還元主義的なマインドショートカットとその影響 〜トレーナーの悩みに応える〜
はじめに
僕のパーソナルジム「Quest」のクライアントの2割は現役のトレーナーの方です。
そのクライアントさんはもちろんですが、それ以外にも全国のトレーナーの方から日々、様々なお悩みやご質問をいただきます。
僕もトレーナーの皆さんのお悩みに直面する中で、「こんな風に考えれば悩まなくてもいいのかも」という「答えの出し方」があると考えています。
今回は僕がいただいたトレーナーの方からのご相談についてお話ししたいと思います。
これを通して「現場での答えの導き出し方」のヒントになればと思っています。
ご相談の内容
ある日、僕にメールでトレーナーの方から以下のお悩みに関するメールが届きました。
彼は、クライアントの膝の痛みに対する効果的なアプローチが見つからず、悩んでいました。
彼はネットで見つけたある整形外科医の語る「膝の痛みにはこのエクササイズが最良」という情報を信じ、その通りに指導していましたが、クライアントの痛みは改善されず、むしろ悪化しているように感じていたのです。
還元主義的なマインドショートカットの問題
このような悩みはよくあります。
ネット上には「この問題にはこの解決策が最適」というシンプルな回答が溢れています。
これが還元主義的なマインドショートカットです。
しかし、現場で実際に効果的な答えを出すためには、その情報だけで答えを導き出そうとせず、多方向からクライアントをアセスメントし、その原因と解決方法について深く掘り下げる必要があります。
ステップバイステップのアプローチ
それでは、具体的な解決策をステップバイステップで見ていきましょう。
1. 現状の理解
まず、クライアントの現状を正確に理解することが必要です。
膝の痛みの原因は一つではありません。
過去の怪我、姿勢の問題、筋力のアンバランスなど、複数の要因が絡み合っていることが多いです。
ここでは、以下のポイントをチェックします。
痛みの症状が出た時の細かい条件
そのクライアントの既往歴
日常生活での動きの癖や姿勢
筋力と柔軟性のバランス
2. 詳細なアセスメント
次に、詳細なアセスメントを行います。具体的には、以下のようなテストを実施します。
膝だけでなく股関節・足関節の可動域テスト
筋力テスト(特に大腿四頭筋とハムストリングスに限ることなく、股関節周辺部や下腿部も含む)
立位の姿勢と歩行動作を含む複数のアセスメントエクササイズ
これにより、痛みの原因を特定しやすくなります。
3. パーソナライズドプランの作成
アセスメント結果に基づいて、個別のエクササイズプランを作成します。
例えば、膝の痛みが大腿部および股関節部の筋力不足から来ている場合、以下の強化エクササイズを中心にプランを組み立てます。
大腿四頭筋強化エクササイズ(例えば、ニースクワット)
ハムストリングス強化エクササイズ(例えば、ノルディックハムストリングカールなど)
股関節外旋筋群と四頭筋の連動(クラムシェルw/バンド、スモウスクワットなど)
ストレッチ(特に大腿前面・股関節屈筋群と後面の柔軟性向上)
*このプログラムに関しては、マインドショートカットを防ぐために、あえてかなり簡略化しています。
4. 進捗のモニタリング
エクササイズプランを実施する際には、進捗を定期的にモニタリングすることが重要です。
以下の方法で評価します。
定期的なフォローアップセッション
クライアントの日記や記録の確認
痛みのレベルと可動域の変化のチェック
5. フィードバックと調整
最後に、クライアントからのフィードバックを基に、プランを随時調整します。
クライアントの状態に応じてエクササイズを変更したり、新たなアプローチを試したりします。
結論
このように、還元主義的なマインドショートカットに頼らず、ステップバイステップでクライアントの状況を評価し、個別に対応することが重要です。
これにより、効果的な結果を得ることができ、クライアントの信頼を得ることができます。
もう一度書きますが、パーソナルトレーナーにとって最も重要なことは「情報」や「メソッド」に捉われず、真摯に目の前のクライアント個人と向き合うということです。
トレーナーとして、情報過多の時代において、正確な判断と個別のアプローチが求められます。
これからもできるだけお役に立てていただける情報を発信いたしますのでお待ちください。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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