをオススメするぞ!間違ってもシャッフルはしない方が絶対良い!

●全曲飯島真里本人による編曲&プロデュースの力作

過去様々な大物プロデューサーとアルバムを作ってきた飯島女史。ここにきて遂に全曲セルフアレンジ&プロデュースであるが、驚くべき事に今作は本来ヤマタツがアレンジ&プロデュースを手掛ける予定だったらしい。しかも飯島真里がそれを断ったというのだから更に凄い。伝説である。どこの世界にヤマタツプロデュースを断る人間がいるだろうか?普通に考えればこれはとんでもない判断ミスである。しかし今作は本人アレンジで本当に良かったと思わせる素晴らしい完成度なのだ!「大人しくヤマタツに任せてりゃ良かったのに…」とは微塵も感じさせぬそのクオリティ!全くもって凄い、凄過ぎるぞ!

●脱アイドル、アーティスト路線

今作は今まで感じられたアイドルっぽさはなりを潜め、硬派な男に媚びない落ち着いた地味極まる作風で言うまでもなく新境地である。そしてアーティスト路線と言っても、そもそもデビュー時から一貫してアルバム全曲作詞作曲している時点でアイドルのワケがないのは明白だが、マクロスの声優でデビューした経歴とブリっ子的歌唱スタイルに加え幼い風貌というのもあり、デビュー後数年は完全にアニメ寄りのアイドルとして見られていた!そんな彼女の本気の一枚がこのアルバムだ!脱アイドル化してからの彼女の音楽性は知らんという人もかなり多いと思うが、滅茶苦茶勿体無いぞ!あんま売れなかったのは残念だが、近年のシティポップ再評価の流れで再び注目を集めつつある…と信じたい(笑)。いやマジで名盤なんだよ!もっと評価されるべきだぞ!

●気になった曲、布教したい曲の感想

01 I feel blue
マジカルでファンタジーなイントロか
ら始まる地味なセツナ系ミディアムバラード。アルバムの一曲目とは思えない程に音数を極限まで減らした鬼渋いオトナAORアレンジと胸を締め付けるとにかく切ないメロディーがこのアルバムの方向性を示している。明らかに今までの飯島真里とは違うという事が、この1曲目で瞬時に理解出来るだろう!それにしても渋過ぎる!渋過ぎて甘ったるいキュート系ボーカルが浮いて聴こえる程だ。

02 Baby, Please Me
ストレートで王道な軽快ポップナンバー。多少可愛らしさがあるがそれでも以前に比べると大分大人しい。この曲もアレンジはかなり渋いぞ。強力なバンドアンサンブルで超ファンキーだ!オシャレ系エレピも主張が強すぎず丁度良いな~。後半のライドシンバルも良い味出してるな。のどかな曲調だが最初から最後までタイト且つ緊張感の高い演奏で間延びは全くない。

03 Crime
一転してハードでロックな雰囲気のナンバー。珍しく歪んだギターイントロで幕を開ける。AメロBメロは順調にマイナー調で展開するが一回きりのサビでは久々の超展開で吹っ飛ぶぞ!何回聴いてもすごい。なんちゅうメロディーだ!

05 ガイ・ベネットの肖像
ド直球AORバラード。メロディー、アレンジ、演奏のクオリティが凄まじく高い!かのシティポップの大名曲、プラスティックラブ並みのポテンシャルがあるぞ!いつか外人に発掘されるんじゃなかろうか?個人的には特に演奏とアレンジが気に入った。出だしから凄まじい緊張感の演奏で寸分乱れぬ極上の神グルーヴを存分に堪能出来るぞ!安っぽい電子音ゼロの完全生音、そして最低限の音数と各パートを邪魔しない完璧なアレンジはマジで鬼渋いぞ!外部アレンジャーに丸投げしてたら意図を汲み取られず単にダルいバラードにされて捨て曲認定だったろう。曲調はそれぐらいスロー且つルーズである。つくづく本人アレンジで良かったと思い知らされるな。固くて冷たいピアノの音色が格好よすぎる!いやしかしずっと聴いてられるわ。滅多に言わんが、これぞ神曲。今後再評価が期待されるレベルのシロモノでシティポップ、AOR好きなら絶対に聴くべき。

06 People! People! People!
ポジティブ系アップテンポナンバーでソフトなロックだな。90年代前半のアニソンにありそうな雰囲気でクソ薄っぺらい歌詞もアニソンっぽいな(笑)。この曲のみ共同アレンジでそのせいかやはりアレンジが微妙だな。レトロなシンセ音が浮いとる。

08 悲しいバレンタイン
可愛らしい系のポップナンバー。超タイトなシャッフルビートがファンキーながら楽しい気分にもさせてくれるぞ。この曲は過去の飯島真里の雰囲気が残ってる気がするが、昔ならもっとテクノでデジタルなアレンジでまとめられていたろうな。曲の終わり際では突如ベースが主張し曲調もロック寄りになる。

09 雨のStrawberryfarm
終始夢の中にいるような浮遊感がクセになるファンタジーなナンバー。シリアスな雰囲気も併せ持つ。シンセパッドのポワ~ンとした響きが印象的だな。電子音中心だが安っぽさが無いのは流石だな。アウトロのドラムソロは狂ったように長く、聴くたび驚く。

10 元気でね
ラストは生ピアノを軸としたストレートなバラード。壮大な曲調じゃないのが良いね。庶民的なAメロで始まるがサビでは雰囲気が変わり、シリアス且つ幻想的な雰囲気で盛りがる。その後は間抜けで唐突なリコーダーソロが聴けるが意外と合っているのが不思議だ。

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