「黒い家」読了備忘録
貴志祐介「黒い家」を読み終わったので生じた感情のメモを残します
!!!!!ハチャメチャなネタバレ100%の記事です!!!!!
※個人的には何も知らない状態で読んだ方が面白い小説だと思います
・「(家族の)自殺」「夢(夜見る方)」「家族」がずっとテーマとして貫かれててすごい
・貴志せんせー虫嫌いだろ
・ていうか貴志せんせーは多分人間社会でやったらありえないことを生存戦略として採用している生き物を「悍ましい」って思うタイプの人な気がする、それが「生存戦略」であるから余計に「生き残るためならなんでもやる非道な生き物」みたいな描きかたで悪逆非道な人間の喩えに使われがち
・個人的にには昆虫を愛する主人公が虫をそういうのの喩えに使ったあたりでお前…京大理学部生物科卒だろ!?!?!?て思っちゃった(※京大とは明言されていません)
・「新世界より」の主人公もそういう感じで生き物を比喩に使ってたから多分これは貴志せんせーの感じ方が表出してる部分なんじゃないかなあと思う
・いい悪いの話じゃなくてね
・昆虫より植物のほうがよっぽど“悍ましい”生き物だと思うけど、次のdis比喩候補にどうすか
・自分が割と毎日悪夢見る人間だから、主人公が悪夢に苛まれてる描写にめちゃくちゃ共感した
・悪夢嫌よね〜〜〜〜〜〜〜〜
・主人公若槻くんのお兄ちゃんへの気持ちがずっと「申し訳なさ」と「優しい兄への敬愛」で満ちているのがすごくつらいけどすごくいい
・兄を見殺しにしたという気持ち以外全くこじれることなく真っ直ぐに、兄に対して小学生の時のままの敬愛を抱き続けているのが、若槻くんの本当にいいところだよな
・変な憧れでも嫉妬でも軽蔑でも劣等感でもなく…
・若槻くんはお兄ちゃんだけでなく人間全般に対してそういう拗らせ方をしないところが本当にいいところだよな
・すき焼き!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?
・ウルトラマンR/Bじゃん
・ウルトラマンR/Bなのよ
・いやウルトラマンR/Bではないけど、ウルトラマンR/Bのオタクは湊家を思い出して最悪の気分になる可能性があるので精神状態と相談して読んでください
・兄の意志(遺志)を継いでいる(つもりになっている)弟、片親、すき焼きが揃ってるのでほぼウルトラマンR/Bです
・昆虫好きな奴って昆の字がどういう意味か知ってるの!?!?!?!?私は考えたこともなかったよ
・恵ちゃん(主人公の彼女)が昆の字の意味を述べてるとこは流石に「うそくせ〜〜〜(そんなことがモチベーションになりうるかよなんか意味ありげに書きやがって)」と思ったけどまあ兄を見殺しにして自殺させたと思いながら生きてないからわかんないですね
・関西弁のキャラクターの喋り方がひとりひとり違うの凄すぎる
・電話の女が窓口に来た菰田幸子だということが明言されない時点で文字情報でわかるのマジですげえよ
・ねえ…菰田幸子の前夫…どんな人だったんですか…
・聞かれなかったから誰も彼のことを話さなかっただけで、菰田幸子の前夫もまた重徳くんみたいな人だったのかなあ
・社会に疎外されたひと同士が惹かれあって、ゆえに当人や当人の子がますます社会から疎外されるということはよく起こるのかもしれないなと思った、幸子は極端な例かもしれないけど、世界には無数の菰田家みたいな家族が存在するんだと思う
・若槻くんは、小学校で同級になって以来ずっと重徳は幸子の食い物にされてきたというような言い方をしてたけど、九州の指狩り族事件は幸子とは関係ないと思うんですよね、別の人間がバックについていたらしいし
・ただ、それで完全に幸子に認識されてしまったんだと思う、こいつは自分の意思が薄弱な、命じられれば自分の指ですら落としてしまえる人間なのだと
・重徳と幸子は一旦完全に離別していると思うんだけど、どうして(HowとWhy)再会してしまったんだろう
・幸子の前夫との子が亡くなって全夫が行方不明になったタイミングと黒い家に引っ越してきたタイミングが一致するとのことだったけど、その時重徳とはすでにコンタクトをとってたのかな、黒い家に越してきたあとに合流したんだっけ…
・もしすでに重徳とコンタクトをとっていたとしたら、ことを起こす前に次のターゲットに唾をつけてたことになるんだけど、怖すぎますが
・重徳に幸せになって欲しいというか、幸せになれるルートがあるとしたら…みたいなことを考えてしまうんだけど、あれほど意思薄弱な人間はそもそも幸せになれないみたいな話なのかな…意思をもって自分を幸せの方向に持っていくことが人生なんだとすれば…
・でも恵ちゃん風に考えれば、生まれつき幸せになれない人だっているはずないよな
・重徳が意思薄弱な人間になってしまった原因は、本人の資質もあるかもしれないけど幼少期の教育だって大きく影響してるだろうし
・幼少期の重徳や幸子の近くに恵ちゃんがいれば、ふたりは変わってたのかもしれないな、と思えることがこの小説の救いなのかな
・若槻vs幸子、「青鬼」みたいなドット絵鬼ごっこゲームにできません?
・第1ステージ・若槻のアパート:エレベーターと階段からルートを選択し(途中でもう片方に切り替えるも可)、8階の自宅へ向かい、様子を確認してから降りて近場の電話ボックスで自宅に電話をかけ、幸子がアパートから去るのを見届けるとクリア
・第2ステージ・黒い家:黒い家に侵入し、幸子が帰還するまでに恵を救出して、警察が来るまで安全に身を隠せればクリア
・第3ステージ・昭和保健ビル:階段・非常階段・エレベータ(中盤〜)からルートを選択して9階のオフィスから脱出する。既に幸子はどこかに忍び込んでいる状態でスタート。同じフロア・階段にいる場合のみ幸子の位置を把握できる。エレベータの動きは把握できるがエレベータに幸子が乗った・降りた保証はない。フロア内の部屋に幸子が隠れている可能性がある。消火器は武器として使用可能。無事脱出するか、幸子を無力化できればクリア
・全ステージで幸子に見つかった場合めちゃくちゃ追いかけられる。第2ステージでは見つかっても警察が来るまでに逃げ切ればクリアだが、ブチギレた幸子はめちゃくちゃ俊敏なのでできるだけ見つからずにクリアしよう
・殺されると後日葛西のデスクに若槻の死亡診断書が送られ、若槻ママのもとに保険料が振り込まれるという演出が流れる
・ドットアニメ作る方、お願いします
・若槻くんにかかわる保険屋の職員が立場問わずみんないい人たちだってことがものすごく大きな救いのように感じた。保健というシステムそのものがひとびとの首に懸賞金がかかっているというような環境の要因になりうるという話だったけど、そうなったって別にかまわない、滅多にないことなんだから、そんなことより多くの契約を取る方が優先、みたいな保険屋がいたって不自然ではないと思う。でも作中の保険屋の職員は、もちろん考え方はひとりひとり違うけど、その全員が会社の成功とともにできるだけ多くの顧客の幸福を実現させるべきという意思で最善を尽くすべく働いている。金石さんが想像するような悲観的な未来に対して立ち向かうという意思が主人公の身内サイドに共通してあって、主人公が安心して背中を預けられる組織に属していることが、この恐ろしい物語を読み進めるうえで大きな安心材料だったし、物語の終わりを希望のあるものにしていたなと思う
・終わり方、ワクワクしない「Mr. インクレディブル」じゃん
・俺たちの戦いは…これからだ……
・読んでるときに叫んでた言葉集「助けて〜〜〜〜〜」「無理〜〜〜〜〜〜」「ちょっとォ!!!!!」「救われてくれ」「【ゆる募】救い」「無理無理無理」「嫌〜〜〜〜〜〜〜〜」「住所ばれちゃったじゃん」「引越せや!!!!!!!」「ページめくりたくない」「やめてくれ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」「金石くん死ぬじゃん」「ギアいっこあがってきた(震)」「三善さん!!!!!!!!!!」「おなかいたくなってきた」「三善さん!!!!!!!!!!!!!!!(号泣)」「一休みさせて」「やだぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」「板前ェ!?!?!?!?!?」「そんなとこまで拾うのォ!?!?!?!?!?!?!?(半泣き)」「呪力ないんだよぉ!!!!!!!!!!!!!この世界には!!!!!!!!!!!!!!」「めくったら来るじゃん!!!!!!!!!!!!!」「うわ〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!」「あーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」
・こんなに疲れた読書体験もなかなかないよ
・次は「悪の教典」を読みたいぜ!