マスヤゲストハウス
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マスヤゲストハウス

ワンダラーユウコ (Guesthouse Press編集長)

一度訪れたら何度も来たくなる細やかな気遣いの力


マスヤゲストハウス(以下マスヤと表記)は長野県南部、下諏訪にあるゲストハウスだ。JR下諏訪駅からも徒歩圏、長距離バスの停留所がすぐ目の前という抜群の立地で、廃業したまま放置されていた「ますや旅館」の建物を使い、新たにリノベーション、ゲストハウスとして復活させた。

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諏訪というのは文化的にもとてもおもしろい場所で、まず地理的には諏訪湖という大きな湖。そしてそのまわりに諏訪大社があるのだが、実は諏訪大社は4つある。上社と下社のそれぞれに2つずつ存在し、マスヤから一番近いのは下社秋宮。また、春宮の奥には縄文アートに詳しい人なら超有名な「万治の石仏」もある。

もともととなりの茅野市出身のきょんちゃんこと斎藤希生子さんが仲間と一緒に創り上げた宿。特に改修に大きく関わった、現在上諏訪にてリビルディングセンタージャパンを運営する東野唯史さんが手掛けた館内のデザインは、古民家をこうするのか!という和洋折衷な雰囲気が斬新だった。

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マスヤが下諏訪のその後のまちの風景を変えるきっかけになったとわたしは感じる。特に現在は東野さん夫妻が仲間とともに(彼らは当時設計だけでなく現地で施工も一緒に行うというスタイルをとっていた)マスヤを一緒に作り上げるなかで、ここでの生活があまりにも楽しく、その後都内の拠点を引き払い、下諏訪に引っ越してくることになったことも大きい気がする。

この宿のリビングに行くと「誰かいる」みたいな感じで、誰もがすぐに打ち解けて知り合いになって、旅人も地元のスナック帰りのお兄さんやスタッフや、いろんな人がここに集って独特の雰囲気をつくりあげていた。

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広い一階部分はすべてバーとリビング、広い独立キッチン、小さな雑貨店で構成されていて、客室が全然ないのも特徴で、バーは夜な夜な入れ替わり立ち替わりでフラっと飲みに来る人も多く、何度か訪れたけどいつも賑わっていた。

もうひとつここの特徴は、宿泊客も常連の人ががすごく多いこと。下諏訪という土地がまだあまり海外からのゲストには知られていないのか少なめで、取材した2017年の段階では、8割くらいが日本人だそう。そして何度もリピートで泊まりに来るリピーター率がとてつもなく高い。

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そして最大の魅力はオーナーきょんちゃん。
ゲストハウス女将オブジャパンみたいなのがあったら、絶対賞は確実、という女性。いつもにこにこと笑顔で、親しげに話しかけてくれるから、こちらも自然と笑顔になってしまう。

責任感も強く、以前は「ずっとここに張り付いていたい、でないと心配」だったそうだが、結婚し、子供が生まれてからはそうもいかず、スタッフに任せるということを学び、今はチームで考えながら運営を進めていくことがうれしいと感じているそう。

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たくさんのスタッフがいつもいるけれど、その中からまた新たに別の地域でゲストハウスを始める人も多く、極めて高いレベルでそれが伝承されている。馴れ馴れしいと感じさせないフレンドリーさで、かつ丁寧できめ細かな対応って接客において相当な難易度だけれど、ここの人気の秘密はそれが徹底されているからなのだと思う。

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とはいえ、何度も通うとなると、宿のまわりのまち自体がおもしろくないと続かない。その意味では諏訪の周辺は諏訪大社をはじめ名所旧跡の類もあるし、低価格で入れる早朝営業の温泉もたくさんあって、はしご湯できたりとバリエーション豊かなのでよい。

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最近は、移住者が増え、まちもそれをバックアップする施設(移住交流スペース 「mee mee center Sumeba」)もできるなど、若い世代が移り住んでお店を始めたりすることが多くなった。

革細工のお店だったり、カフェだったりと、センス抜群の店があちこちにあるし、もともと老舗の駅前食堂みたいなローカル色が強い店も残ってたいたりと、観光地としての部分と地元の暮らしを味わう部分、さらにちょっとおしゃれな移住者立ち上げたショップやコミュニティのバランスがよい。

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経営効率を考えると、(カフェ営業などで)お金を生まない共有リビングスペースなどがたくさんあると効率が悪いのだと思うけれど、旅をする側にとっては、そこの良し悪しや広さが居心地の良さにつながっている。

自分の寝床スペース以外の場所がたくさんあるとすごく贅沢な気分になるし、ただ座っているだけでなんとなく「ここにいていい」「認められている」と感じられるのかなと思う。
誰とも話さないのに一体感があるようなそんな雰囲気があるのがゲストハウスの大きな魅力だし、マスヤはそれが特に突出しているのだ。

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ワンダラーユウコ (Guesthouse Press編集長)

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ワンダラーユウコ (Guesthouse Press編集長)
日本全国のゲストハウスを自費で旅して後日取材してフリーペーパーとWEB記事にする活動を地味に8年やっている旅人。在庫切れのフリペを救うため、2019年12月『ゲストハウスプレス 日本の旅のあたらしいかたちをつくる人たち』を刊行:https://g.co/kgs/fkvmZS