連載『オスカルな女たち』
《 女子会 》・・・9
「お兄様には? 聞いてみたの?」
「そんなこと聞けませんわ…」
恥ずかしまぎれか、容赦なく玲(あきら)にビールを注ぐ明日香。
(まぁ…そうよね…)
「なに、カマトトぶってるのよ。女子高生じゃあるまいし…」
そういう弥生子(やえこ)の手元には、いつの間にかワインボトルが置かれていた。
(ていうか、花村女史。なんだか…人格変わってない? 私が知らないだけ…? それとも女優キャラ?)
芸能界というところは人の性格までも左右するものか…と目を見張る。それともあえての…演技か?
そもそもここにいる4人は皆、集まりたくて集まっているのだろうか。
それとも昔のように…? それぞれ皆しかるべき地位にいながらまだなにか探ろうとしてる?
読めない・・・!
警戒しすぎ、なのだろうか。
「そんな言い方なさらないで…。私、幼いころからずっと聖(ひじり)様だけだったんですもの…」
顔を真っ赤にしてうつむく明日香。
「そうね…明日香さんは社交界デビューもせずに押しかけ女房ですものねぇ…」
しみじみと且つ意味深に語る桜子。
そう、上流階級だからと言って私生活まで上品で楚々としているわけではない。そこは人類皆平等、程度はどうあれ同じように朝を迎えれば、同じように働き、同じように食事もすれば排泄だってするのだ。ただ少しだけ、常識はずれな環境で数字の桁が違うだけ、ただそれだけだ。
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