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それはゆっくりで強く優しい

1990年、まだビデオデッキがベータとVHSの2種類があった時代
何回もテープが擦り切れる程観た映画がある

映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2」

劇中に描かれていた未来は25年後の2015年で
まだ子供だったボクは次から次へと飛び出す未来予想図に
とてもワクワクした
宙に浮くホバーボードや自動靴紐調整システム付ナイキシューズ
バイオゴミを燃料に空を飛ぶ車やジョーズ19
どれも有名なシーンだけれども
一番覚えているのはマクフライ家での食事のシーン
500円サイズくらいのピザを電子レンジのような未来の機械に入れると
特大サイズのピザになって出てくる
そこでマーティは
「早くお口に入れてちょうだいよ!」と言うんだ
全編を通してみても地味なシーンだが
あのピザを食べてみたい
純粋にそう思ったんだ

何気ないシーンが妙に心に残ることってあるよね
ラピュタのシータとパズーがシェアした卵のせパンや
魔女の宅急便のニシンパイも近いものがあって
あれ食べてみたいってずっと思い続けている

現実の話もそうだ
小学3年のときに散歩中に見つけたキノコ
5年生の時に作った紙のガンダム
中学3年の時に使っていたドクターグリップのシャープペンシル
年月が経って思い返せば味わい深い思い出になっているものも
当時はそこまでではなかったことも少なくない
時がそうさせるのか
記憶が過去を美化した結果の美化された思い出なのか
正直よくわからない
ただ、いまこうしている時に見ているものや
感じている些細なことは
数年後にかけがえのないものになっている可能性がある
単に今気が付かないだけでさ

気が付かないモノを気が付くようにするのは難しい
なぜなら気が付きにくいからという
身も蓋もない理由なんだけど
本当に大事なモノって大抵そんなもんだよね

モノがあることが幸せのシンボルだったことも
コトが代替えできない貴重なものだったことも
モノの時代とコトの時代を跨いで経験して
どっちも大事でどっちも大したことない
ボクたちは大事なモノを旬な時に気が付けなくて
なくなった後にしみじみ思い出しては気が付くんだ
それはどうしょうもない

だからせめて思い出した時にでも
そのスガタ、カタチ、イロを鮮明に思い出せるように
何気ないコトをつぶさに観察して愛でることくらいしかできないのさ

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