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ペアに注目したアセスメントの作り方 (伊達洋駆氏インタビュー #3)

こんにちは!GUiDEE開発チームのモイです!ビジネスリサーチラボ伊達洋駆さんインタビューの第3回は、現在我々が作っているプロダクト、GUiDEEについてうかがいました。

GUiDEEは「上司・部下のペア」に焦点を当てた、関係構築のためのサービス。開発に当たって、どうしても必要なのが専門家の知見、学術的な知識です。そこで私たちはペアの状態を可視化する「アセスメント」部分を作るために、伊達さんの力をお借りしました。具体的にはコンセプトの具体化、アセスメントの設計、具体的な質問項目の策定、テスト結果の分析とフィードバックなどをお願いしています。

今回はアセスメントツールを作るためには何が重要で、どのようなステップで開発を進めるべきなのかをお話しいただいています。

——GUiDEEのアセスメント開発はどのように進めているのでしょうか。

アセスメントを作るために、まず⼤事なのが仮説作りです。「こういうことをすればうまくいくだろう」という仮説です。例えば、GUiDEEの⽬的は
「部下が⾃律駆動すること」ですから、「部下が⾃律駆動するには、上司と部下は○○の関係性が良い」といった仮説が考えられます。

この「○○」に入るものを探る目的で、上司と部下の関係性をめぐるさまざまな領域の研究をレビューしまし た。そして、仮説の精度を上げたり、新しい仮説を⽴てたりしました。仮説作りは⾮常に重要かつ⼤変な作業です。良質な仮説に基づくアセスメントでないと、実践的に有用ではありませんから。

こうして仮説がある程度固まったところで、具体的な質問項目の作成に移ります。ここでは⼼理統計や測定論の考え⽅に基づいて質問を作成していきます。

⼀通り作成が終わったら、質問項⽬が正しく機能するかを検証しま す。実際に質問項目に回答してもらい、その回答データを分析します。測定したいものを測定できているかという妥当性、診断結果が一貫・安定しているかという信頼性など、診断ツールとして満たすべき品質を満たしているかを確認します。ときには、仮説とは異なる結果が得られることもあるため、このステップは⼤切です。

データ分析の結果をもとに質問を修正し、また検証します。これを繰り返してアセスメントの精度を高めていきます。

——上司と部下の関係に着目した研究というのはあるんですか?

いろいろな研究がありますが、主要な領域としてLMX(Leader Member Exchange)を挙げることができます。リーダーシップ研究の中でも近年、注⽬を集めている理論のひとつです。LMXは、同じ上司でも、うまくいっている部下とそうでない部下がいることに着⽬する理論で、上司と部下の関係性の質が⾼いほど部下が⾼い成果を出す、ということがわかっています。もちろん、LMX理論をそのままGUiDEEに使うわけではありませんが、発想を広げるための知見として参考になりました。

GUiDEEでは、上司と部下のように権⼒が帯びた関係性を可視化するには、どうすればいいのか。例えば、誰に、どうやって質問するといいのかなど、ひとつひとつ試⾏錯誤しながらアセスメントを作っています。

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伊達さんとともに開発中のアセスメントは、現在社内検証のフェーズです。これから質問を磨いて精度を上げるとともに、サービス上に実装していきます。GUiDEEは段階的にリリースしますが、アセスメントのリリースは来年春頃になる予定です。

またGUiDEEでは、上記アセスメントを含むサービスを先行利用し、フィードバックしていただける、クローズドβ版のユーザー様を募集中です(サービスの性質上、ご利用は企業単位または部署単位となります)。ご興味のある方は、ぜひ以下のメールアドレスまでお問い合わせください。
cuebic-bizbase@cuebic.co.jp

第1回 研究とビジネスの距離を縮めたい
第2回 HR業界にもっと「専門知」を 
第3回 ペアに注目したアセスメントの作り方(本記事)

  『「最高の人材」が入社する採用の絶対ルール』は、伊達さんが共著者として執筆した本です。エントリーシートは本当に必要か、志望動機はなぜ聞くのか、など従来の「採用の常識」にズバリと切りこんで、新常識を提案しています。刺激的に見えますが、背後にはしっかりとした根拠があり、「確かにそうかもしれない」と納得させられることばかり。採用担当者はもちろんのこと、求職者にもオススメしたい一冊です。

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