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【読書】コンビニ人間

Kindle Unlimitedで読了
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▫️作者
村田沙耶香(むらた・さやか) 1979年千葉県生まれ。小説家。玉川大学文学部芸術学科芸術文化コース卒業。2003年、「授乳」で第46回群像新人文学賞優秀作受賞。09年、『ギンイロノウタ』で第31回野間文芸新人賞受賞。13年、『しろいろの街の、その骨の体温の』で第26回三島由紀夫賞受賞。16年、「コンビニ人間」で第155回芥川賞受賞。他の著書に『マウス』『殺人出産』『消滅世界』『地球星人』など。

▫️あらすじ
主人公古倉恵子は幼少期から人が言う普通がわからない。そのため周囲から厄介者の目で見られるのが鬱陶しく最低限の会話に留めながら生活していた。大学になりふとしたきっかけで新規オープンのコンビニでアルバイトをすることに。そこにあるマニュアルを守り仕事に集中することで世の中の歯車になれることを知りこれが普通と感じられる。ある日、コンビニは底辺だと言う新入りの白羽から古倉は普通ではないと突きつけられ、新しい生活に踏み出してみるが、、、

「コンビニに居続けるには『店員』になるしかないですよね。それは簡単なことです、制服を着てマニュアル通りに振る舞うこと。世界が縄文だというなら、縄文の中でもそうです。普通の人間という皮をかぶって、そのマニュアル通りに振る舞えばムラを追い出されることも、邪魔者扱いされることもない」

コンビニ人間

▫️感想
世にいう普通が分からないという気持ちは思い当たるところがある。目の前に死という形があると悲しくて、肉となって食卓にあると嬉しい。どこか生死の境目を曖昧にして生きている感覚。少しズレていても折り合いをつけて生きていくのが普通なのか、人と違う感覚を悪いものだとして閉じ込めるのが普通なのか、作者は身近にあるコンビニに投影して問題提起している。
マニュアル通りに歯車として生きられることに安心する主人公だが、仕事以外の人間関係に悩まされる。とはいえ、マニュアルにはない周りの人の所作をミックスして自分の話し方や立ち居振る舞いに変換するスキルが高いことは驚嘆する。情緒的でないため、論理的思考が高いということだろう。怒りという感情がほとんどないのも、周囲が期待する自分や普通でいてほしいということが分かってしまうこともそうだろう。
考えさせられる一冊。また時間をおいて仕事や家庭の環境が変わった後にもう一度読み返したい。

▫️ちなみにの話
コンビニで外国人に人気なのは卵サンドイッチらしい。※出典不明

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