窓

連載『オスカルな女たち』

《 内緒話と捨て台詞 》・・・20

「そうじゃないの、つかさ」
「そうじゃない?」
 ますます訳が分からない。だがここまでくると、いよいよつかさの中にも不安が湧いてくる。
「私も彼と直接面識があるわけじゃないの。でも〈ケイジ〉という名前には聞き覚えがあったのよ。もっと早く気づくべきだったわ…」
「どういうこと?」
「…あなた言ってたわね。会社の帰りに不似合いな荷物を持っていたって」
「ぇ、うん。紙おむつ…」
「そう、紙おむつ。紙おむつが意味するのは…」
「意味するのは? なにかに使う…ってこと、なの…?」
 かぶる…とか?
 つかさは無意識に引きつったり強張ったりを繰り返す自分の顔を両手で抑え込んだ。
「私も…人の性癖をどうこう言うつもりはないわ。自分のこともあるしね」
「う…ん」
「あなたに話すべきか、迷ったのだけれど。話すからには私も覚悟をするべきと思ったのよ。だからここに連れてきた。…ケイジは、私の記憶が正しければ『赤ちゃんプレイ』の趣味があるんじゃないかしら?」
「赤ちゃん、ぷれい…?」
 放心状態のつかさに、今さら隠してもしょうがない…と、
「えぇ、おそらくね…」
 そうきっぱりと告げ、
「ごめんなさいね。告げ口するようでどうかと思ったのだけれど『会社帰りの荷物』や、いつまでも『ベッドに誘われない』ことを考えると、彼はあなたにその事実を告げてはいないようね。この先付き合いが続くとして、知っておいた方がいいと思ったの」

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