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蜜月の刻(とき)

ともだちでも・・・・?
ともだちだから・・・・
「言えないことがある」

アパレル:斎藤珠美

「じゃぁ、わたしが知らない人…? だよね」
「もう時効だよね」
質問に答える代わり、珠美はそう言って少し厳しい目を見せた。

「いつも同じ時間にコーヒーを飲みに来る大学生がいたでしょ?」

「大学生?」

「忘れちゃった? ほら、必ずおかわりをするひと」

「あ~いたかもね。でもいつの間にか来なくなった」

「あのひと、いく狙いだったのよ」

「うそ!」

「嘘じゃない。あたしたち、賭けをしてたじゃない? どっちが先に声かけてもらえるかって」

「あぁ、そんなこともあった。けど…」

それと初体験とどんな関係が?

「よくあるパターンよ。彼、わたしのバイトしてるスナックにきたの。サークルの打ち上げだとかって言って」

「へぇ…」

「それでね、ちょ~っとカマかけたら、白状したわけ。いくのことが好きだって」

「うそ!」

「だから、嘘じゃないってば」

「え、だってわたしたち、結局どっちも声掛けられずに終わったじゃない」

「表向きはね」

それって・・・・?

「な~んか悔しくてさ。相談に乗るって言って、誘ったわけ」

「彼を?」

「そう。…だぁっていく、結構本気だったでしょ」

「まぁ。…え? べ、別にそこまでは」

「う~そ。それこそ嘘よ。彼が来ると、いくはいつも一番に注文取りにいってたもの」

これはなんだか、わたしの方が危うい展開!?
インタビューの代わりに、昔の古傷をえぐられるわけ!?


いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです