サングリア

連載『オスカルな女たち』

《 男ともだち 》・・・18

「なるほどね。抗生剤と、あ、飲むやつね。あと軟膏出しておくから。出来た時は患部に塗って、薬は飲み切って、痛み止めも出しておくか…どっちも4日分ね。それでしばらく様子見て」
 言いながらパソコンに打ち込んでいく真実(まこと)の姿に、
「今は、診察もパソコンなんだね」
 と、感心しきりのつかさ。
「病院いったことないの?」
「そんなことないけど」
「その様子だと、健康診断も受けてないな…」
 疑いの眼差しを向ける。
「ぅ…。そう、だね」
「たまに行っといたほうがいいよ。子宮筋腫やら、乳がんやら、油断ならない歳だからね」
「そう、だよね…」
(そういう年齢、なんだよね…)
 当然のことながら織瀬のことが頭に浮かぶ。
「あれからおりちゃんに会った?」
「ン。あぁ、ちょっと前にな。なんかあった?」
「ん。やっぱりちょっと心配」
「まぁ、なるようにしかならないだろうけどな」
「そうだね」
「今はイライラしたり、落ち込んだり、やっぱり普通ではいられないだろ」
「そう、なんだよね…」
 子どもを切望していた織瀬が、子宮を切除しなければならない現実に、ただ「できない」という過程ではなく「作れない」という結果を突きつけられては、他人が思う以上にその心情は複雑だろう。
「大丈夫かな」
「大丈夫にしていくしかねぇだろ」
「うん…」

いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです