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連載『オスカルな女たち』

《 いちばんいい? 》・・・1


 それはクリスマスイブのちょうど一週間前の月曜日のことだった。
 午前中の診察を終え、ようやっと昼休みというわずかな合間に「来客」だと言われふてくされながら玄関口に向かうと、意外な顔ぶれに出迎えられた。
「よぉ…最後の客帰ったみたいだから」
 こちらの都合を踏まえて今まで待ってやった…というマウント。押しつけがましい得意顔は昔とちっとも変っていない。
「客じゃない。患者だ」
 冬の低い日差しを受けながら、南向きの玄関口で目を細め、不機嫌を隠さず応える真実(まこと)。
「どっちでもいいじゃん」
「よくねーんだよ、ここでは」
「マコちゃん…」
 見た目は他人を威嚇するようなファッションセンスではあるが、しょぼくれて肩を落とす姿はまだまだ子どもの、
「羽子(わこ)…」
 と、その隣に柱のようにそそり立ち、
「見つけてきたぞ。てか、案外解りやすかったぞ」
 そう語るのは、その容姿もマウントな、
「佑介…」
 捜索を頼んでおきながら…だが、あまりあてにしてはいなかった感を隠さない真実。
「俺に捜索させる意味あったのか? 俺に会いたかっただけか!」
「いや…ホントに探してきたんだ」
 そんなあからさまな態度が気に入らないのか、
「心外だな、その言葉は」
 目を細め、一歩前に出ようとする。
 

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