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アブソリュート・チェアーズ 2/17〜5/12 埼玉近代美術館 


椅子の展示はアアルトなど家具デザイナーのはあったけど、椅子を題材とした企画展はめずらしい。

椅子とは紀元前3000年頃からあった生活の代表的なもの。
だが、このように本来の使い方とは別の意味を求め始めたのは文化が成熟した証だろう。
悪く言えば時間ができたからかもしれない。

それはさておき、作品は有名なデュシャンの複製から始まり、フランシスベーコンの絵画まで、椅子が少しでも絡んでいれば何でもありみたいな感じ。

でも、この企画展の主題は他にもある。

傾けさせたり、座り心地を悪くさせたり、座るという行為からの解放を表現するなんて如何にも芸術っぽい。



学生運動の時はバリケードとして使われ、権威の象徴として大きな会場に並べられ、オブジェとして使われ、死刑の道具として使われ、戦争への皮肉として使われる。



また、宮永愛子の儚さや名和晃平の悠久の時間を感じさせる世界観にぴったりと合うのも椅子の寛容さというか、人が椅子への思いがないようで結構あることに気づかされる。



最後にとても勉強になったのが、敵対的建築物という言葉を知ったこと。
寝転ばないように仕切りをつける。座らないように角を鋭くする。椅子が人間を制御するという考え。
排除アート言われてもしょうがない気もするが、色んな人間がいるから仕方ない部分もあるんだろう。


他にもたくさん作品がある。
椅子が中心ではなく芸術の媒介となっていたので、それほど椅子へのインパクトはなかったが、新しい企画への挑戦として拍手を送りたい。

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