オカベ カフカ

どうも。適当になんか書きます。エッセイ、短編、マイクロノベル、駄文など。

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最近の記事

10 years ago

メンバーが3人脱退した時はシンプルにショックだった。その1ヶ月前に行われた日比谷野音でのライブが最高だったからだ。そしてオリジナルドレスコーズの活動が毛皮のマリーズが解散して2年半という短期間であった事もあって毛皮のマリーズが復活するのかどうか自分の中で淡い期待がある反面、なかなか事実を受け止められず暫く志磨遼平の音楽を楽しむことが難しかった。志磨遼平がスタッフアカウントを自然と乗っ取るような形でTwitterを始め、アルバム「1」の制作過程が毎日のようにアップされるようにな

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  • 天使になりたいなんて
    0本
  • People In The Boxに寄せる
    4本

記事

    ピンポンダッシュ

    それは一瞬の出来事だった。ある朝、俺は高校への通学路を母親が握ってくれたおにぎりを口いっぱいに頬張りながら歩いていた。おにぎりの具は昨晩の夕飯で母親が揚げてくれた唐揚げが丸々1個入っていた。唐揚げはなんでこんなに冷めていても美味いのか。唐揚げというものを発明した人にノーベル平和賞を与えるべきだよな。などと考えていたら横から自転車が抜き去っていき、自転車に乗っていた学生が俺の顔を確認して、俺が歩くのを遮るように自転車を止めて俺に近づいてきた。自転車に乗っていたのは同じクラスの伊

    ピンポンダッシュ

    エイプリルフール

    「新年度早々、嘘をつく気分はどうだい?」俺が彼女にそう言ったのは別に皮肉ではない。俺は普段嘘ばかりついている。そんな奴ほどエイプリルフールという今日くらいは嘘つかないでおこうと思うのだ。彼女に最後に送った一文は「嘘を隠すな」だった。喧嘩をした訳ではない。ただ彼女が嘘をつくたびに、彼女の中に「空白」ができていた気がしたので、止めようという意味で伝えた。 彼女は今日とうとう帰って来なかった。帰ってくる事を祈って、玄関を開けたままにして彼女が好きなアクアパッツァを作った。味見をした

    エイプリルフール

    流星

    職場の先輩と渋谷のクラブクアトロでライブを観た帰りに、居酒屋に行って今日のライブが最高だったって話で盛り上がりすぎて、気づいたらあっという間に2時間が経っていた。話し足りないし飲み足りないしって感じなので次の店を探しに外へ出た。ビルが真っ暗な空に向かって伸びていて、周りを見ても同じようなビルがいくつもあって、田舎出身の私はこの光景にいつも圧倒されてしまう。私の地元がどれくらい田舎なのかというと家から車で15分くらいかけて走らないとコンビニとかスーパーが無い、それくらいのレベル

    大洗

    はい、時刻は3時になりましたー。星野源さんお疲れ様でした。この時間のオールナイトニッポン0は山形が産んだジェットコースターこと私、DJ.RINOが生放送でお送りいたしまーす。いやー、すっかり寒くなりましたね。本当にね。もう私なんか毎日お鍋ですよ。お鍋。鍋でいいんですけどね。鍋がいいんですよ。野菜もお魚もお肉も美味しくいただけますしね。味もね、なんでもありますから。豆乳鍋とか水炊きとか坦々鍋とかカレー鍋とかね。たまにはすき焼きとかね、しちゃったりしてね。気分があの~ね、いい時と

    螺旋をほどく話

    「"OK Google"ってあるでしょ?なんかCMとかで言ってるやつ。何がOKだって話だよな」 「急にどうした」 「いや、こちとら全然OKじゃねえから検索しようとしてんじゃんか。だからなんでOKって言わなきゃいけないのか意味不明だよ。」 「ひねくれてんな」 「ひねくれてねえよ。真理だろ。」 「いいから早く検索してくれよ。道が全然分かりゃしない」 俺たちは地元まで車で向かっているところなのだが、カーナビのデータが古いせいか途中でルート検索を誤ってしまい、意味不明なルートを闇雲に

    螺旋をほどく話

    マルタ

    〇「間違った!」とテーブルの上に倒れたビールグラスを見つめたあとに丸田は言った。ビールグラスからは半分ほど入っていたビールが全てテーブルを濡らすように零れ、テーブルから水滴が垂れて床まであっという間に濡れた。 1杯600円するビールジョッキを手に取って「飲み放題にしてよかったな」と俺が言った。中華料理屋には俺と丸田の他にいかにも会社帰りというサラリーマン連中と、酒の飲み方もろくにまだ知らなそうな大学生のグループがいた。俺たちは餃子と酢豚ならぬ酢鶏と麻婆豆腐をアテに酒を何杯も飲

    青と夏

    〇皆殺し、のような暑さだ。口から火が出そう。東京に上京して初めての夏だ。思えばあんな田んぼしかない田舎に住んでいたのに、今はビルに囲まれている。感慨深いと言うべきか。ただ涼しい風は吹かないし、青空の匂いなんか全く感じない。今は冷房の効きまくった部屋でダラっと過ごしている。この間仙台に出張に行った時に買った萩の月がまだ残っていたので冷蔵庫から取り出して食べた。死ぬほど美味かった。夏が来た。 小学生の頃、田舎道を車で走ると左も右も広がるのは田んぼで、そこに青い空が広がる。また少

    DPPLGNGR

    1人目を見たのは俺が大学2年生の時だった。 おかしな事がおきている。俺の目の前に俺がいる。鏡に映った自分ではない。俺がいる。俺の姿をしている。着ている服も似ている。背丈も大体一緒だ。ドッペルゲンガーというやつなのか。でも影がある。赤信号待ちしている横断歩道の向こう側に立っている。俺と目が合う。向こう側から視線を送られている気がした。ドッペルゲンガーは2回見たら死ぬ、って誰かが言ってた。「リーチ」という言葉が聴こえてきた気がした。風がそっと背中を叩くように吹いた。あの視線に、意

    She Hates December

    君はグレタ・トゥーンベリについて「She Hates December」と語った。君は「彼女の中には狂気があり、それは無防備にも晒されていく」と続けて言った。俺は彼女が好きでも嫌いでもないが、彼女は環境問題へ訴えを続けているがそれでも何かイマイチ響かない。彼女にあるのは狂気じゃなくて空白なのではないか。そう君へ言った。 「世界中を回って抗議活動とかをするのは自由なのかな」夜、部屋でニュースを見ていた時の話。二人の会話。若い男女の会話。 君は朝早く起きてマンションのベランダへと

    She Hates December