ヘリウム原子核と放射線だらけの宇宙

『ぼくらワールド解体新書』(11)放射線のこと④

宇宙から飛んでくる放射線を【宇宙線】と呼びます。宇宙線とは宇宙空間から飛んでくるガンマ線や陽子や中性子などのことを言います。

ビッグバンによって宇宙が誕生し、その誕生の0.0001秒後に陽子と中性子が生まれました。ちなみに陽子1個は水素の原子核になります。

つづいて宇宙誕生の3分後には陽子が2個くっついてヘリウムの原子核が生まれました。つまりアルファ線の誕生です。

宇宙が生まれてからある程度冷えるまでは陽子や中性子、ヘリウムの原子核やリチウムの原子核、電子などの放射線が宇宙を好き勝手に飛び交っていたというわけです。つまり放射線天国と言っていいでしょう。

当然、今も宇宙には放射線がたくさん飛び交っています。たとえば国際宇宙ステーションに半年滞在すると約110〜120msv(ミリシーベル)被ばくします。1日あたりだと約0.61〜0.66msvとなり、4日程度で日本はおろか世界の年間平均被ばく量程度かそれ以上の被ばくをします。


また飛行機に乗ると、地上に比べれば宇宙に近いこともあり、宇宙線の被ばく量が増えます。

こうした被ばく以外でも、健康診断などでレントゲンやCTスキャンを受けると被ばくします。それでもレントゲンやCTスキャンを行うのは、重い病気を発見する方がメリットがあると考えられているからです。

ぼくが受けた歯のレントゲンでは1秒に満たない時間で0.003〜0.004msv(ミリシーベルト)被曝しました。体のなかを詳しくレントゲン撮影するCTスキャンだと1回10msv被ばくします。

これら放射線がぼくらの体に影響をどれくらい与えるかについて見てましょう。たとえばガンになるリスクを放射線とタバコやアルコールなどと比較すると次のようになります。


放射線がどれだけ体に悪い影響を与えるかは、どれだけのエネルギーをもった放射線を浴びたかで決まります。一瞬で4000msvの放射線を浴びると、骨髄にある血液を作る細胞が壊れてしまい、100人中50人は死ぬと考えられています。

ぼくらの周りには放射線があふれています。それでも普通に生きていけるのは、ぼくらの体には体を修復する力があるからです。ただ、修復にも限界があります。修復できる量を超える放射線を被ばくしたり、修復できる量を超えて食べたり飲んだりすると体に悪い影響がでます。

つまり、放射線やその他の悪いもので壊れた自分の体を、ぼくらは修復しながら生きているのです。

それでは、また次回!

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