飯島真理 6thアルバム「Miss Lemon」(1988)レビュー

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●レーベルを移籍しての第二段、渡米後第一弾

渡米後第一弾アルバムとの事。なるほどアメリカンというか西海岸というか、そういうフレーバーが感じられるのが過去作との最大の違いかと思われる。「Miss Lemon」のタイトル通り全体にフレッシュ且つ爽やかな晴れた朝のような雰囲気でまとめられているぞ。しかしデビューから約5年、フルアルバム6作目という事もあり、フレッシュさと同時にどこか大人の余裕も感じさせる。

●アレンジャー&プロデューサーとしてジェームス・ステューダー氏が初参加

公私ともに長年の相棒となるジェームス・ステューダー氏が全曲アレンジを担当。アメリカンでパワフルでタイトな印象だ。氏はビシッとしたロックなアレンジも多様する為、ビクター時代の飯島真理しか知らん人が聞いたら結構アグレッシブで意外に思うだろうな。ロックだけでなくAOR路線も得意なようで、前作から続く大人っぽい方向性にもピッタリである。

●気になった曲、布教したい曲の感想

01 ガラスのダーリン
軽やかなサックスの音色で幕を上げる、どっしりとヘビーでアメリカンな8ビートが印象的なポップナンバー。重くなりそうなテンポ感とビートをサックスとシンセの多様で爽やかな印象にまとめている。この曲調で間奏が無いのも珍しいな。代わりに劇的なCメロ部分があるが、ここはアメリカ感がゼロでJ-POP全開!だがそれが良いんだよな~。切なく始まるAメロにBメロで更にテンションが下がり、サビで一気に解放!起伏が激しいのはアメリカンな感じだな。サビの英語コーラスも厚い!ゴージャスで素晴らしい。

02 鏡よ、鏡!(I Wanna Marry You)
どんな日本人ですら裏拍で手拍子させるような軽快モータウンビートでアガる!やっぱ個人的に飯島真理には多少のスイング感を求めてしまうなあ!あんま分かりやすいサビでは無いのが洋楽っぽさを醸している、気がする。サビ後のギターソロは結構ハードロックだが、この元気な曲調には合ってて良いな。この曲もコーラスが凝ってるな。

03 9月の雨の匂い
軽快なノリと切ないメロディーのポップナンバー。アルバム中一番ベースの主張が強い曲かもしれん。60年代ソウルの雰囲気があるメロディーラインとシンコペーションするバスドラにベンベン言うシンセベースがリードするタイトかつスピード感のある16ビート感が複雑に混ざり合い、強烈なグルーヴをまとって疾走!このリズムは強靭だあ!ずっと聞いてられるな。Bメロだけ演歌のごとく哀愁が全開になるがそこもJ-POPらしくて良い。

04 ミッドナイト・コール
ちょい暗めのゆったりしたミディアムバラード。これは前作「Coquettish Blue」の名残があるな。ブルーな雰囲気である。サックスの音色がメロウ且つAOR感あっていいね。

05 冷たい空
シリアスめなミディアムナンバー。タフな8ビートとロックなアレンジのおかげで暗くなり過ぎず、ポジティブな雰囲気と力強さを感じさせる。メロディーはビクター時代に多様していた超展開!この地平線の彼方に吹っ飛ぶようなメロディはやはり独特だな。アウトロのギターソロは早弾きで結構ロック、というかフュージョンっぽい気もする。

06 プラットホーム
待ってましたのAORナンバー。ボーカルもいつも程キャピキャピしてなくてカッコいいな。グッと音数をおさえた鬼渋いAメロBメロ、そこからサビへの強弱が素晴らしい!サビではギターのカッティングがキレキレでファンキーだが、ハッピーな雰囲気にはならない。テンションが上がっても渋い空気感は保たれてる所が最高だな。Cメロはしっかり起承転結のあるコブシの効いた構成と哀愁のメロディーでハートを鷲掴みにされる事間違い無し。要所で入るサックスも渋い!主張し過ぎず丁度良い塩梅。これは紛れもなくオトナのミュージックである。イカす!

07 気紛れウィークデイズ
アップテンポでポジティブでガーリィなポップナンバー。アルバム中一番縦ノリでテンションの高いキュートな曲調だな。ライブでやったら盛り上がる事間違い無いだろう。

09 ロンリー・ガール
アルバム中最もロックな疾走曲。タイトルも何となくそれっぽいな。結構コテコテにハードでシリアス且つロックな雰囲気でで日本にいた頃からは考えられん曲調だな。Cメロの複雑さが少しだけ昔の名残がある。

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