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連載『オスカルな女たち』

《 いちばんいい? 》・・・3

「とりあえず玲(あきら)に連絡入れとくか…」
 ぽつりとつぶやく。だがその腕を、羽子(わこ)がきつく握りしめ引き止めた。
「ママには…」
 涙目でそう訴えてくる逃げ腰の羽子を訝しむ真実(まこと)だったが、ちらちらと視線を上下させ、
「おまえ…もしかして」
 玲を呼べない理由を察した。
「こっちに来い…」
 引かれた腕を握り返し、診察室のある方向に切り返す。
「マコちゃん~」
 半べその羽子は引きずられるようにして、それでもしぶしぶ従うしかなかった。
「まこと~…!」
 口元に手を当て、目の前を通り過ぎる最愛の元妻に能天気な声を投げる。
「あとで電話するよ、強化月間つづけて」
 先ほどとは一変して厳しい顔つきの真実は、佑介には目もくれずに診察室に向かった。
「ずっと待ってるからな~。貸しだぞ~」
 それはそれは嬉しそうに、声高らかにそう言い残して帰っていった。
「あ~めんどくせーめんどくせー」
(ヤなヤツに借り作っちゃったな―)

 ずるずると羽子を引きずりながら診察室のドアを勢いよく開け、語気も荒く「座れ」と促す。
 おとなしく席に着く羽子は縮こまり、叱られたあとの子どものように押し黙っていた。
「相手はだれだ」
「え…」
 単刀直入な真実の言葉に顔色を変える羽子。

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