飯島真理 3rdアルバム「midori」(1985)レビュー

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●清水信之プロデュース作品!

このアルバムは清水信之氏によるプロデュース作品だ!今作はとにかくそれに尽きる。メルヘンでピコピコした坂本龍一プロデュースの一作目、アナログで幻想的な吉田美奈子プロデュースの二作目とはまた異なる世界観を提示した!それは飯島真里本人の良さを引き立てるというモノであまり清水氏の我が強く出ていない(ように感じる)のが特徴だ。過去2作は良くも悪くもオーバープロデュース気味、もしくは作家性出過ぎと言った具合であまり本人の力で勝負!といった感じでは無かった。だが今作では清水氏は裏方、演出に徹しているのでかなり飯島真里色が強い!ちなみに裏方と言ってもアレンジはバッキバキに冴えており素晴らしい!あくまで曲本来の良さを演出するのに注力しているという意味での裏方だ!
今作を飯島真理最高傑作とする意見も多い。個人的にも最高傑作だと思っている。クセの強い過去2作と比べてかなり聴きやすく、普遍的な良さがあるので人を選ばない作風だと思う。入門にもオススメだぞ!

●気になった曲、布教したい曲の感想

01 僕の魔法
オープニングに相応しいパレード、お祭り的な要素のあるアッパーなミディアムポップナンバー。幕開け感が凄い。アレンジもオーケストラ系で高級だ。メロディーというか、曲の構成は一般的なJポップからはかけ離れているな。無理やりJポップの型に当てはめるならばAメロ→Bメロ→Cメロ→間奏→変則Cメロ→Dメロ→Eメロ→Fメロ→Aメロといった感じの構成でこういうのはクラシックとかそっち系ではありそうだな。次々に展開し徐々に盛り上がりまたAメロに戻る。一番→二番→間奏→ラスサビが普通のJポップならこれは一番しか無い曲とも言える。繰り返し部分が一ヶ所しか無い時点でかなりマニアックだが、ポップさはしっかりあるのでマニア意外も聴けてしまうのが飯島真理の真に凄いところだと思う。パレード曲ではあるが少ししんみりセツナ系要素のあるメロディーが日本人の琴線に触れること間違い無し!

02 ひとりぼっちが好き
セツナ系ミディアムポップナンバー。これはね、オシャレです!シティポップの要素があるな。メロディーは結構複雑だが聴きやすい。この不思議で覚えにくいメロディーを聴かせる技術は毎度の事ながら凄いな。要所で入るコーラスはかなり効果的に働いていて最高だな!Cメロで聴けるカッティングギターはファンキーで且つ疾走感があって良いな!全体のアレンジば生音中心の堅実な雰囲気で緩急もしっかりついており言うこと無しだ!リズムセクションの抜きどころも丁度良く、曲本来の味を失わない適度な演出、素晴らしい!

03 ファースト・デイト
切ないガーリー系ミディアムポップナンバー。アレンジは生音中心で激渋い。穏やかなイントロのピアノのがクソ美しい。AメロBメロはセツナ系Jポップ、歌謡曲の雰囲気だがサビで得意の超展開を繰り出し一転して明るくポップに!しかしその後またしんみりメロディーになるぞ!ゆったりテンポながらテンションがかなり忙しいナンバーだ。サビで聴けるシティポップ的なカッティングギターがまたオシャレだなぁ~。主張し過ぎないのが良い。聴きどころはサビ後のアレンジ。リズムセクション無しのピアノとストリングスのフレーズ。これは泣けるぞ!強烈に印象的なので要チェック!

04 Girl Friend
これまたガーリーオシャレなミディアムポップナンバーだ。ホーンとリズムセクションの絡みが天下一品だ!黒人グルーヴで体が揺れるぞ。割とシンプルなポップ曲で可愛らしく明るい雰囲気だが短いCメロが劇的でメリハリある!さりげないがこれで大分印象的な曲になるな。全体のアレンジもしっかり強弱ついててキャッチーだ。コーラスは主張が強くもウザく感じない。かなり整理、計算されてるな!

05 いつものパーティー
超切ないミディアムバラード。こういうの得意だな~。イントロのピアノは今作中一番エモいぞ。コーラスがかなりフィーチャーされており目立ってるな。ラストのメインボーカルとのユニゾン部では歌詞がごく一部異なっており、珍しいな!面白いアイデアだ。これはいつものぶっ飛び超展開とは違うしっとりセツナ系メロディーで聴かせる曲だ。ある意味アイドルっぽいというか、それこそリンミンメイが歌っても違和感無いな。

06 二つの風船
少し特殊な構成のミディアムポップナンバー。サビらしいサビは無くあんま盛り上がらんが全部アゲアゲ系でも疲れるので丁度良い。一番の聴きどころはCメロ後のBメロだな。アレンジが他のBメロ部分と違い一工夫あり良いな。このハンドクラップはたまらんね。全体的な雰囲気はオシャレ系だな。カフェとかでも小っさい音でかかってそうだ。ブラス系シンセ音は多少古臭いがファンキーなギターとシンセストリングスのアンサンブルは絶妙だぞ。

07 雨の町で
ピアノメインのミディアムバラード。これは少しメルヘン、幻想的な雰囲気あるな。歌詞を聴かせたい曲っぽいが自分は歌詞あんま興味無いので何とも言えん。

08 Tight Rope
少し暗めのミディアムポップ曲。シンプルな8ビートのピアノリフアレンジが印象的だ。入りが全曲から繋がって聴こえるな。Aメロは説明が難しいがBメロに聴こえる。Bメロ感がすごいAメロだ。ラストは長めのギターソロが入った後、次曲に繋がる感じで終わる。

09 恋は気ままに
「愛せるはずのない誰かと付き合うよりもこのままあなたに騙されたほうがまし」
という強烈なパンチラインから始まるマイルドなミディアムポップナンバー。歌詞興味無い自分でもよほどフックあったのかスゲー記憶残ってるな。こうやって不幸になっていくんだろうな(笑)。恋愛に妥協しない事を美徳とする時代はバブルん時から変わらんらしいな。それはさておき曲は良いぞ!普遍的な良さのあるメロディーだ。穏やかに始まり、Bメロでシリアスになった後サビで浮遊するJポップの教科書のような素晴らしい構成だ!Cメロもたっぷりあるしで贅沢!アレンジもちょくちょくリズムが変わり単調になりがちなマイルドJポップ曲をしっかり演出する!文句無しの出来だ!

10 midori
珍しくマイナー調のシリアスなミディアムバラード。なぜこの曲がラスト1つ前の10曲目に配置されてるのかは解釈ムズい。終始暗くアルバム全体から見ても雰囲気浮いてるな。メロディーも普段と違い覚えやすさがある。これは泣きメロだな!歌謡曲的にも聞こえる。ピアノ中心のアレンジもまた物悲しさを助長するな。泣きたい気分の時にお薦め。

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